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GEM《ジェム》  作者: 武村 華音
8/130

乱入(舞華&静斗)

名前で呼ぶようになって二ヶ月。

クリスマスシーズンになりました。

二人は相変わらずのようです。

私が彼をしずかと呼ぶようになって二ヶ月が過ぎた。

今日も彼の部屋でCDを聞いている。

こんな関係も早いもので八ヶ月。

街を歩けばクリスマスソングが流れ、至る所にクリスマスツリーがある。

もうそんな季節なんだなぁ。

最近は彼の部屋で夕飯を作って一緒に食べてから帰る。

家に帰っても誰も居ないという事を話したら、彼が一緒に食べようって言ってくれたのだ。

夕飯の買い物に出掛けて、彼の部屋で夕飯を作る。

何だかちょっと恥ずかしい。

「舞、今日の夕飯何?」

彼が私に擦り寄ってきた。

「くっ付き過ぎ・・・!」

真っ赤になった私の顔を見て彼は楽しそうに笑った。

笑い事じゃないのに・・・。

恥ずかしくて心臓が飛び出しそう・・・。

彼は私を後ろから抱きしめた。

「さ・・・作業できないんだけど・・・」

「少しだけでいいからこのままでいて」

彼は私の髪に顔を埋めた。

「舞華・・・いい匂い」

彼がクスクスと笑う。

「舞華の心臓バクバクいってる」

「静がそんな事するからですよ・・・!」

「・・・ですよ?」

彼がリピートした。

敬語をやめて欲しいと言われたのは先週。

出来る限り使わないように気を付けてるけど・・・こういう状況では難しい。

思考能力が明らかに落ちる・・・というかショートしてしまう。

「舞、可愛い」

彼は再度笑った。

インターフォンが鳴って彼が私から離れた。

「誰だろ、新聞の勧誘か?」

彼の部屋のインターフォンにはカメラは付いていない。

彼曰く、家賃が安いから仕方ないらしい。

「はい」

彼が玄関の扉を開けると思われる瞬間、何人かの声が聞こえた。

「邪魔するぞ」

「おい!待て!!」

「女物の靴があるぞ、誰か来てんのか?」

「今日は駄目!帰れよ!!」

彼の慌てた声がしたと思ったら、見た事のある顔がいくつも現れた。

GEMのヴォーカルの若林涼さんとベースの金森英二さんと信也さんだった。

三人は私の姿を見て固まった。

私もなんだけど・・・。

「静斗・・・どう言う事かな?」

「舞華・・・お前ここで何してる?」

若林さんと信也さんの顔は引き攣っている。

「あ、ゆ・・・夕飯を・・・」

動揺しながら答えると信也さんが彼を睨み付けた。

「お前、何してんだよ?」

「舞華が家に帰っても独りだって言うから、最近は一緒に飯食ってから送って行ってる」

彼は頭を掻き乱しながら答えた。

彼も相当動揺しているのだろう、かなり落ち着きがない。

「へぇ・・・君、麗ちゃんのお姉ちゃんだよね?」

「静斗と付き合ってるとは思わなかったな」

若林さんと金森さんは微笑みながら私を見た。

「あ・・・あの・・・夕飯はお済みですか・・・?」

「ううん、まだ」

若林さんが即答した。

「舞華、こいつらのはいい」

彼が苛々した表情でこちらを見た。

かなり機嫌が悪そうだ。

「でも、私と静だけが食べるのはおかしいでしょ?」

「おかしくない、こいつらが帰ればいい」

信也さんが顔を顰めた。

「「シズカ・・・?」」

若林さんと金森さんが噴き出した。

「もう!おまえら帰れ!!」

真っ赤な顔で彼が怒鳴った。

結局五人で食事をした。

音楽の話で盛り上がったせいか緊張も解れて私も一緒に楽しんだ。

ふと顔を上げた彼の表情が曇った。

「舞華帰るぞ、送ってく」

時計を見ると日付が変わっていた。

音楽の話で盛り上がり過ぎて時間を忘れていたらしい。

私は慌てて鞄とコートを手に取った。

「お前等ここで待ってろ、こいつ送って来るから」

彼は私の腕を掴んで外に出た。

背後から冷やかしの声が聞こえたのは気のせいではないだろう。

階段を下りると彼は駐輪場に向かい、綺麗なブルーのバイクの前で足を止めた。

「遅くなったからこれで送る」

彼が指差したのはカワサキのニンジャという機種のバイクらしい。

といっても、詳しくない私はステッカーの文字を読んだだけなんだけど・・・。

よく手入れをしているらしく綺麗だ。

彼はヘルメットを私に投げた。

「スカート踏んどかないと捲れ上がるからな。それとちゃんと俺にしがみ付いとけ、落ちたら大怪我するぞ」

彼はヘルメットを被りバイクに跨った。

私も彼の後ろに乗り彼にしっかりと掴まった。

バイクで帰るのは初めて・・・というよりもバイクに乗るのも初めて。

彼がバイクを持っていた事さえ、今の今まで知らなかった。

バイクは速い。

あっという間に家に辿り着いてしまった。

私はヘルメットを彼に返した。

彼は被っていたヘルメットを外すと私に口付けた。

「今日は悪かったな。おやすみ」

何を謝っているのかは分からない。

私はそれなりに楽しい時間を過ごしたと思っている。

私の頭を軽く叩いて彼は再びヘルメットを被って帰って行った。

「おやすみなさい、静」

私は小さな声で呟いて彼のバイクが見えなくなるまでそこに立っていた。


あいつが俺をしずかと呼ぶようになって二ヶ月。

禁欲生活新記録更新中の俺は日々悶々としているのに、あいつは隣で無邪気に笑う。

もう八ヶ月だ。

こんなに我慢が出来る自分に尊敬すらしてしまう。

キスだってまだ両手で数えられるんじゃないか?

