表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/8

遭遇わっしょい

ちゃんと保健室の続きの話。

目を覚ました。


視界は安定している。


意識も、感覚も、徐々に頭から首、体、手足、指先と戻ってくる。


目の焦点が定まる頃には、保健室の天井を眺めている自分はどういう経緯でココに来たのか、それを考え始めようとしていた。



しかし、それより気になるのは左手にある温かい感覚。


指をギュっとにぎると、それもぎゅっと締め返してくる。


首は動いた。


なんとか視線を左手まで送ると、そこにはおかっぱの女の子がベッドに突っ伏して眠っていた。


「・・・霧島?」


反応は・・・無い。


良く寝ているようだ。


ぎゅっぎゅっ。


二回握ると、ぎゅっぎゅっ。


二回握り返してくる。


せっかくだし少し遊ぼうかと思っていると、ガラリと保健室の扉が開いた。


「タケちゃーん!

 保健室にいるのー!?」


「サッウ・・サー!!」


叫んだ。


良かった、口と喉はうごいた!!



その声に驚いたのか、俺の手を握って突っ伏して寝ていた霧島が


ビクッ!


と反応して、起き上がった。


「なっ、なに!?」


「おはよ」


霧島は動揺しているのか、辺りをキョロキョロ見回しながら口元のヨダレを袖でぬぐった。


「やだ・・・あたし、寝てたの?」


「寝てたね」


未だ動揺醒めあらぬ中悪いんだが、後ろにサーがいるんだ気がついてくれ。


俺の念力?が届いたのか、霧島が後ろを振り向くのとサーが言葉を発するのは同時だった。


「どういうこと?」


「み、美山さんっ!?」


「あなたは?」


「わ、わたしは・・・」


「サー!クラスメイトでありますっ!サー!」


まずい、余計なことを言って、霧島まで巻き込むわけには行かない。


「タケちゃん、どうして保健室で寝てるの?」


「サー!すみません。階段から転げ落ちた所を、この者に助けてもらいましたっ!サー!」


「そうだったの…もー、おっちょこちょいなタケちゃん!」


「サー!おっちょこちょいでありますっ!サー!」


「じゃ、お昼ご飯食べよ!もう昼休みだよ!」


サーは霧島が握っている俺の左手を奪い取ると、無理やり引き起こそうとした。


「いっ!いたっっ!!」


「ちょっと美山さん!」


霧島、止めてはダメだ…俺を放って逃げてくれ。。。



「なっ、なに?」


「タケくん、凄い怪我してるんだよ?

 今動かしちゃ、傷が開いちゃう」


「そ、そうなのタケちゃん!

 どこケガしてるの!?」


「どこって・・・見ればわかるでしょ?

 タケくんの首、血がにじんでる…体だって、打ち身や腫れがひどいじゃない」


「・・・それくらい大丈夫だよね?タケちゃん?」


「サーーーーーーーーーー!!!!!!!!」


俺は起き上がろうとした。


全身全霊で起き上がろうとした。


しかし・・・


「ダメっ!」


霧島は俺に覆いかぶさるようにして、俺を押さえつける。


サラサラなおかっぱの髪と、いい匂いが頬をくすぐる。


「今動いたら、本当に死んじゃうよ!

 痛み止めが効いてるから、少し動けるだけで…

 もう少し、横になっていないとダメだよ!」


霧島…でもな、俺が動かないと、お前も危ないんだ・・・


「あなたも!」


美山に振り向いて吼えた。


あぁ、もう俺にはどうすることもできない。


「タケくんが大切だったら、一回ぐらいご飯我慢してあげて!

 元気になったら、また一緒に食べればいいじゃない!」


「・・・・・・・」


霧島。


ごめんな。


お前も巻き込んでしまった。



「そっか・・・タケちゃん、ごめんね。

 今日はゆっくりしてね。

 私、お昼一緒に食べるの、すっごい楽しみだったからさ…

 周り、見えてなかったんだ。ごめんね」


「・・・タケくんは、保健委員の私が責任を持って介護します」


霧島、介護って・・・まぁ、間違ってはいないか。


「・・・うん、わかったよ。お願いね、えっと・・・」


「霧島です」


「霧島さん!」


そうって、サーは出て行った。



「タケ、もう大丈夫」


「霧島・・・」


そう言って微笑んだ霧島の笑顔は、天使に見えた。



それが、最後に見た霧島の笑顔だった。




































翌日から、学校を上げて霧島へのいじめが始まった。

日、空きます…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