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GEM《ジェム》  作者: 武村 華音
72/130

相談(涼&信也)


静斗がメールを送ったのは勿論あの二人。

その時二人は・・・。

静斗から呼び出しのメールがきた。

『今すぐ信也のマンション近くの喫茶店に集合』

たったこれだけのメール。

この状況下で何の話なのかは考えるまでもない。

僕は携帯と財布と部屋の鍵だけをジーンズのポケットに突っ込んで部屋を出た。

ホームで電車を待っていると後ろから肩を叩かれた。

振り返ると無表情の英二が立っていた。

「メール見たのか?」

「うん、あれだけのメールで動く僕達って何なんだろうね」

僕が笑うと英二は苦笑した。

「俺達を呼んだんだ、GEMに関する話だろ」

「活動停止とかじゃなきゃいいんだけど」

「それはない。俺達は既にM・Kの管理下にある。勝手に活動停止はできんだろ」

ご尤も。

「麗ちゃん絡みなのは間違いないんだけどね」

「あぁ・・・」

ABELでの活動をやめるとかそういう話なんだろうな・・・。

僕は別にそれでも構わない。

M・Kがその分歌う場所を提供してくれると思うし、身重な麗ちゃんを危険から遠ざけるのは賛成だ。

「しかし・・・もう少しこの距離は何とかならんもんなのか?信也のマンションは離れ過ぎだ」

確かに・・・。

「信也のお父さんならマンションの一部屋くらい、すぐに買ってくれそうだけどね」

多分、信也は親御さんから離れたかったんだろう。

「M・Kに相談してみたら意外と住む場所くらい提供してくれるんじゃない?」

「その手があったか・・・」

英二はなるほどと小さく頷いてポンと手を叩いた。

「今日は綾香ちゃん居ないの?」

「あぁ、今日はバイト行ってる」

「じゃ、夕方までに終わらせなきゃね」

僕が英二を見上げるとちょっと不機嫌そうな顔をされた。

「何か面白くないな」

「何が?」

「お前だけ何でも知ってるってのが。お前の弱みも知らない自分が悔しい」

無表情で呟く英二を見て僕はクスクスと笑った。

「GEM以上に大切なものはないからね」

そう、僕の大事なものはGEMと舞ちゃんと麗ちゃんと綾香ちゃんだから。

それを守る為ならどんな手だって使うよ。

M・Kだって僕にとっては大事な“駒”だ。

「住む場所、少しはバージョンアップできるかな?」

「交渉してみるか」

「そうだね」

僕達はM・Kをどうやって動かそうかと話しながら目的地に向かった。

英二にとってもM・Kは駒でしかないらしい。

いかに自分の意のままに動かすか、どこまで妥協できるかなど・・・そんな話で盛り上がる僕等は同じ車両に居る人には凄く嫌な人間に見えるだろう。

でも、その会話を本気で楽しんでいる僕と英二は本当に嫌な奴なのかもしれない。

今更M・Kが気付いても手遅れだけどね。


二人が来るまでの間が長く感じる。

目の前の珈琲は既に氷が解けてなくなっていた。

店の扉が開き目立つ二人が姿を見せた。

二人はすぐに俺達を見つけてやってきた。

「お待たせ」

涼はいつものように微笑んで俺の隣に腰を下ろした。

「悪かったな・・・急に呼び出して」

俺が口を開くと涼はそれを無視するようにウェイトレスを呼んだ。

「オネエサン、アイスコーヒー四つ頂戴」

何で四つなのかは愚問だ。

「で?珈琲なのかウーロン茶なのか分からないくらい薄まるまで何を話してたの?」

涼は俺と静斗のアイスコーヒーを眺めながら苦笑した。

「別に・・・話してねぇよ。黙ってる時間の方が長い」

静斗が呟く。

確かに・・・。

「じゃ、さっさと話そうよ。麗ちゃん一人なんじゃないの?」

「今日は体調悪くてベッドの中だ」

くだらない事ばかり考えてるからだろう。

「舞ちゃんは?」

考えてなかったな・・・。

俺は静斗の顔を窺った。

「見張りつけてきた」

「結城さん?」

意地悪そうに涼が微笑む。

「司」

舞華と麗華の友人か・・・。

静斗は彼女をかなり信用している。

まぁ、舞華の脱走を手伝ったのが彼女だからなのかもしれないが・・・。

「そっか」

涼はそう言って俺に視線を戻した。

「話って何だ?」

英二が口を開いた。

「・・・ABELでのライブを暫くの間断りたい」

俺は単刀直入に切り出した。

理由は語るまでもない。

「やっぱそう言う事か・・・」

涼は微笑んだ。

「M・Kに言って他の場所提供してもらえばいいんじゃない?」

「俺も涼に賛成」

英二は短く答えた。

静斗は黙ったままだった。

多分オーナーの事が気になってるんだろう。

GEM結成時からお世話になってるから申し訳ないとは思う。

でも、麗華を危険に晒す訳にはいかない。

「オーナーに申し訳ないとは思うけど、M・Kに相談して何とかしてもらおうよ。まだ知名度の低いアーティストとかも居るだろうし、そういうのを入れてもらって迷惑は何とか最小限で抑えようよ」

こういう時の涼は頼りになる。

「そうだな・・・美佐子さんに相談して、オーナーに迷惑掛けないようにした方がいいよな」

静斗は不味そうなアイスコーヒーをストローで掻き混ぜながら呟いた。

飲む訳ではないらしい。

まぁ、飲んだところで不味いに決まってる。

英二は灰皿を自分の許に引き寄せて煙草に火を点けた。

「お前らここに何時間いんだよ?」

灰皿にてんこ盛りになった吸殻を眺めながら英二が呟いた。

「多分二時間弱」

「だからか・・・店員の視線が冷たいのは」

英二が溜め息を吐いた。

そりゃ無駄に目立つ男達が座ってりゃ嫌でも視線はこちらに向く。

それもいかにもバンドマンという出で立ちだ。

目を惹かない訳がない。

更に俺と静斗が二時間の間ほとんど無言で煙草を吸ってるだけだったんだから仕方ない。

俺と英二はデカイだけだが、静斗と涼は目立つしな。

俺は苦笑しながら再び話し始めた。


ご覧頂きありがとうございます。


何で英二と涼ってこういう話が好きなんだろうなぁ・・・。

いっつも指が暴走するんです。


今回72話。

残すところ後数回。

何とか79話くらいで終わりそうだなぁ。

まぁ、第一部と第二部って分ける必要があるのかないのか・・・。

単純に武村がリフレッシュ期間を得るためのものだったりして・・・すみません(^^;)


武村の第二のサイト着々と進んでます。

でも・・・各駄文の移動に四苦八苦してます。

修正加えながらなので余計です。

面倒になったら今の所にリンクさせちゃえ、なんて逃げる事まで考えてます。

いつになったらお披露目できるんだろう?


☆次回更新12月16日です☆


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