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初出動

 総司と土方が部屋に行くと、皆は既に所定の位置に付いていた。なつは部屋の外から話を聞く事にした。

「会津候からお達しがあった。最近、長州の奴らが徳川幕府を比喩した歌なるものを立札にして立てているらしい。私たちはその撤去を命じられた。」

 この頃、長州の久坂玄瑞らによる幕府を挑発するかのような行動に、会津藩は頭を痛めていた。これを会津直々にやってしまうと、長州を完璧に敵に回してしまう事になるのだ。

 長州は過激なやり方ではあるが尊皇攘夷には変わりはない。ここで敵に回すのは得策ではない、と会津は考えているようだ。

 そこで会津には直接風は当たらず、立札を撤去する方法として、壬生浪士組に託されたのであった。


「この人数で行くと騒ぎが大きくなる。よって選りすぐりの者で行こうと思う。」

 近藤の言葉に、皆、息を飲んだ。

「沖田、原田、永倉、平間、野口。以上五名と芹沢さんと私だ。」

 それまで目を瞑り、腕を組んでいた芹沢が意を決したように叫んだ。

「出陣だ!」


 立札の前には、人だかりができていた。京の人は、京雀といわれるほど、噂話が大好きなのである。そして長州贔屓の京の人々からしてみれば、この立札はひとつの楽しみでもあった。

 それを撤去するということは、京の人々から楽しみを奪うということにもなる。そして、長州に壬生浪士組というものを敵視されるようになるという事でもあった。

「近藤さん、これを抜いたらもう元には戻れねぇぞ。」

「元に戻る気持ちなど、清川に楯ついた時からありませんよ。」

 局長二人の会話。それを総司らは見守った。

「いくぞ…」

 芹沢の一言で、壬生浪士組の運命は進み始めた。

「我らは会津藩御預かり壬生浪士組である。」

 立札の前に立ちふさがる壬生浪士組。京の人々の彼らに対する目は、決して良いものではなかった。訳の分からない田舎もんが京にやってきた。その程度のものだった。


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