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玉ねぎ

作者: 藤宮佐由流

「あきらめてください」  

と、先生は言った。


私は異様に冷たく感じる診察椅子の上で麻酔を打たれた

看護婦が数を数えるうち、私の意識は白くなった


麻酔が効いているはずの意識の中で、何度も何度も痛みを堪えて泣きながら心の中で悲鳴をあげた



目覚めるとあの子はもういない


もういない


もういない



私の心に風穴が開いた気がした


さむい


そして、いたい



最初に何をしたらいいのかわからなくて


このまま家に戻るのが恐くて  



私は八百屋でタマネギを買う


今日の夕食を思いながら



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