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GEM《ジェム》  作者: 武村 華音
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決断(司&静斗)


司が下した決断に静斗は・・・?

扉を開けた瞬間、舞華がカッターを掴んだ姿が飛び込んできた。

私は慌てて扉を閉めて舞華の肩を掴み頬を引っ叩いた。

舞華は死人のような眼をしていた。

限界なんだと思った。

「馬鹿なことを考えるなと言っただろう?!」

私は舞華の両腕を掴んで強く揺すった。

「もう嫌なの・・・!叔母様に見張られながら生活するなんて嫌・・・!」

舞華が泣き崩れた。

こんなに感情を露にした舞華を見たのは初めてだと思う。

「逃げろ。お前が今、一番行きたい所に逃げてしまえ。きっとお前を守ってくれる。あの男の所に行きたいんだろ?」

あの男が舞華を守ってくれるだろうか?

不安がないといったら嘘になる。

しかし、舞華が一番望んでいるのはあの男だと思った。

「司・・・?」

舞華が涙を流しながら私を見上げた。

「そんな顔するな。以前見掛けたと言ったろ?私もあのライブハウスの常連なんだ」

私は白状した。

「以前麗華と出掛けてな、それ以降病み付きになってる。お前とあの男が会ってるのも何度も見てる。美佐子さんも知ってるんだろ?」

正月にあのライブハウスに菊池一家がいた時には驚いたぞ・・・。

「司・・・」

「ただ、お前もそれなりの覚悟が必要だぞ。私には時々連絡だけ入れてくれればいい」

私は近くにあった大きなバッグに舞華の服や教科書を詰め込んだ。

「つ・・・司・・・?」

適当に詰め込んだバッグを床に置き、舞華に手を差し出した。

「電話を貸せ」

舞華は大人しく携帯を差し出した。

・・・が。

「どれが奴なんだ?女の名前しかないじゃないか?」

あの男らしい名前が見当たらない。

「・・・静・・・それが彼・・・」

静?

私は名前を見つけると迷わず発信ボタンを押した。

「司・・・!」

心配そうに舞華が私を見上げていた。

「任せろ、大丈夫だ」

舞華の頭を撫でて私は微笑んだ。

とはいっても不安がないわけじゃない。

あの男次第なんだから。

『舞華?!』

電話の向こうから慌てた様子の声が聞こえた。

いつもは澄ました顔してギター弾いてるくせに・・・。

ちょっと笑える。

「・・・あ、初めまして杉浦 司と申します。今すぐ指定する場所に来ていただけませんか?舞華をお願いしたいんです」

『舞華に・・・何かあったんですか?』

何かあった?

この男は麗華の事件を知っているのか?

「・・・いえ、一歩手前とでも言っておきましょうか」

『一歩手前?!』

やはり知っているんだ・・・。

でなければ、こんなに慌てるなんておかしい。

「聖ルチアの傍に公園があるんですけど、そこでお待ちしてます」

『すぐ行きます』

「失礼します」

私は電話を切って舞華に返した。

「舞華、窓から外に出ろ。靴は私が持って行く、その場を動くんじゃないぞ」

舞華を窓から外に出し、私は正面玄関に向った。

「外の見回りをしてくる」

いつもやっている事だ。

特別な行動ではないから怪しまれる事もない。

私は靴を履いて舞華の靴を持って出た。

午後八時にもなると外は暗い。

闇が私達を上手く隠してくれるだろう。

私は舞華に靴を履かせてその手を握って公園に向った。

公園には既に人影があった。

バイクの横に立つ男は間違いなくあの男だ。

「お待たせしてすみません。先程電話した杉浦です」

私は男に頭を下げた。

「新井静斗です」

男は意外にも礼儀正しい奴だった。

「舞華をお願いする前に確認したいことがあります」

私はバッグを地面に下ろして新井静斗の顔を見据えた。

なかなかイイ男だ。

「舞華をお任せしようとお呼び立てしましたが、多分二、三日で理事長に見つかってしまうと思います。その時、貴方は舞華を守ってくれますか?出来ないなら申し訳ないのですがこのまま引き返して下さい」

男は私をじっと見てから微笑んだ。

「どこかで会ったような気がしたんだけど・・・ライブ観に来てますよね?」

気が付いていたのか?

しかし、今はそんな話をしているわけではない。

「お答えください。時間がないんです」

「お預かりします」

私は素直に安堵した。

この男以外に舞華を任せるなんて出来ないからだ。

「お願いします」

「はい」

「あ、またライブ行きますから」

「控え室にも遊びに来て下さい」

私は新井静斗に頭を下げて舞華の背中を押した。

「司・・・?」

「後は彼に従え」

私はそれだけ言って、二人に背を向けて寮に戻った。

後はあの男に任せるしかない。

多分大丈夫だ。

漠然とだがそんな気がした。


舞華と会えなくなって一ヶ月が過ぎた。

俺はバイトを早く切り上げ舞華の自宅前に立っていた。

当然の事だが家は電気一つ点いていない。

舞華の部屋の窓を見上げながら舞華の事を考えていた。

あいつは今どうしてるんだろう?

