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GEM《ジェム》  作者: 武村 華音
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苦笑(舞華&静斗)


舞華の不安・・・。

それは・・・コレだったんです。

舞華らしい・・・。

私はお母さんと一緒に家を出て、駅で司と合流し、ライブハウスに向かった。

「冴えない顔してるな、何かあったのか?」

電車の中で司が私の顔を覗き込んだ。

「舞ちゃんちっとも教えてくれないのよ」

お母さんは溜め息を吐いた。

だって・・・お母さんには話しにくかったんだもの・・・。

M・Kに入れようとしているバンドなのに・・・上手になれば嬉しい筈なのに・・・そう感じない自分がいる。

そんな事お母さんに話せる訳がない。

お母さんを困らせたくない。

足取りが重いままライブハウスに辿り着いた。

いつものように中に入ろうとした時、司が私の腕を掴んだ。

「美佐子さん、ちょっと舞華と話したいんで先に行ってて下さい」

司の言葉にお母さんは小さく頷いて中に入って行った。

「さて・・・吐いてもらおうか」

司が私の両肩をポンと叩いた。

「どうしたんだ?美佐子さんには話し難い事なんだろ?」

司は何で分かっちゃうのかな・・・。

涙が溢れてきて、私は司に抱きついて顔を隠した。

「舞華?」

「少しだけこうしててもいい・・・?」

このまま中に入りたくなかった私は少しほっとしていた。

GEMに迷惑は掛けられないから。

少しだけ司の胸を借りて泣いた。

「どうした?あいつと喧嘩でも・・・ってしたら来ないよな・・・?」

司の声は困ってるようだった。

私が少し落ち着いてきた頃、司が再び尋ねてきた。

「私にも話せない事なのか?」

司は無理に聞き出そうとはしない。

分かってるけど・・・。

でも、誰かに聞いて欲しいとは思っていた。

司は笑うかもしれない。

怒るかもしれない。

呆れるかもしれない。

「・・・不安なの・・・GEMが・・・静が遠くなるのが・・・この間、練習を見に行ったの・・・完成度の高い音になってた・・・」

「らしくないな」

司が私の頭を優しく叩いた。

その声は笑うでも怒るでも呆れるでもなく・・・ただ優しかった。

「そう言う事はちゃんと本人に言ってやれ。あいつも不安そうだぞ?」

あいつ・・・?

私が顔を上げると司の視線の先に静が立っていた。

「昨日おかしかったから気になってたんだけど、そういう事だったのか・・・」

静は苦笑した。

「じゃ、後は頼むな。私は美佐子さんのところに行くから」

「おう」

司は私を静の胸に押し付けるとそのままライブハウスに入って行った。

恥ずかしくて顔を上げられなかった。

「・・・馬鹿だな。俺がお前から離れるわけないだろ。俺の帰る場所はお前の傍しかないんだから」

静が私を抱きしめながらボソッと言った。

私がそっと顔を上げると、恥ずかしそうな静の顔があった。

「心配すんな。お前が嫌がったって手放す気ないから」

そう言って静は私の唇を塞いだ。


美佐子さんが控え室に顔を出した。

一緒に来ると言っていた舞華と司の姿が見当たらない。

「舞ちゃんと司ちゃんは外よ。話があるって言ってたわ」

俺が舞華を探しているのに気付いた美佐子さんが小さな声で俺に告げた。

俺は美佐子さんに軽く頭を下げて外に出た。

舞華と司が抱き合っていた。

司が女だと分かってるのに嫉妬する自分に呆れてしまう。

「どうした?あいつと喧嘩でも・・・ってしたら来ないよな・・・?」

司の声が困惑していた。

あいつも舞華の様子がおかしい事に気付いたらしい。

司と視線がぶつかった。

「私にも話せない事なのか?」

そっと人差し指を口元に立てて司が微笑んだ。

「・・・不安なの・・・GEMが・・・静が遠くなるのが・・・この間、練習を見に行ったの・・・完成度の高い音になってた・・・」

舞華の言葉に俺は一瞬頭が真っ白になった。

喜ぶべき言葉だとは思うが、舞華が不安になっているのを見て喜べない自分が居る。

「らしくないな」

司が舞華の頭を軽く叩いた。

「そう言う事はちゃんと本人に言ってやれ。あいつも不安そうだぞ?」

舞華が顔を上げ、司の視線の先に居る俺を見た。

驚いたように目を見開いていた。

聞かれたくなかったんだろう。

「昨日おかしかったから気になってたんだけど、そういう事だったのか・・・」

苦笑するしかなかった。

「じゃ、後は頼むな。私は美佐子さんのところに行くから」

「おう」

司は舞華を俺の胸に押し付けるとそのままライブハウスに入って行った。

舞華は俯いたまま顔を上げようとはしない。

「・・・馬鹿だな。俺がお前から離れるわけないだろ。俺の帰る場所はお前の傍しかないんだから」

俺は舞華を抱きしめながら小さな声で告げた。

舞華がやっと顔を上げて俺を見上げる。

「心配すんな。お前が嫌がったって手放す気ないから」

絶対に手放したりしない。

有名になろうがなるまいが関係ない。

俺という人間にはお前という人間が必要なんだから。

俺は舞華にキスをした。

「呆れたでしょ・・・?」

舞華が俯きながら言った。

「いや、嬉しかった。お前がそんな事考えてるとは思わなかったから」

正直に答えた。

舞華に好きだと言われた事はない。

俺も言った事はないと思う。

だからこそ嬉しかった。

舞華が俺に惚れてくれてる事が分かったから。

俺はこれからだって舞華を手放すつもりはない。

「不安ならちゃんと俺に話してくれ。俺がお前の不安を取り除いてやる」

一人で考え込むな。

出来る限りの事はやってやる。

舞華は小さく頷いた。

「お前が美佐子さんを呼んだ理由も分かったし、よかった。このままライブをやったら多分がっかりさせただろうからな」

「・・・がっかり・・・?」

「あぁ、お前の様子が気になって音が纏まらなくなりそうだったぞ」

「・・・ごめんなさい」

「謝るな。気になって音が乱れるくらいお前に惚れてるって言ってんだよ」

舞華のせいじゃない。

俺は舞華を再度強く抱きしめて唇を重ねた。



ご覧頂きありがとうございます。


舞華らしい悩みですね。

その一言に尽きてしまいます。

それ以外に言葉が出てきません。


☆次回更新11月10日です☆


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