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GEM《ジェム》  作者: 武村 華音
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友情(舞華&静斗)

疲れ果てた私はベッドで眠っていた。

「舞華、そろそろシャワー浴びに行って来いよ」

優しい静の声で目を覚ました。

目を開けるとお風呂上りの静がベッドに腰を下ろして私を見つめていた。

「もう六時になる」

日も傾き始め、部屋が少しずつ赤く染まっていく。

「そう・・・だね」

私が身体を起こすと静に抱き締められた。

「・・・心配すんな」

「お風呂・・・行ってくる」

泣きそうな顔を見られたくなかった。

私は着替えを抱き抱えて浴室に向かった。

浴室に足を踏み入れた瞬間涙が零れた。

こんなに長い時間静と居られるとは思わなかった。

部屋から出れなくても楽しかった。

司や若林さんが来てくれて楽しい時間を過ごす事も出来た。

夢のような一ヶ月・・・。

これから現実に引き戻されるだけ。

覚悟はしていたはずなのに・・・溢れ出る涙を止めることは出来なかった。

泣き顔のまま静に会いたくない。

私はゆっくり湯船に浸かり、落ち着いてから浴室を出た。

リビングで静が誰かと話していた。

私の姿を見て静は苦笑し、携帯を閉じてテーブルの上に投げた。

「どうしたの?」

「確実にバレた」

その言葉に眉を顰めた。

「信也に電話があったらしい。俺の名前までしっかり知ってたって」

私は震える手を握り締めた。

「今、信也と麗華がこっちに向かってる」

麗ちゃんが・・・?

「だ・・・駄目だよ、二人を巻き込んじゃ・・・!」

麗ちゃんは巻き込んじゃ駄目・・・麗ちゃんだけは・・・。

インターホンが鳴った。

「舞華はここに居ろ。絶対に出てくるな」

静は玄関を開けた。

「お邪魔しまぁす!!」

聞き覚えのある声。

「お前何しに来た?」

リビングに現れたのは若林さんだった。

「信也から電話貰ったよ。何の役にも立たないかもしれないけど居ないよりはマシかなって思ったから来た」

「馬鹿だなお前」

静が苦笑した。

その後、金森さんと綾香さんもやって来た。

何で来るの?

皆は関係ないのに・・・。

「真っ赤な目して・・・泣いてたの?」

綾香さんが私を抱き締めた。

「どうして来たんですか?皆さんには関係ないのに・・・」

「本気で言ってるなら怒るわよ?皆貴女が好きだから来るの。どうなるか分からないけど、何もしないで貴女が連れて行かれたら皆後悔するわ」

せっかく止まったのに、私の目からは再び涙が零れた。


舞華がシャワーを浴びに行って暫くして俺の携帯が鳴った。

信也からだった。

「もしもし」

『さっき母さんから電話が来た』

やっぱり・・・。

『舞華の周辺だけじゃなくて麗華のほうの交友関係を調べてお前に辿り着いたんだと思う。母さんはお前のところに舞華が居るのを突き止めてる。鎌を掛けてるかもと思って聞き返したらお前の名前を吐いた』

「そうか」

『知ってたのか?』

「・・・美佐子さんから連絡が来た。お前の母親が雇ったらしい男達がこの周辺をうろついてたって」

『・・・そうか・・・今麗華とそっちに向かってる』

何で・・・?

『静斗!絶対に叔母さんに舞ちゃん渡すんじゃないわよ?!』

麗華の声が聞こえた。

「麗華にも話したのか?」

『母さんの電話聞かれたから仕方なく話した』

「麗華は大丈夫か?」

『あぁ、今声聞いたろ?』

確かに聞いたけど・・・。

『涼と英二にも連絡入れといた』

「何で?必要ない」

『念のためだ。お前一人よりは心強いだろ?』

馬鹿な奴らだ。

「母親を裏切るのか?」

『俺は麗華と舞華が悲しむ事はしたくないだけだ。二人に何か仕出かすなら相手が母親だろうが父親だろうが関係ない』

信也の言葉に嘘はないと思う。

『涼は多分すぐにそっちに行くだろ。GEMにとっても舞華は大事な存在だ。今日連れて帰られたら卒業まで自由はない。絶対に帰すなよ』

「出来る限り踏ん張るさ」

舞華はこんなにも想われてるのか。

俺は鞄の中から舞華の母親から預かった書類を取り出しジーンズのポケットに突っ込んだ。

電話を切って顔を上げると舞華の姿があった。

風呂場で泣いていたのか目が真っ赤だった。

俺は苦笑した。

舞華は俺以上に不安な筈だ

「どうしたの?」

「確実にバレた」

その言葉に舞華が眉を顰めた。

「信也に電話があったらしい。俺の名前までしっかり知ってたって」

舞華が震えているのが分かる。

「今、信也と麗華がこっちに向かってる」

「だ・・・駄目だよ、二人を巻き込んじゃ・・・!」

舞華の顔が一層不安を帯びたものになった。

インターホンが鳴った。

「舞華はここに居ろ。絶対に出てくるな」

多分涼だ。

「お邪魔しまぁす!!」

玄関を開けると涼が飛び込んできた。

「お前何しに来た?」

涼は何も答えずにリビングの舞華の許に向かった。

「信也から電話貰ったよ。何の役にも立たないかもしれないけど居ないよりはマシかなって思ったから来た」

「馬鹿だなお前」

苦笑するしかなかった。

その後、英二と綾香も両手に買い物袋をぶら下げてやって来た。

「真っ赤な目して・・・泣いてたの?」

綾香が舞華を抱き締めた。

「どうして来たんですか?皆さんには関係ないのに・・・」

「本気で言ってるなら怒るわよ?皆貴女が好きだから来るの。どうなるか分からないけど、何もしないで貴女が連れて行かれたら皆後悔するわ」

静かに肩を震わせて、声も出さずに舞華が泣き出した。

「取り敢えずご飯作ろう?腹が減っては戦は出来ぬって言うじゃない」

綾香は舞華を連れてキッチンに向かった。

「お前達相当な馬鹿だな。わざわざ面倒な所に来なくてもいいのに」

俺は涼と英二に苦笑した。

「お前も不安だろうと思ってな。何の役にも立たんが、人数がいればもしもの時は多少の時間稼ぎになるだろ」

英二はそう言って煙草に火を点けた。

「信也と麗ちゃんも来るんでしょ?」

「あぁ、電話あった」

「最後の晩餐になるかどうかはお前達次第だぞ」

英二の言葉に俺は小さく頷いた。

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