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その日、確かに私の世界は1度終わった。

作者: 日暮

"さぁ、新しい世界を創ろうか。"


一人の少女の世界が一度で確かに変わるオハナシ。

今日の13時57分、世界は終わりを迎えるんだって。


小鳥の囀りを耳にしながら、起き上がる少女。

3ヵ月前、とある占い師に会った。その占い師は、今日の16時に世界は絶え滅びるだろうと私に予言を残した。

今まで何度も予言と言うものが外れる様を見てきた人類はもちろん、そんなこと信じるわけもない。


あぁ、なんだ。またか。と鼻で笑うのが普通だ。


だから今日もきっと、世界が終わるからと学校が休みになるわけでも、何をやってもよくなるわけでも、皆がわめいて騒ぐわけでもなく、いつも通りに進んで行くんだ。

いつもと何一つ変わらない日の始まり。

少女もそう考えた。


スクールバックを下げ、行ってきますと口にして扉を開ける。

やっと起きたか!なんて、隣の幼馴染みの少年の声が聞こえたりもして少し安心する。


なんだ、いつも通りの朝じゃないか。


8時30分、一時間目の授業。いつも通り。

9時30分、二時間目。いつも通り。

10時30分、三時間目。何一つ変わらない。

11時30分、四時間目。眠くなってきた。

12時30分、お昼御飯もいつものお母さんの作る弁当。

13時20分、五時間目。あいつと目があった。

14時20分、六時間目。またあいつがこっちを見てる。

15時45分、掃除も終わった。部活に行く。


いつも通り。何一つ変わらない。

なんだ、世界が滅びるなんてやっぱり口から出任せじゃないか。


なんもかわんないじゃん。


15時54分、忘れ物に気づき教室に戻る。

15時58分、なぜか教室にあいつがいる。


珍しいな、部活休んだのか。なんて一人心に思いながら少女は教室へ入る。


忘れ物しちゃってさぁ…なんて笑いながら少年に話しかけると無視されて、少し恥ずかしさを感じる。


(なんだよ、無視なんかしてさっ)


少し怒り気味に教室から出ようとすると、パシ、と手を引かれた。


「…………なに?」


むす、と頬を膨らませたまま振り向くと、少年がうつむいてたっている。腹でもいたいのかこいつ、なんて考えながらもなにも言い出せずにいると少年が口を開いた。


「……あのさ」


もごもごと男らしくないなぁ、とイライラを募らせる少女とは裏腹に、少年ははっきりと口にした。

時刻は16時、ぴったり。


-お前のこと、好きみたい。付き合ってくんね?


……は?

え?え…?いや、まって、その……なんでこいつが?

なんで私に?わけわかんない。ばかなの?


たくさんの気もちを心に秘めつつ、バッカジャネ?と笑ってやろうと少女は思った。


けれど……


「は、い……」


思った言葉は出てこなかった。


--パキ……--


少女の足元で、地面の割れる音がした。

少女の今までの世界は、終わった。

世界は絶え、終わりを迎える。

そして、新しい世界へと変わって行く。


確かにこの時、少女の世界は絶え、終わった。

そしてこれからまた、新しい世界となる。

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