新選組の再出発
芹沢の亡き後、新選組は近藤を筆頭に以下のような編成となった。
局長 近藤勇
総長 山南敬助
副長 土方歳三
副長助勤 沖田総司
永倉新ハ
斎藤一
松原忠司
武田観柳斎
井上源三郎
谷三十郎
藤堂平助
原田左之助
京では近頃、八月十八日の政変で追い出された長州の者が、怪しい動きを見せていた。しかし奴らが何をしようとしているのか分からず、新選組も必死の捜索をしていたのだ。芹沢を排除した事により、会津藩からの信用も戻りつつあった。だが、これといって大きな事件を扱う事もない。
新選組を大きくしようとする土方は、一旗挙げる機会を虎視眈々と狙っていたのである。
「なつ、後で局長室に来てくれ。」
台所で食事の後片付けをしていたなつに土方がそう言った。なつ、強姦未遂事件以来、部屋に二人になる事を禁じられた土方。話がある時は必ず誰かが付き添う事になっていた。仕事の依頼であってもそれは同じであった。今回は近藤がその担当である。
「なつです。失礼します。」
近藤、土方のいつもと違う雰囲気に、少々緊張する。
「なつ、また仕事に出て欲しい。」
正直、あまり乗り気になれない近藤。大人になったとはいえ、やはり総司以外の男性と二人の空間にいなければいけない。それはなつにしか出来ない事であるとは分かっていつつも、親心のような気持ちであった。
「今回はどのような内容で?」
「近頃、長州の奴らが戻って来てるのは知ってるか?奴ら、絶対に何かをしでかすつもりだ。探って欲しい。」
「…承知しました。」
仕事内容を聞くと、足早に局長室を後にした。向かった先は総司の場所。今回の島原行きには、何か大きな事件が待っている気がする。久坂のように口付けだけでは終わらないかもしれない。ただ何となくそんな気がするのだ。言ってみれば『女の勘』だから総司に会って行きたかったのだ。
「総司…?」
中庭で剣を振っていた総司に声をかける。
「…なつ…コホッコホ……」
「総司…大丈夫…?最近ずっと咳してるみたいだけど…」
そう。ここ最近、総司は咳が止まらず、微熱が続いているらしいのだ。
「大丈夫だよ。きっと疲れが溜まっただけだ。すぐに治るよ。それよりどうした?」
「そう…それなら良いんだけど…。…あのね、また仕事へ出る事になったの。今回は………」
「…今回は…?」
「ううん!何でもない!…あの…行ってきますって言いに来ただけ!」
『女の勘』は話さない事にした。余計な心配をかけたくない。総司は優しく笑い、なつをそっと抱き寄せた。
「なつ、またしばらく会えないけど、これも仕事だ。仕方がない。私も頑張るよ。」
総司はなつを安心させるように頭を撫でながら、優しい口調で言う。
「……でも…どうしても会いたくなったら…会いに行って良いかな…?」
そんな総司の言葉が可愛くて、おもわず笑ってしまった。でもその総司の言葉は励みになる。なつは大きく頷いた。二人は見つめ合い、軽く触れるだけの口付けを交わした。