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GEM《ジェム》  作者: 武村 華音
69/130

座る場所(舞華&涼)


すみません、ちょっと息抜きしちゃいました。

緊張の場面ばかりが続くと疲れるので・・・。

この話は読まなくても本編に全く問題ないです。

結城さんの車で帰ることになった私達は座る場所で揉めた。

揉めたのは勿論、結城さんと静。

何でこんな事で揉めるんだろう・・・?

「舞華がとなりに座れよ」

「何で舞華が隣なんだよ!お前の隣になんか座らせるわけないだろ!」

「後ろに座ったら見えないだろ」

「何で見る必要があるんだよ!」

「目の保養」

「色ボケ爺!」

「悪いけどまだそんな年齢じゃない。大体隣に男が乗ったって面白くもない」

「面白いとかって問題じゃないだろ!運転に集中しろ!!」

誰か・・・止めて下さい・・・。

私は二人を見つめながら溜め息を吐いた。

隣ではニコニコと微笑みながら若林さんが二人を眺めている。

彼此十五分もこんなつまらない言い争いをしているんだから呆れるしかない。

確実に結城さんは静で遊んでるし・・・。

「若林さん・・・そろそろ止めて下さい・・・さすがに周りの眼が・・・」

私が若林さんを縋るように見上げると、若林さんは苦笑しながら二人の間に割って入った。

「はいはい、そろそろ止めて下さいね。僕が助手席に座らせてもらいますから」

若林さんは微笑みながら結城さんに告げた。

「結城さんも公人ですし、舞ちゃんが週刊誌になんか撮られたら美佐子さんが怒るでしょうしね」

尤もなご意見・・・。

若林さんの頭の回転の速さには毎回驚かされる。

「舞ちゃんは結城さんの後ろに座ってね、静斗が背後に居ると事故に繋がるから」

若林さんの言葉に私は首を傾げた。

どうして静が運転席の後ろだと事故に繋がるの?