数えてないけど。

世の中はクリスマス一色に染まっている。

あいつが家に帰っても独りだと聞いて夕飯を一緒に食べるようになった。

あいつは器用だ。

掃除も料理も簡単にこなす。

きっといい嫁になるだろう・・・。

・・・嫁・・・?

俺は自分で考えた事に顔を赤らめた。

「舞、今日の夕飯何?」

俺は顔を見られないようにあいつ擦り寄った。

「くっ付き過ぎ・・・!」

真っ赤になったあいつの顔を見て俺は笑った。

俺はあいつを後ろから抱きしめた。

「さ・・・作業できないんだけど・・・」

「少しだけでいいからこのままでいて」

俺はあいつの髪に顔を埋めた。

「舞華・・・いい匂い」

あいつの心臓がバクバクいってるのが伝わってくる。

「舞華の心臓バクバクいってる」

「静がそんな事するからですよ・・・!」

「・・・ですよ?」

敬語をやめて欲しいと言ったのは先週。

八ヶ月もお預け食らってる俺としては多寡が一週間だし、簡単に変われるなんて思ってないから大して気にしてない。

あいつはそれなりに努力してるし。

でも、つい言っちゃうんだよな。

あいつの動揺する顔が面白いから。

「舞、可愛い」

俺はそのままキスしてやろうと思ってたのにインターフォンに邪魔された。

ここのインターフォンはカメラなし。

家賃が安いから文句も言えないけど。

俺は邪魔された事に苛々しながら扉を開けた。

「げ・・・」

俺の目の前に居たのは新聞の勧誘なんかじゃなかった。

英二と涼と信也、GEMメンバーだ。

最悪・・・。

「邪魔するぞ」

「おい!待て!!」

「女物の靴があるぞ、誰か来てんのか?」

「今日は駄目!帰れよ!!」

あいつらは楽しそうに家の中に乱入してきた。

そして舞華を見て固まった。

多分あいつらはベッドに裸の女がいると思っていたんだろう。

まさか舞華が料理をしているなんて考えてもいなかったに違いない。

顔がそれを物語っている。

奴らは舞華を知っている。

二度会ってるからだ。

信也は当然知ってるけど・・・あいつの眼は俺を疑ってる。

俺は何もしちゃいない。

・・・キスだけだ。

舞華が余計な事を言ったおかげで五人で食事をする事になってしまった。

あぁ・・・楽しい時間が・・・。

でも、警戒していたあいつも音楽の話になると一緒になって盛り上がった。

盛り上がりすぎた。

気が付けば日付が変わっていて俺はさすがに慌てた。

「舞華帰るぞ、送ってく」

あいつは慌てて鞄とコートを手に取った。

「お前等ここで待ってろ、こいつ送って来るから」

俺はあいつの腕を掴んで玄関に置いてあるメットを抱えて外に出た。

この時間じゃ終電は終わってる。

仕方がないのでバイクで送ることにした。

夏もバイクで送ろうと思った事はあったが薄着だしかなり密着するから諦めた。

自分を抑える自信がなかったからだ。

今は十二月。

かなり寒いけど厚着だから感触も何もない。

哀しいことにバイクを走らせるとあいつの家まではあっという間だった。

深夜で車の通りも少ないし、当然かもしれない。

ちょっと残念だ。

あいつがバイクを降りてメットを外し返してきた。

俺もメットを外してあいつにキスをした。

「今日は悪かったな、おやすみ」

俺はメットを再び被ってバイクを走らせた。

家に帰り、階段を上りながら溜め息を吐いた。

あいつら絶対に冷やかしてくる・・・。

足取りが重くなっていく。

「何してんだお前?」

信也が部屋の前に立っていた。

「お前こそ」

携帯を持ってるから麗華に電話でもしてたんだろう。

「お前・・・本当に手を出してないのか?」

「おう、禁欲生活八ヶ月だぜ」

信也は噴き出した。

「お前がそんなに我慢できるとは信じ難いな」

「俺も自分が信じられない」

俺と信也は視線を合わせて笑った。

「お帰りダーリン、送り狼にはならなかった?」

「なってたらこんなに早く帰ってこないだろ」

「確かに」

涼と英二は面白そうに俺を眺めていた。

「・・・何?」

「あの子音楽センスいいね」

涼が口を開いた。

こいつらにも分かったか・・・。

「そうだな」

信也は口を挟まないけど分かっていたんだろうな。

「信也、お前どう思う?」

英二が話を振った。

「俺が聞いてるCDの半分くらいはあいつに勧められたやつだ。だからGEMの面子と音楽の趣味は合うと思ってた」

「お前達にはあいつやらないからな」

俺の言葉に奴らは大声で笑った。

「「「らしくねぇ〜」」」

煩い・・・!

ご覧頂きありがとうございます。


静斗の今までの行動を知っているGEMメンバーは裸の女を見たら何を言うんでしょうかね?

想像するに女性が嫌がるような台詞を吐くんでしょうね。


静斗の禁欲生活、どこまで続くんでしょう?

お預けさせてる武村はとっても楽しいです♪


そういえば二人とも「好き」って言ってないですよね。

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