異世界生活1日目
「こ,ここが異世界かぁ。」ナギサのいる国は"ノルヴィス"と言う国でまるで中世のヨーロッパを思い出させる雰囲気だった。しかし街ゆく人々を見ると迷彩柄の軍服を着て肩から銃をぶら下げて歩いている軍人の姿が大半だった。ん?なんか違くね!?僕が思ってた異世界って猫耳の獣人やら冒険者が酒場でワイワイと飲み会ってるのを想像したんだけど?周りの人みんな表情暗いんだけど!?「あ!すいません!」ナギサが歩いていると二人組の軍人が肩を当ててきた。普通なら謝るのは軍人の方なのだがすごい剣幕でナギサを睨んできたので咄嗟に謝ってしまった。「おい小娘!気を付けて前見ろ!!」おいぃぃぃぃい!ここでも女に間違われるとかさすがに酷くない!?「僕は男です!」咄嗟につい口を出してしまった。軍人は間違えたのが恥ずかしかったのか顔を真っ赤にして「うるさい!俺たち軍人に口答えするな!」そう言って二人組の軍人はナギサの襟を引っ張りながら人気のない路地裏に連れて行かれた。「女なら逃がしてやる所だったが男なら殴っても構わねぇよなぁ?」軍人はナギサの頬を殴りそのまま膝で水落ちを蹴り上げた。「ぐはっ!」ナギサは口から血を吹き出し嗚咽を上げその場で倒れた。情けなかった。自分は何も出来ずただその場で嗚咽を上げる事しかできない自分がとても情けなかった。軍人達がナギサの髪を掴んでもう一度殴ろうとした時,可憐で力強い少女の声が聞こえた。「おい!そこの二等兵何をしている!!」現れたのは黒くて艶のある長髪をなびかせながらとてつもなく可愛い美少女がそこに立っていた。「アルエ中尉!こ,これはこのガキがあまりにも生意気なものですから…。」「黙りなさい!!ノルヴィス帝国軍としてそのような行いは…って待ちなさい!」二人組の軍人は一目散に逃げていった。
「ったく。二人して女の子を虐めるなんて…。これだから男は嫌いなのだ!そこの君大丈夫か?私の家この近くだからよって行きなさい。って気絶してる。まぁ無理もないか。」そう言って片手でナギサを持ち上げて肩に乗せてアルエは家に帰った。
----ん?なんだろう、懐かしい感じがする。暖かくて安心感のある…「母さん?」僕は目を擦りながら体を起こした。どうやら僕はベッドの上で寝かされていたらしい。ベッドはフローラルのいい香りがする。
「お?起きたのか。体の調子はどうだ?」声のする方を見るとエプロン姿をした美少女が心配そうに見ている。「はい!体の調子はバッチリです!」いや〜こんな美少女に看病してもらってたなんて異世界に来て初めてよかったと思ったよ〜。神様ナイス!
「そうか。それならいいのだが。君はどこに住んでいるのだ?なんだが珍しい服装をしているが。」そういえば僕,ブレザー姿だった!どうしようなんて言えば…
「まぁ赤の他人に言う様な事でもないな。すまなかった。」「いえ!助けていただいたのにそんな…。僕今住む場所がないんです…。」「そうだったのか。なら明日私の知り合いがやっている宿屋に行こう。そいつならタダで部屋を貸してくれるからな。」「本当ですか!ありがとうございます!」「まぁ今日は色々あったからな。ご飯でも食べてしっかり休息をとろう。」
「そういえば自己紹介をしてなかったな。私の名前は"アルエ-スカーレット"アルエでいいぞ。」「僕の名前は島野ナギサです!よろしくお願いします!アルエさん!」「名前も少し変わっているのだな。」そう言ってクスクスと笑う彼女に心が惹かれて行った。僕はこれからの異世界生活に希望を込めて眠りについた。