理解できないまま私は車に乗り込んだ。

やっと帰れる・・・。

この熱帯夜で十五分も言い争った二人は汗だくだ。

それに付き合った私と若林さんの額にも汗が滲んでいた。

車の中は既にエンジンがかけられていた為快適な空間だった。

「生き返るね、舞ちゃん」

「涼しい・・・」

ハンカチで額の汗を吸い取ると、静は隣で服でパタパタと扇いでいる。

「あれだけ怒鳴れば汗だくにもなるよね」

若林さんはクスクスと笑った。

「俺のせいじゃねぇよ!全部このジジィが悪い!」

「俺は怒鳴ってない、怒鳴ったのは君だけだ。それに、俺のせいでもない。せっかく女性が居るなら隣に乗って欲しいと思うのは男として当然だろ。な、若林君?」

結城さんが若林さんに同意を求める。

「そうですね、気持ちは分かりますけど・・・この十五分間付き合わされた僕と舞ちゃんは疲れましたよ。無駄に汗を掻きましたしね」

若林さんの言葉に結城さんが苦笑した。

「すまなかったね、ちょっと遊び過ぎた。お詫びにジュースでも奢るよ」

「アクエ2Lでお願いします」

笑顔で返す若林さんに結城さんの顔が引き攣った。

笑顔でさらっと嫌味を言える若林さんが少しだけ恐いと思った。


楽しそうだと思って付いて来たけど、車に乗り込む前からやられるとは思わなかったな・・・。

僕は二人を眺めながら成り行きを楽しんでいた。

僕の隣にはオロオロする舞ちゃん。

この状況を楽しめる余裕はなさそうだ。

彼此十五分になる。

さすがに暑い・・・。

怒鳴ってる静斗はもっと暑いだろうな・・・。

まるで子供の喧嘩だ。

結城さんも付き合いが始まって間もないにも拘らず、静斗で遊ぶ楽しさを覚えてしまったらしい。

暫くは僕と英二と信也はお預けになりそうだ。

まったく・・・結城さんも昔は人気バンドのギタリストだったし、今でもテレビに出たりしてる割に周りを気にしないんだな・・・。

「若林さん・・・そろそろ止めて下さい・・・さすがに周りの眼が・・・」

舞ちゃんが縋るように僕を見上げた。

その顔は反則だよ・・・。

舞ちゃんは男のツボを計算するような子じゃないから天性のものなんだろうけど・・・。

僕は苦笑いしながら二人の間に割って入った。

「はいはい、そろそろ止めて下さいね。僕が助手席に座らせてもらいますから。結城さんも公人ですし、舞ちゃんが週刊誌になんか撮られたら美佐子さんが怒るでしょうしね」

結城さんが機嫌悪くなるよりも美佐子さんの機嫌を損ねた方が困る。

「舞ちゃんは結城さんの後ろに座ってね、静斗が背後に居ると事故に繋がるから」

車の中でまたドンパチ始めたらお構いなしに結城さんの首を絞めかねないし、さすがに僕も命は惜しいからね。

舞ちゃんには理解できなかったらしいけど。

この熱帯夜で十五分も言い争った二人は汗だくだ。

ただ立ってるだけで汗を掻くほど暑いのに、この二人は何を考えてるんだか・・・。

車の中は既にエンジンがかけられていた為快適な空間だった。

「生き返るね、舞ちゃん」

エアコンの吹き出し口を自分に向けながら舞ちゃんに話しかけた。

「涼しい・・・」

僕達は結構汗を掻く事に慣れてるけど、舞ちゃんは違う。

舞ちゃんはハンカチで額の汗を拭っている。

その隣では静斗が服でパタパタと扇いでいる。

「あれだけ怒鳴れば汗だくにもなるよね」

ヒートアップしてたもんね。

僕は振り向きながらクスクスと笑った。

「俺のせいじゃねぇよ!全部このジジィが悪い!」

「俺は怒鳴ってない、怒鳴ったのは君だけだ。それに、俺のせいでもない。せっかく女性が居るなら隣に乗って欲しいと思うのは男として当然だろ。な、若林君?」

結城さんが僕に同意を求める。

「そうですね、気持ちは分かりますけど・・・この十五分間付き合わされた僕と舞ちゃんは疲れましたよ。無駄に汗を掻きましたしね」

僕は構わないけど少しは舞ちゃんの事も考えて欲しい。

「すまなかったね、ちょっと遊び過ぎた。お詫びにジュースでも奢るよ」

「アクエ2Lでお願いします」

このくらいの嫌味で抑えてあげた事に感謝して欲しいな。

僕の言葉に結城さんは苦笑していた。

「俺コーラがいい」

「君に奢る理由はない」

「舞華には奢ってやれよ」

「舞華は何が飲みたい?」

「え?わ・・・私は・・・二人がこれ以上言い争いをしないでいてくれれば何も・・・」

あまりにも舞ちゃんらしくて僕は噴き出した。

さすがに結城さんも静も返す言葉もなく唖然としていた。

「そ・・・そんなに嫌か?」

静斗が困惑したように舞ちゃんに尋ねる。

「見てて気持ちのいいものじゃないよ・・・結城さんも大人気ないし・・・」

僕は耐え切れずに声を出して笑い出した。

この中で最強なのはやっぱり舞ちゃんだ。

その後は口論もなくカーステレオから流れる音楽の話に終始して、僕達の最寄の駅の前にあるコンビニの駐車場に車が滑り込んだ。

結城さんは律儀に2Lのアクエを二本も買ってくれた。

軽い冗談のつもりだったんだけどね。

まぁくれると言うならありがたく貰うけど。

「ご馳走様です」

僕は受け取って微笑んだ。

「君は結構恐い子だな」

結城さんが苦笑した。

僕はそれには微笑むだけにしておいた。

結城さんとは長い付き合いになりそうだしね。



ご覧頂きありがとうございます。


静斗vs結城のリクエストが多いのでちょっと息抜きで書いちゃいました。

もう笑える場面がなくなるので・・・あ、ネタバレ・・・。


クリスマス完結難しいですね・・・。

年内完結目指します。


☆次回更新12月10日です☆

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