1回(司&静斗)
「一回って本当なんですか?」
信じられん。
この男だぞ?
この女ったらしだぞ?
ライブの度に違う女を連れていたこの男が一回だけなんて誰が信用する?
まぁ、舞華が嘘を吐くとは思えないんだが・・・。
冷蔵庫から缶ビールを取り出した静斗が私を見た。
「だったら何だと?」
睨んだと言ったほうが正しいのかもしれないな。
「身体どこか悪いんですか?」
そうじゃなきゃおかしいだろ。
「至って健康ですが?」
「身体が合わないとか?」
相性が悪いなら仕方ないのかもしれない。
「自分の欲望よりも舞華を優先するのがおかしい事ですか?」
舞華を優先だぁ?
何寝ぼけた事を・・・。
「女同士でそんな話するんですか?」
缶ビールのプルタブを摘んだ静斗がベッドに転がっている私に視線を移す。
「舞華とは初めてですが、大概こんな話ばっかりですね。女子高に妙な理想を重ねるとがっかりしますよ?」
そんな話ばっかりだぞ。
上品に見えるのは先生方の前では皆大きな猫を被っているからで、寮でも下世話な会話が飛び交っている。
「私も貰ってもいいですか?」
静斗が不思議そうに私を見る。
「ビール」
「不良・・・」
「不良で結構」
私はベッドから抜け出ると静斗の傍に向った。
静斗は渋々と冷蔵庫からビールを取り出し私に差し出した。
「司・・・法律違反だよ」
舞華がベッドの中から注意してきた。
「お子様は寝ろ。後は大人の時間だ」
静斗と話したかった。
敬語もやめて欲しいと思っていた。
私が邪魔だってのは分ってるがせっかく泊まったんだ、しっかりと話しておきたい。
「安心しろお前の大好きなシズカを襲ったりはせん」
私の好みでもない。
舞華の男を寝取る気もない。
舞華がさっさと寝るように下ネタオンパレードの会話をしていた。
暫くして舞華の規則正しい寝息が聞こえた。
「逃げたようですね」
舞華の得意な寝逃げだ。
「舞華はこの類の話は苦手なんですよ。こんな話ばっかりしてると舞華はいつも先に寝入る」
正直、あまり聞かれたくない話だ。
「静斗、ありがとうございます。今日舞華を見て安心しました。見つかる不安はあると思いますけどこれからも舞華をお願いします」
私は深々と頭を下げた。
本当に感謝している。
舞華を大事にしてくれている事にも神経質なほどに警戒している事にも。
「それと静斗、敬語やめてくれませんか?何か調子が狂うんですよね」
お互い様だと思うが。
「お望みとあればそうしますけど?」
「お望みだから申し上げたんです。貴方はいつもの口調の方がしっくりきます」
「どうせ柄悪いからな」
自覚はあるらしい。
「そういう意味じゃないんですけどね」
いつまでも緊張されていてもこちらも困るんだ。
「私の事を杉浦と呼ぶのも舞華に気を遣ってるんですか?」
麗華の事は名前で呼んでいた気がするんだが・・・?
「いや」
「じゃあ司って呼んでくださいよ」
「じゃ、あんたも敬語やめてくれ。それならお望みの呼び方で呼ぶ」
「了解」
私達は冷蔵庫の中のビールを飲み尽くして話し込んだ。
取り敢えず手っ取り早く打ち解けるにはこの方法がいいだろう。
私は返す言葉のほとんどに下ネタを交えて答えた。
次第に静斗の口調はいつもの口調になり、リラックスしてきたように思えた。
やっぱり下ネタは垣根を取り除くには有効らしい。
結局、朝方まで話し込んで私達は二人ともリビングで爆睡した。
「一回って本当なんですか?」
おい、杉浦・・・お前本当に女か?
冷蔵庫から缶ビールを取り出して俺は杉浦を見た。
「だったら何だと?」
「身体どこか悪いんですか?」
おいおい・・・勝手に病人にすんなよ。
「至って健康ですが?」
「身体が合わないとか?」
このエロオヤジ・・・!
「自分の欲望よりも舞華を優先するのがおかしい事ですか?」
満足してるわけないだろ!
溺れる位良かった、とは口が裂けても言えない。
いや、絶対に言わない。
「女同士でそんな話するんですか?」
缶ビールのプルタブを摘んで俺はベッドに転がっている杉浦に視線を移す。
「舞華とは初めてですが、大概こんな話ばっかりですね。女子高に妙な理想を重ねるとがっかりしますよ?」
しゃあしゃあとまぁ・・・。
「私も貰ってもいいですか?」
あ?
「ビール」
「不良・・・」
「不良で結構」
杉浦はベッドから抜け出ると俺の傍にやって来た。
仕方なく冷蔵庫からビールを取り出し、杉浦に手渡す。
「司・・・法律違反だよ」
「お子様は寝ろ。後は大人の時間だ」
お前は誰だ?
何歳だ?
俺的にはお前が寝て舞華と二人きりの方が嬉しいんだが・・・?
「安心しろお前の大好きなシズカを襲ったりはせん」
襲われて堪るか。
俺にも選ぶ権利はある。
俺と杉浦が下ネタオンパレードの会話をしているうちに舞華の規則正しい寝息が聞こえた。
「逃げたようですね」
逃げたって何だ?
「舞華はこの類の話は苦手なんですよ」
そんな事言われなくても分る。
「こんな話ばっかりしてると舞華はいつも先に寝入る」
舞華の扱い方まで熟知してるのか?
何か悔しいぞ。
「静斗、ありがとうございます。今日舞華を見て安心しました。見つかる不安はあると思いますけどこれからも舞華をお願いします」
杉浦は俺に深々と頭を下げた。
調子が狂う。
急に真面目になるなよ・・・。
「それと、敬語やめてくれませんか?何か調子が狂うんですよね」
お互い様だろ。
「お望みとあればそうしますけど?」
「お望みだから申し上げたんです」
このガキ・・・!
「貴方はいつもの口調の方がしっくりきます」
「どうせ柄悪いからな」
「そういう意味じゃないんですけどね」
意味が分らない。
自分だけで納得すんなよ。
この女は何か苦手だ。
「私の事を杉浦と呼ぶのも舞華に気を遣ってるんですか?」
そういう訳じゃないが、そこまで親しくないだろ。
綾香や麗華だって名前で呼んでるし、舞華も気にしてる様子もない。
「いや」
「じゃあ司って呼んでくださいよ」
「じゃ、あんたも敬語やめてくれ。それならお望みの呼び方で呼ぶ」
「了解」
俺と杉浦は冷蔵庫の中のビールを飲み尽くして話し込んだ。
この女相当下ネタ好きらしい。
会話のほとんどがそっち系だ。
女とは思えない。
だからなのか妙に安心できた。
結局、朝方まで話し込んで二人ともリビングで爆睡した。
下ネタトークで盛り上がったのは舞華には内緒にしておこう・・・。