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プロローグ

side─梨那(リナ)


「婚活パーティー?」


 家に帰ると早速家族から婚活パーティーを勧められた。


 大企業の主催の婚活パーティー。なんと女性は一般から募るが男性は企業の男性だそうだ。


「この前、奥さまを亡くした社長も出る」


「家のためにも出てほしい」


 父に続いて兄も言う。


 社長と結婚出来たならこの家も安泰だ。


「頼む、梨那」


 心配そうな顔をする父と兄。


「大丈夫、出るから」



side─汐風(シオカゼ)


 大々的に宣伝をしている婚活パーティー。占いの内容もそれで持ちきりだ。


「しっかしな」


 どうも、嫌な感じしかしない。


 占った子達の結果は大したことないが残った人が少し心配な結果になってる。


「これなら…」


 出てみるしかないね。


 早速、申し込みのフォーラムにアクセスする。


 出てきた受付番号を見る限り私は結構遅めな番号に位置している。


 通り抜けられるかは一か八かだけどやってみるしかないね。


side─結月(ユツキ)


「婚活パーティー?」


 常連のお客さんに勧められている大企業が主催のパーティー。私が、そんな不釣り合いな所に行けないわ。


 田舎から出てきて本屋を営んでる平凡な女なんてお門違いの所じゃ…。


「大丈夫、やっていけるよ!」


 それに紹介者には金券が贈られるんだからと嬉々として話す。


 そうかな…。うつ向いてると違う常連さんが肩を叩いてきた。


「有馬ちゃん、別に結婚しろなんて言ってないんだから遊びに行く感覚で行ってきたら?」


 優しく言う声に勝てなくて参加を決めた。


side─絵都(エト)


「結婚なんぞには興味ない」


「そこをなんとか…」


 ため息をついて概要を見る。


 前々からお節介な人達が私に見合い話何かを持ってくるが私の眼鏡に叶うやつはいない。しかも、会社員だと世間体とか気にしすぎて私の仕事に賛成してくれなさそうだし。


「スポンサーからのお願いなんですよぉ」


「だが断る」


 珈琲を飲む。


 やっぱり珈琲はブラックに限るな。次は豆でも変えてみるか。


「本当に駄目ですか?」


 困った顔をする編集者。


「初日のパーティーじゃ豪華な食事が出るらしいですよ」


 相手がぽつりと言う。


「本当か?」


「えぇ、なんてたって手持ちの所でやりますからねぇ」


 それを早くに言ってくれないのか!


「出ようじゃないか」


 美味しいご飯たちが待っているんだ行くしかないだろう。


side─未來(ミライ)


「私が婚活パーティーにですか?」


 つい先日、カナダから日本に戻ってきたら世間は婚活パーティーの話題に溢れていた。


 大企業主催のパーティー。なんか、昔にも似たようなものがあった気がする。


「でも、どうして私が?」


「主催側からのお願いなのよ。」


 はぁ、主催からのお願いになると断れないものよね。


 そうなると出るしかありませんか。


「わかりました、調度良い機会です」


 出ることにいたしましょう。


「それでは自分はここで」


 そういうマネージャーを見送った。


「練習しないと…」


 ピアノの前に座る。


 でも、前にもあった婚活パーティーを誰から聞いたのかしら?


 マネージャーも知らなさそうだったし。


 ─未來、あのね─


 誰か懐かしい人がいっていたはずなのに。どうしても思い出せない。


「いったい、誰なのでしょうか」



side─恵琉(エル)


「結婚?」


 興味ない興味ない。そもそも私の家なんかじゃ結婚できない。


「おやっさん、前にも言ったけど…」


 って、聞いてないし。こう言うところの悪いところって人の話を聞かない所だよね。


「私の家は妾宅です」


 会社員の人なんてそんな家と結婚するはずがないじゃない。


「大丈夫、大丈夫」


 来月だからと言っておやっさんは出ていった。


 昔から結婚間近の人がいるとこれを理由に逃げられたし。


 ─お姉ちゃん─


 ふと、あの子の声が甦る。


 そう言えば私があの子に初めて会った時から相当な時間が流れたな。


 あの時の私の歳が今のあの子の歳だったか?


 そうなると歳を取ったものだね。


「どうせ落ちるけど」


 やってみようかしらね。


side─梨々(リリカ)


 最近、就職の事を考えるのがめんどくさい。


 確かにやりたいことはある。だけど、それになるにはそれ相応の努力が必要だ。


 付け加えて、稼ぎの出るようなものではない。本を書いたり雑誌に載ってみたりしたら別だが初めはないだろう。


「次の企画の───」


 たまたま聞いた婚活パーティーの話。


 あぁ、結婚すれば良いや。そうすれば家族は安心するだろう。それに重役以上と結婚したらやりたいことも出来るだろう。


 まぁ、賛成してくれるかは別なのだが。


「ねぇ、パパ」


 決意を決めた今、父さんに何とかパーティーの参加の登録をしてくれた。


side─みき(ミキ)


 私もそろそろ三十路になるわ。


 風俗の世界は三十路になると引退になるのよ。まぁ、スナックのママとかになれば別よ。


 だけど、それをするには開業資金、人手、その他諸々が必要になってくるのよ。だから、リスクが高いのよ。


 それにあいつからふんだくるだけ取れなかったし。


 この際、結婚して身を固めてしまった方が良いわよね。


「よし、そうしよ」


side─衣瑠(イル)


 つい先日、姉の葬式があった。


 とっくの昔に結婚していて幼かった私は姉についての記憶がほとんどない。


「私ももう35か…」


 遺影で使った写真は姉が結婚するときに撮影した物らしい。


 写真の中の姉は私と同じくらい老けていた。


 暗い気持ちを払うようにテレビを付けると婚活パーティーのニュースが報道されていた。婚活パーティー…。


 そう言えば姉も話を聞く限り婚活パーティーみたいなもので結婚していたなぁ。たしか、SNSのオフ会とかそんな話をしていたわね。


「出てみよっかな」

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