元気なんだろうか?

泣いてないだろうか?

ここに来ても会えないのは分ってるのに、気が付けば毎日ここに来ていた。

今日は木曜日。

元々会う日ではない。

居ないのも当然だ。

なのに来てしまうのは・・・少しでも舞華を感じていたいからだ。

俺は溜め息を吐いてバイクに跨った。

キーを差し込んだ時、携帯が鳴った。

舞華専用の着信音だ。

「舞華?!」

この一ヶ月間連絡を取らなかった。

会いたくなるから・・・。

なのに舞華から電話があるなんて何かあったのかもしれない。

『・・・あ、初めまして杉浦 司と申します。今すぐ指定する場所に来ていただけませんか?舞華をお願いしたいんです』

随分低い声だ。

名前も怪しい。

女なのか男なのか分らない。

でも今、舞華って言った。

舞華の携帯から別の人物が電話をしてきたって事は・・・。

「舞華に・・・何かあったんですか?」

まさか・・・麗華みたいな真似を・・・?

『・・・いえ、一歩手前とでも言っておきましょうか』

「一歩手前?!」

それは未遂という事だろう。

舞華はそこまで追い詰められていたのか?

『聖ルチアの傍に公園があるんですけど、そこでお待ちしてます』

「すぐ行きます」

『失礼します』

俺は電話を切ってすぐに公園に向った。

公園はそう遠くない。

俺は公園近くまでバイクを走らせ、エンジンを切って公園の中に牽いて行った。

近隣の迷惑になると思ったからだ。

公園にはまだ誰も居ない。

俺はただ待つことしか出来ない。

少ししてから近付いてくる影を見つけた。

二人だ。

俺はじっとそれを眼で追っていた。

二人は俺の方に向って来ている。

「お待たせしてすみません。先程電話した杉浦です」

男とも女とも採れる人物は礼儀正しく俺に頭を下げた。

「新井静斗です」

俺も取り敢えず名乗った。

「舞華をお願いする前に確認したいことがあります」

前置きもなく、バッグを地面に下ろして杉浦という奴が俺を見上げた。

「舞華をお任せしようとお呼び立てしましたが、多分二、三日で理事長に見つかってしまうと思います。その時、貴方は舞華を守ってくれますか?出来ないなら申し訳ないのですがこのまま引き返して下さい」

その顔はどこかで見た覚えのある顔だ。

たくさんの顔を見る場所といったら一つしかない。

「どこかで会ったような気がしたんだけど・・・ライブ観に来てますよね?」

「お答えください。時間がないんです」

違ったのか?

でも、見覚えはあるんだけどな・・・?

取り敢えず俺は彼女の事は後回しにして微笑んだ。

「お預かりします」

杉浦という人物は俺の言葉に安堵したようだ。

薄っすらと笑った顔は間違いなく女性。

聖ルチアの友人だろう。

「お願いします」

「はい」

「あ、またライブ行きますから」

あ、やっぱり常連客だ。

俺は苦笑した。

「控え室にも遊びに来て下さい」

杉浦という人物は俺に頭を下げて舞華を俺の方に歩かせた。

「司・・・?」

「後は彼に従え」

格好良くそう言ってその人物は帰って行った。

「舞華・・・久しぶりだな」

俺は少し痩せた舞華の顔を撫でた。

「少し痩せたな」

舞華が俺に抱きついた。

危険信号が点る。

「舞華、俺・・・自分を抑える自信がない。もし、お前が嫌なら・・・」

英二の家に預かってもらって、英二をうちに泊めた方がいいんじゃないかって思った。

多分、俺の家はすぐに突き止められる。

「静、一緒に居て?」

舞華は泣きそうな顔で俺を見上げた。

「俺・・・お前の事抱くぞ。我慢できなくなるのは分ってんだよ」

俺は舞華を抱きしめた。

「一緒に・・・居たいの」

舞華の小さな声が聞こえた。

ご覧頂きありがとうございます。


おっ!お預け静斗やっと舞華と・・・?!


最近煮詰まって再び違う話を書き始めました。

夜寝ようとしたら思いついて、考えてたら寝れなくなりました。

仕方なく携帯で執筆。

十話以内で終わる予定という武村にしては珍しく短い話です。

完結したら投稿します♪

タイトルは・・・う〜ん・・・『有名人な彼』かな・・・?

このタイトルはあくまで予定です。


☆次回更新9月28日です☆

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