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GEM《ジェム》  作者: 武村 華音
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内緒話(信也&静斗)


朝一、電話が鳴った。

誰の?

信也の。

舞華失踪の翌朝のお話です。

早朝、母さんからの電話で目を覚ました。

『信也?舞華そっちに行ってないかしら?』

麗華なら居るが・・・。

「麗華なら居るけど・・・何で?」

『麗華じゃないわ、舞華よ!居ないのよ、寮から姿を消したの!貴方知らない?!』

母さんの声は動揺していた。

「ここには居ないけど?何があったんだよ?」

舞華が居なくなるなんて尋常じゃない。

『分らないの、今朝起床時間になっても出て来なくて寮長が部屋に行ったら居なかったらしいの』

居なくなるって言っても、舞華の行く場所なんてそんなにある訳ではない。

「自宅は?」

『もう行ったわ、居ないのよ!こんな事、兄さんにバレたら大変だわ・・・どうしましょう・・・』

母さんが動揺しているのは、伯父さんにバレる事よりも世間にバレる事が心配だからだろう。

『麗華には絶対に話さないで頂戴。学校にも来させないで』

理事長の台詞とは思えないな・・・。

俺は溜め息を吐いた。

「俺も気にしておく・・・けど期待すんなよ。俺は麗華の事は分かるけど舞華の事は分からないから」

取り敢えずそう言って電話を切った。

幸いにも麗華は爆睡中。

俺は服を着て部屋を出た。

行く場所は決まっていた。

あいつに何らかの連絡が来てるんじゃないかと思った。

あいつとマトモな会話をしなくなって一ヶ月。

嫌な顔をされるのは覚悟の上だった。

下手をしたら殴られるかもしれない。

それでも舞華の情報が欲しかった。

俺はバイクを飛ばして静斗のアパートまでやって来た。

インターホンを鳴らすと、少ししてから玄関が開いた。

俺が声を出そうとした瞬間口を塞がれ、静斗が外に出てきて玄関の扉を閉めた。

珍しく来客のようだ。

こいつは舞華が来ないのをいい事にお楽しみだったって訳か・・・。

そう思うと腹が立った。

「舞華がいなくなった」

静斗の手を払い除けて俺はそう言った。

もしかしたら中の女に聞こえてるかもしれない。

「朝、母さんから連絡が来た。お前何か知らないか?」

「近所迷惑だ、少しボリューム下げろ」

静斗は溜め息を吐いた。

舞華の事になると冷静さを失う静斗が、妙に落ち着いている。

その様子に違和感を抱かずにはいられない。

「何で落ち着いて・・・まさか、舞華はここに居るのか・・・?」

舞華の行く場所なんて限られている。

あいつは静斗の部屋にも頻繁に来ていた。

まさかとは思ったが・・・。

「あぁ、今寝てる」

「何で・・・?!」

何で舞華は静斗のところに来たんだ?

