五体投地じゃないけどワッショイ!
食事の後編でなくていいんです(カビラ風
待ってた人が居ましたら、お待たせして申し訳ございません。
子供の頃、歌に疑問を持つことってあまりなかったと思う。
それが段々知恵がついて、ツッコミどころを覚えるものだ。
森で出会った熊さんは、お嬢さんと仲むつまじく踊っているわけはない、とか。
さっちゃんが自分の事さっちゃんって言っても問題ないだろう、とか。
だから、お腹と背中がくっついたら臓物があらぬ事になるだろうとかも、みんな経験している思いだと思う。
でもな、くっつくんだよ。
社会だか地理だか歴史だかで見たインドの偉い人の像みたいに、人間なのだろうかと思うくらいにベッコリと。
前田がくれた、美味しかった卵焼きも。
後藤が淹れててくれた、菊川の銘茶も。
今となっては何もかもが懐かしい。
地球に帰ってきた船長の涙が、俺ならわかる。
中庭から昇降口に向かうまでの道すがら、俺は地面に突っ伏していた。
「あれれ~?こんな所で五体投地している修行者さんがいますぅ」
「・・・敬虔だろ」
「ということは『ねむ』に絶対的帰依を示しているわけですねっ!えらいえらい!」
頭をぐしゃぐしゃと撫でられた。
畜生…自慢のヘアスタイルが滅茶苦茶じゃないか。
しかし、顔を上げようにもその力も残っていない。
口から出ている音声が、果たして言葉として通じているのかも怪しいほどだった。
「信ずるものは救われる…これは『ねむ』がお兄さんを救わなければならないようですっですっ!」
・・・いちいち腹の立つアニメ喋りだ。
こういうの、小説やゲーム、アニメでみると小柄でかわいいキャラなんだけど、実際生死の境を彷徨っている身分からすると、癪に障ることこの上ない。
そして、どうせしゃべっているのは丸くて大きなキモヲタなんだろ?
あー、死ぬ前にかわいい女の子にギャルゲーのように抱き上げて欲しかった(謎
「とは言っても…ねむ、あまり力無いですし、保健室まで運べないし…
そうだ、お弁当なら少しあげられます!
ねむ、あまり沢山食べられないから、お兄さんに残ったもの上げますっ!」
トタトタトタトタトタトタトタトタ。
10歩くらい遠ざかる足音。
漂ってくる、美味そうな匂い。
「おにーさーん!日向じゃ暑いから、木陰で一緒に食べましょー!!」
・・・どこまでおちょくっているのだろう?
もう、歩く体力も無いから倒れこんでいるというのに…
「・・・もー!しょーがないですねぇっ!」
トタトタトタトタ。
足音が近づいてくると、俺の襟足をムンズとつかまれた。
「うーんっ、うーんっ、うーんっ」
ズリ・・・ズリ・・・ズリ・・・
引きずられていく俺。
やがて、日光の暑さが背中から消え、ひんやりした風が体を撫でた。
「はぁ…はぁ…はぁ…
お兄さん…軽いですねぇ…」
そりゃ、胃袋空だからな。。。ひょっとしたら臓物も。
「まずはお水からどうぞー」
何度か吐き戻してしまったが、胃の中にモノを入れることで俺は落ち着きを取り戻した。
いや、戻したのは落ち着きではなく、生への執着だろうか。
ようやく目が見えるようになって来た俺は、木陰の下、その女の子に膝枕をされ、ぼんやり生を実感していた。
「小日向ねむ(こひなた ねむ)ですっ!始めまして、お兄さん!」
ねむは…小柄でかわいい女の子だった……
お気づきの方…この話は虫食いで進んでいます。
間間は期を見て。




