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お梅との出会い

 なつと総司がお互いの気持ちを確かめ合った日以来、それまでの空白を埋めるかのように、毎晩、仕事が終わると二人で縁側に座りながらたわいもない会話をしていた。

 そんなある日、知らない女性が、二人の後ろから声をかけてきた。

「おばんどす…」

 後ろを振り向くと、艶やかな色気のある女性が妖艶な笑みを浮かべ立っていた。

「…おばん…?」

「江戸の訛りでゆうたら『こんばんは』やな…」

その女は、二人の後ろの座り話し始めた。

「おなつはん…その節はおおきに…」

 どの節なのか分からないなつ。そしてなぜ自分の名前を知っているのかも分からなかった。

「あの…どこかでお会いしましたか?」

「いややわ〜、覚えてはらへんの…?町で浪人に囲まれてた時に助けてくれはったやないの…」

 以前、不逞浪士を懲らしめた時に助けた女だったのだ。その時は名前も聞かずに立ち去ってしまったなつ。

 しかし、今、この女から放たれている色気を、あの時には感じることは出来なかった。まるで別人のようだ。

「貴女なんですか?本当に?」

「信じられへんの?そやなぁ。町に出るときはこんなんちゃうかもな…せや、うちは梅いいま す。よろしゅう…」

 梅と名乗ったこの女。同じ女であるなつから見てもとても魅力的な女性だった。色が透き通るように白く、しなやかで気品がある。仕草のひとつひとつに目を奪われる。女から見てそうなのだから、男なら一瞬で梅に惹かれてしまうだろう。

「あの…お梅さん、貴女が何故ここにいるのですか?」

「うち…?芹沢先生に拾われたんや…」

 妖艶な笑みを浮かべるお梅。

「何で芹沢さんと…?どのようなご関係ですか?」

「…嫌やわぁ…そんなんうちの口から言わすん?…そやなぁ…関係ゆうたら、男と女の関係や な…」

 恥じらいもなく、さらりと言ったお梅。顔を赤らめるなつと総司をからかっているようだった。


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