「暫く預かるつもりだ」

静斗は多くを語ろうとはしていない。

「詳しくは大学で話す」

舞華がまだ眠っているんだろう。

起こしたくないのかもしれない。

「母さんには・・・暫く黙っておく」

「サンキュ」

何があったのか訊くまでは母さんに連絡するのはやめようと思った。

静斗だって後先考えずに舞華を預かったりしないはずだ。

俺は大学で静斗を待つ事にした。

途中、コンビニに立ち寄り朝食のサンドイッチを買ってから帰った。

麗華に気付かれる訳にはいかない。

「お帰り。朝早くからお出かけ?」

「おう、何かサンドイッチ食いたい気分でな」

俺は麗華にコンビニのビニールを差し出した。

「私、ハムサンドがいい」

「好きなの食えば?」

麗華はビニールからサンドイッチを取り出し頬張る。

何も知らない麗華はハムサンドごときに幸せそうな顔をしている。

俺は麗華を眺めながら舞華の事が気になって仕方なかった。


俺が大学のラウンジに到着すると、信也が手を上げて俺を呼んだ。

ラウンジの隅の喫煙所。

「早いな」

「お前が遅いんだよ」

俺は自販機で珈琲を買って信也の目の前に腰を下ろした。

「で?どういう事なんだ?」

「詳しくは俺にも分からない」

それは嘘じゃない。

「でも、お前のところに居るんだろ?」

「あぁ、昨日の夜からな」

俺だって詳しく訊きたいけど、舞華に訊くのも気が引ける。

杉浦って奴だって今日は学校の対応で忙しいだろう。

「もう暫く待って欲しい。今言えるのは、あいつが昨日の晩に手首を切ろうとしたって事と俺のところに預けられたって事だ」

信也の顔から血の気が引いていく。

「手首を・・・切ろうとした・・・?」

「あぁ、でも手首には傷一つないから安心しろ」

昨日俺も動揺したが、麗華の事件を知っている信也は俺以上に動揺している。

当然だろう。

「舞華の両親は知ってるのか?」

舞華の両親か・・・。

「いや・・・多分まだ知らないだろ。そのうち連絡するつもり」

「お前が?」

俺が連絡したらマズイのか?

「当然だろ」

信也は驚いた顔をしている。

正月に俺が舞華を送って行った事を忘れているんだろうか?

「俺も詳しく話を訊きたいけど・・・今日は学園大騒ぎだろうし、相手にも悪いからな。もう少し時間を置いてから連絡を取るつもりだ」

信也が苦笑した。

「お前が他人の事を考えるなんて珍しいな」

どういう意味だ?

「そこまで俺様じゃねぇよ」

「どうだか・・・」

信也は煙草を取り出して火を点けた。

「麗華は・・・知ってるのか?」

俺は気になっていた事を尋ねた。

「いや、母さんが話すなってさ。学校にも来させるなって。あいつがこの事を知ったら怒り狂うの分ってるからだろうけど・・・理事長の台詞じゃねぇよな・・・」

信也は苦笑した。

こいつにとって母親ってどんな存在なんだろう?

新たな疑問を持った。

「信也・・・学園の動きとか分ったら教えてくれ。俺も分かった事はお前に知らせる」

「おう」

俺達はそこで話を打ち切った。

詳細を知らない俺達がいくらこれ以上話しても憶測でしかないからだ。

「静斗、信也!珍しく早いんだね」

涼がやって来た。

「たまにはな」

信也が早く来るのは珍しい。

それも俺と話してたんだから涼も何の話かは感付いてるだろう。

涼が訊いてこないのをいい事に、俺は何も答えず教室に向かった。

教室では英二が席を取って待っていた。

「早いな」

「お前まで・・・」

信也は苦笑した。

「遅刻常習犯のお前が講義が始まる三十分以上前から校舎に居るなんて明日は雪か雹か?」

酷い言われ様だ。

「六月に雪はありえないでしょ?」

涼がクスクスと笑った。

六月か・・・。

俺の禁欲生活も一年二ヶ月弱で幕を閉じた訳だ。

俺は一人微笑んだ。

「何ニヤケてんだよ?」

英二が教科書で俺の後頭部を引っ叩いた。

「っせぇよ」

何で俺が英二の隣に座らなければならないのか?

気が付けば俺達の並びは決まっていた。

信也、英二、俺、涼。

英二と信也の席が入れ替わってくれるだけで俺は心穏やかに過ごせるんだが・・・。

この三年間で癖付いた席順は今更変わる訳もない。

「今日は機嫌がいいんだね静斗。何かいい事あったの?」

涼が俺の顔を覗き込む。

どうやら思いっ切り顔に出てるらしい・・・。

信也が大きな溜め息を吐いた。

「ガキ・・・」

「お前に俺の気持ちが分って堪るか」

「舞華か?」

英二が俺の顔を見ながらニヤニヤと笑っていた。

「うるせぇ・・・!」

「静斗、顔真っ赤だよ。可愛過ぎ・・・」

涼まで悪乗りしやがって・・・。

時に有難く、時に迷惑・・・それが仲間なのかもしれない。

講義が終了するまで、俺がこいつ等の玩具になった事は言うまでもないだろう・・・。

ご覧頂きありがとうございます。


取り敢えず母親にチクらないと約束した信也。

遅刻常習犯なのは皆分かっているようです。

教育者である母親に対してささやかな反抗してるんですかね・・・?

その辺は彼にしか分かりません。


何日ぶりだろう・・・?

結構リビングに居ました。

ついでなんで料理してみました。

玉葱の汁で手が荒れました。

肌が弱い私には玉葱は敵です。

ビニール手袋が薄くて穴開いちゃったらしい。

100均駄目かぁ・・・。

質が良くて安いビニール手袋ないかなぁ・・・。


☆次回更新10月4日☆

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