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GEM《ジェム》  作者: 武村 華音
66/130

苛立ち(静斗&舞華)


控え室でのひとコマ。

知らないって恐いです。


結城の野郎が出て行ってから舞華の様子がおかしい。

真っ青な顔で身体を震わせている。

俺は舞華を抱きしめた。

「中に居ろって言ってんだよ!」

信也の怒鳴り声が聞こえた。

「何かあったみたいだね」

涼が舞華の様子を見ながら呟いた。

信也と舞華と結城の様子から考えて答えは一つしかなかった。

「捕まるといいけどな」

英二が煙草を吸いながら呟く。

考える事は皆同じらしい。

「舞華・・・大丈夫か?」

腕の中で震える舞華を見つめながら俺は尋ねた。

言葉もなく小さく頷く舞華を見て、舞華を脅えさせた男に怒りを覚えた。

「舞ちゃんどうしたの?」

麗華が近付いてきた。

・・・本をただせばコイツが悪いんじゃないのか?

「な・・・何でもないよ、ちょっと貧血・・・」

舞華は麗華に話すのを嫌がってる。

心配を掛けたくないらしい。

気持ちは分からんでもないが、そのせいで舞華がこんな思いをしているのは納得いかない。

「舞ちゃんも出来たんじゃないの?」

麗華が笑いながら言った一言に俺は・・・キレた。

「てめぇ・・・!」

妊婦だという事を忘れ、麗華に掴み掛かろうとした瞬間、英二と涼と舞華が俺を拘束した。

「落ち着け静斗」

「麗ちゃん、この状況下でその発言はいただけないよ」

舞華は泣きそうな顔で俺にしがみ付いている。

綾香だけは麗華を庇うように立っていた。

「・・・麗華・・・お前何したんだ?」

やっと控え室に入って来た信也が、羽交い絞めにされた俺を見て麗華に尋ねた。

「ちょっとした冗談を言っただけなんだけど静斗がキレた」

麗華はヘラヘラと笑った。

「信也、ちょっと麗ちゃんを隔離してくれる?」

涼が麗華と俺を引き離しながら信也に言った。

信也も察したらしく麗華を連れて控え室を出て行った。

「馬鹿が・・・妊婦相手にキレんな」

「ちょっと分かる気はするけど・・・事情聞いといて良かったよ」

英二と涼が俺から手を放して溜め息を吐いた。

俺自身話しておいて良かったと思った。

しかし、苛立ちは治まらない。

俺は舞華の手を解き、フォールディングチェアを勢いよく蹴り飛ばした。

「心中察するよ」

涼は苦笑した。

英二も今日だけは呆れる事もなく黙って煙草に火を点けた。

「知らないとは言え、タイミングの悪かったわね・・・」

「・・・ごめんなさい」

綾香の呟きに舞華が俯いて謝った。

何でお前が謝るんだよ・・・!

舞華の謝る意味が分からず俺は更に怒りのボルテージを上げた。


暫くして結城さんが控え室に戻って来た。

その表情は冴えない。

「悪い、逃げられた」

捕まえられるとは思ってなかったけど・・・やっぱり残念だった。

早く捕まって欲しいけど・・・ここの関係者だという事が哀しかった。

音楽に携わる人に悪い人はいないと思いたかったのに・・・。

「ま、あんたが若者に追いつけるとは思ってなかったけど」

静が結城さんを睨みながら吐き捨てるように言った。

「随分荒れてるじゃないか。君も控え室も?」

結城さんが呆れたように控え室を見渡す。

フォールディングチェアが倒れる際にテーブルにぶつかり乗っていたジュースやお菓子が床に散乱していた。

「結城さん、それ禁句です・・・」

「今マジで洒落にならないんでやめて下さい」

若林さんと金森さんがマズイといった表情で続きそうな結城さんの言葉を遮る。

「何かあったのか?」

「何もなかったらこんな状況になんねぇだろ」

確かにそうなんだけど・・・そんな言い方しなくても・・・。

静の苛々は治まらないらしい。

「事情があったとしても物に当たるのはどうかな」

「妊婦に当たれないんだから仕方ないだろ・・・!」

結城さんは苦笑した。

「やっぱり原因はあの子か・・・」

「妊婦って言ったら一人しかいねぇだろ!」

「・・・ごめんなさい」

私が謝ると静が私を睨んだ。

「何でお前が謝るんだよ、意味が分かんねぇ!」

私は再び静の機嫌を損ねてしまったらしい・・・。

でも、麗ちゃんは私の半身だし・・・家族だから・・・。

「舞華に当たるな」

金森さんが静の頭を叩く。

静は再び物に八つ当たりし始めた。

「舞ちゃんも謝っちゃ駄目だよ」

若林さんは困惑した表情で私に言った。

「っていうか、いい加減落ち着きなさいよ」

落ち込む私の頭を撫でながら綾香さんが冷めた眼を静に向けた。

「そうだな、そろそろ落ち着いてもらわないとマトモな演奏が聴けないだろうな」

結城さんが壁に寄り掛かりながら微笑んだ。

「がっかりさせないでくれよ?」

挑発するような言葉。

「分かってんだよ!ジジィは黙って観てろ!がっかりする位完璧にやってやるよ!」

それに乗せられる静も単純なのかもしれない・・・。

「そうそうその意気だ、そのエネルギーを全部演奏に向けてくれ」

結城さんは背中を壁から離すと控え室を出て行った。

「すごいね、静斗の扱いに慣れてる・・・」

「だな。ちょっと尊敬・・・」

若林さんと金森さんが苦笑していた。

私と綾香さんも顔を見合わせて苦笑した。



ご覧頂きありがとうございます。


12月ですね。

でもGEMの中は真夏。

夏休みです。


麗華の一言・・・。

知らないって罪ですね。

周囲もキツイだろうなぁ・・・。


☆次回更新12月4日です☆

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