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GEM《ジェム》  作者: 武村 華音
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名前(舞華&静斗)

初めて会ってから半年。

相変わらずの二人です。

「麗華!お前は何度言えば分かるんだ?!」

「いいじゃない!一緒に家に帰れば怒られないでしょ?!」

「へぇ打ち上げ出ないで帰るって言うんだな?!」

「そんな事言ってないし!!」

私の横でまた二人が喧嘩を始めてしまった・・・。

どうしよう・・・。

困っている私を見て彼は笑っていた。

ちょっと酷いと思う。

視線を合わせたと思ったら控え室を出て行ってしまったので後を追いかける。

「新井さん」

「なぁ舞華・・・そろそろ名前で呼んでくんない?」

彼は振り返るとそう言った。

「え・・・?!」

「お前の声で名前呼んで欲しい。大体俺が新井さんってツラしてるか?」

顔で名前を決める訳じゃないと思うんだけど・・・。

大体「新井さん」って顔というのはどんな顔を指しているのか分からない。

「新井さん」はたくさんいて当然顔も皆違うと思うし・・・。

「ほら、言ってみ?静斗。せ・い・と」

私の顔が熱を持つのが分かる。

「あ・・・新井さん!私で遊ばないで下さい・・・!」

彼は私の顔を覗き込みながら微笑んでいる。

恥ずかしい・・・!

通り過ぎる人達がみんな笑ってるし・・・!

「何でそんなに嫌がんだよ?」

無理・・・絶対無理・・・!

「舞華」

彼が私の肩を壁に押し付けた。

「あ・・・新井さん?!」

近いです・・・近過ぎます・・・!

彼と私の顔・・・20cmも離れてないです・・・!

「曲・・・どうだった?」

彼は私の髪を指に絡めながら至近距離で囁く。

「あ・・・良かったです・・・凄く格好良かっ・・・」

彼の唇が私の言葉を遮った。

「どんな呼び方でもいいから俺の名前呼んでよ」

私を抱きしめて彼はそう言った。

汗の匂いがした。

急にどうしたんだろう・・・?

静斗・・・なんて呼べない・・・恥ずかしすぎる・・・。

「じ・・・時間下さい・・・」

名前で呼べと言われてもすぐには呼べない。

取り敢えず引き延ばし作戦。

「じゃ、来週の金曜まで。宿題な」

彼はそう言って再び私にキスをした。

今までで一番難しい宿題だと思う。

新井さんの意地悪!!


あいつと会うようになって半年になるのにあいつは俺を「新井さん」と呼ぶし敬語だ。

そろそろ名前で呼んで欲しいし敬語はやめて欲しい。

最近凄くそう思う。

あいつにとって俺って何なのかなぁ・・・。

土曜日、麗華とあいつはやって来た。

周囲はあいつを見た瞬間、俺に視線を移した。

俺があいつと打ち上げに顔を出したのは半年以上前の事だ。

それも凄く短時間。

よく覚えてるなぁと正直感心した。

ライブが終わって控え室で煙草を銜えていると二人がやって来た。

俺が作った曲はどうだっただろう?

気に入ってくれただろうか?

「麗華!お前は何度言えば分かるんだ?!」

「いいじゃない!一緒に家に帰れば怒られないでしょ?!」

「へぇ打ち上げ出ないで帰るって言うんだな?!」

「そんな事言ってないし!!」

信也と麗華の喧嘩が始まった。

最近、思ったことを言い合える二人の関係が羨ましいと思う。

二人の間で戸惑う舞華を見て俺は微笑んだ。

信也と麗華の口論は毎回の事で俺達は見慣れてるけど、あいつは違うんだろうな。

舞華と視線がぶつかった。

俺は込み上げる笑いを抑えて灰皿に煙草を押し付け廊下に出た。

あいつは俺を追いかけて来た。

「新井さん」

あいつが俺を呼んだ瞬間周囲が俺を見て微笑んだ。

どうせ俺は「新井さん」ってツラじゃないさ。

実際にそう呼ぶのは教授とか親しくない奴くらいだ。

あいつに苗字で呼ばれる度に俺等の間にはまだまだ距離があるのだと感じてしまう。

「なぁ舞華・・・そろそろ名前で呼んでくんない?」

俺は振り返ってあいつに言ってみた。

「え・・・?」

驚いた顔をされた。

「お前の声で名前呼んで欲しい。大体俺が新井さんってツラしてるか?」

あいつは顔を顰めた。

どうせ「新井さん」って面はどんなものなんだとか訳の分からないこと考えてるんだろう。

「ほら、言ってみ?静斗。せ・い・と」

あいつの顔が真っ赤になった。

男慣れしてない可愛い反応。

俺はあいつの顔を覗き込んだ。

「あ・・・新井さん!私で遊ばないで下さい・・・!」

遊んでる訳じゃないんだけどな・・・。

「何でそんなに嫌がんだよ?」

拒絶されてるみたいでちょっとだけ腹が立った。

「舞華」

俺はあいつの肩を壁に押し付けた。

「あ・・・新井さん?!」

あいつとの距離は20cmも離れてない。

「曲・・・どうだった?」

あいつの綺麗な髪を指に絡めながら至近距離で囁いた。

「あ・・・良かったです・・・凄く格好良かっ・・・」

俺は周囲の眼も気にせずにあいつにキスをした。

俺のだって示しておきたかったからだ。

「どんな呼び方でもいいから俺の名前呼んでよ」

俺はあいつを抱きしめた。

少しでもあいつとの距離を縮めたかった。

「じ・・・時間下さい・・・」

何で時間が必要なのかは分からない。

でも、俺はあいつをこれ以上困らせないように妥協した。

「じゃ、来週の金曜まで。宿題な」

だかららといって半年も先に延ばされるのは嫌だったので期限を設けた。

早く来週にならないかなぁ・・・。

ご覧頂きありがとうございます。


苗字呼びから名前呼びに変わる時・・・女の子は緊張するものです。

特に男免疫のない舞華には名前呼びは恥ずかしいでしょうね。

来週彼女は静斗をどう呼ぶんでしょう?

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