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GEM《ジェム》  作者: 武村 華音
68/130

心配(舞華&麗華)


麗華が知ってしまった。

その時二人の心は・・・。

控え室から出て来た金森さんが「麗華に話した」と言った。

私は若林さんと静に挟まれるようにベンチに座ってその話を聞いていた。

確かにここに来てからの静の様子はおかしかったと思う。

怒り方も尋常じゃない。

麗ちゃんがおかしいと思うのは仕方ない。

でも・・・話してよかったの?

私は不安を拭い去る事は出来ず、持っていた缶をギュッと握り締めた。

「舞華、麗華にはちゃんと話した方が良かったんだ。一人の身体じゃない事は分かってる、無茶はしないだろう」

それでも可能性はゼロじゃない。

麗ちゃんはきっと自分で探そうとする。

もしかしたら男の人のほうが接触してくるかもしれない。

その時、麗ちゃんはどうするんだろう?

相手の男の人はどんな人なんだろう?

あの時は恐いとしか思わなかったけど・・・大丈夫なのかな?

最近はストーカーが起こす事件が多い。

テレビを点けると頻繁に目にするし、気にならない訳がない。

「信也が傍に居るし、ライブでは結城さんも居てくれる。舞華も綾香も傍に居るじゃないか。それでも不安なのか?」

確かに注意してればいいのかもしれないけど・・・麗ちゃんが黙って言う通りにするなんて思えない。

麗ちゃんは多分責任を感じてる。

自分で解決しようなんて考えなければいいんだけど・・・。

「舞華、帰るぞ」

結城さんがやって来た。

手には私と静の荷物を持っている。

「麗ちゃんは・・・?」

「GEMは契約した以上うちの商品だから、迷惑を掛けたと思うならこれ以上傷付けるような真似すんなって釘刺しといた」

くっ・・・口が悪すぎる・・・。

「そんな言い方・・・」

「あぁいうタイプは自分の事を大事にしろって言ったって無駄だ。周囲に迷惑を掛けるなって言ったほうが大人しくなる」

そうだろうけど・・・。

「もう少し他の言い方があるんじゃねぇのか?」

静が結城さんを睨んだ。

「妊婦相手にキレてる奴に言われたくないね」

「俺はこういうキャラなんだよ」

「ほぉ・・・キレキャラか、あまりにも似合い過ぎて笑えもしないな」

「ウケ狙ってるんじゃねぇんだよ」

「どう見ても素だよな。今後プロとして活動する気ならもう少し自分を抑える方法でも学習しなシズカちゃん」

何でこうなるんだろう・・・。

二人の間には氷点下の空気が漂っている。

助けを求めるように若林さんと金森さんを見たが、彼等は私と視線がぶつかると小さく微笑むだけだった。

この状況を楽しまないで欲しいんですけど・・・。


舞ちゃんが・・・私と間違われた?

信也の説明を聞きながら私は拳を握り締めた。

「で、結城さんが舞ちゃんの傍に居るんだ?」

「あぁ」

「綾香さんが私の傍にいるのもそのせい?」

私が綾香さんに視線を向けると彼女は首を振った。

「確かに話は聞いてるけど、麗華ちゃんのつわりで苦しんでる姿見ちゃったし放っておけないだけよ。大体、私が傍に居たって役になんか立たないじゃない」

綾香さんは否定したけど、多分変なのに絡まれないように傍に居てくれたんだ・・・。

「あいつ・・・?」

ライブ前に声を掛けてきた男を思い出して私は顔を上げた。

「男を見てるのは結城さんと舞華ちゃんだけだし、私には分からないわ。確認してこなきゃね?」

綾香さんの言葉に信也が首を振った。

「多分そいつだ。結城さんはライブ前に男を見掛けて追い掛けてる。今日ここに奴が来てるのは確かだし、声を掛けてきたタイミングを考えても間違いないだろう」

信也は落ち着いた様子で答えた。

「あいつね・・・今度会ったら話して・・・」

「麗華」

私の言葉を聞いた信也が厳しい目で私を見ていた。

「舞華にこれ以上心配を掛けるな。お前が舞華を心配するように舞華もお前が心配なんだ、そのくらい分かってるだろ?」

そんなの言われなくても分かってる。

舞ちゃんは私の半身だから・・・。

だから舞ちゃんがどんなに恐い思いをしたのかも分かってる。

だからこそそいつが許せない。

舞ちゃんと私を間違えた?

笑わせんじゃないわよ・・・!

私と舞ちゃんの区別も出来ない奴が誘いに来るんじゃないわよ!

私はあの男の顔をしっかり頭にインプットした。

もう絶対舞ちゃんには近付かせない。

舞ちゃんを汚い手が触るのは許さない。

次に会ったら絶対ちゃんと話して縁を切ってやる・・・!

「綾香、帰るぞ」

英二が控え室に戻って来た。

「舞華は?」

信也が英二に尋ねる。

「結城さんが送って行った。涼も同じ駅だからって便乗して帰った」

英二は綾香さんが居るから残ったのか・・・。

「お前がけしかけたんだろ?」

「そりゃ・・・結城さんと静斗だぞ?車ん中でどうなるのか知りたいと思うのは当然だろ?涼だってそれが見たいから一緒に帰ったんじゃねぇか」

「気持ちは分かるけどな」

信也は苦笑した。

気持ち分かっちゃうんだ?

コイツ等マジ最低・・・。

「俺達も帰るぞ」

信也は私の手を掴んで控え室を出た。

四人で帰るのは初めてだ。

駅に着くまでくだらない会話をしていた。

昨日見たテレビ番組の話やオリコン上位のシンガーの話、最近気になるバンドの話・・・。

あの話には誰も触れなかった。

私は適当に相槌を打ちながら、あの男の事ばかり考えていた。




ご覧頂きありがとうございます。


舞華は心配しています。

麗華は怒っています。

さてどうなっちゃうんでしょう。


あと少しで一部が終わります。

書き上がってないので断言できませんけど・・・。

10話以内でなんとか収めたいな、と考えてます。

無理かもしれないけど・・・。



☆次回更新12月8日です☆


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