お梅の色気
土方に、『お前には色気が無い』とはっきり言われたような気になり、落ち込むなつ。しかし、こんな事でへこたれるなつでは無かった。
なつが次に向かったのは芹沢の部屋。女の色気は女に聞けとばかりに、お梅に聞くことにしたのだ。総司にあんな目をさせたお梅。彼女に聞けば、何か分かるかもしれない。
なつは芹沢の部屋の前に来ると、申し訳なさそうに声をかけた。土方との対応の違いは歴然である。
「芹沢先生、なつです。夜分遅くに申し訳ございません。お梅さんいらっしゃいますか?」
「入れ…」
一言呟き、なつを部屋へ入れた芹沢。
「失礼します……っ!!///////////」
ゆっくりと障子を開け、中の様子を伺いながら入っていった。そこには、今まさに事が終わった後のように、着物の乱れた妖艶さをさらに増したお梅が布団の上に座っていた。
そして芹沢はいつものように杯を傾け続けていた。
「お梅…お前に客なんざぁ珍しいな。」
芹沢は笑いながらなつを見ている。
「おなつはん、どないしはったんどす…?」
お梅に聞かれ、我に返ったなつ。
「あの…お梅さんはなんでそんなに色っぽいんですか?どうやったらそんな色気を出せるんで すか?」
お梅はそんなことかと言わんばかりに、笑った。
「そんなん出そう思て出してるんちゃいますえ?自分では気付いてへんのやけど、勝手に殿方 が寄ってくるんや…。」
なつとお梅の会話を聞いていた芹沢が口を開いた。
「なつ…俺が教えてやるよ…」
芹沢が怪しく笑った。
「女の色気はなぁ……男に抱かれる事で身体から出てくるんだよ…」
思いもよらない芹沢の発言に、赤面し、言葉が出てこなくなった。
「お梅の色気はなぁ…相当な数、男に抱かれたって証拠だ。お前には全く色気なんかかんじね ぇ。今すぐ色気が欲しいなら…俺が抱いてやってもよいぜ…?」
怪しく笑う芹沢は、ますます厭らしい笑みをなつに向けた。
「けっこうです…あたし…失礼します!!」
なつは逃げるように芹沢の部屋を出て行った。
「あんたも意地悪やなぁ。なんも知らん女子にあないな事言うなんて…」
言葉はなつを同情しているが、顔は笑みを浮かべるお梅。
「良いんだよ…あいつ、これから良い女になるぜ?」
芹沢はまた怪しい笑みを浮かべ、お梅の肌に吸い込まれていった。