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GEM《ジェム》  作者: 武村 華音
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ショック(静斗&涼)

約束通りやって来ました大学ラウンジ。

俺は今、ラウンジで信也と向かい合って座っている。

信也は俯いたままこちらを向こうとはしない。

「お前には悪いと思ってる。でも、今は控えて欲しい」

舞華に会うなとこいつは言った。

「なん・・・でだよ・・・!それだけで納得できる訳ないだろ?!」

俺は勢いよくテーブルを叩いた。

周囲が自分達に注目したのは分かってる。

でも、そんな事に構ってなんかいられない。

「座れよ静斗」

「説明しろ。何でそんな事になったのか」

信也は大きな溜め息を吐いた。

「話す気はなかったんだけどな・・・」

信也は辛そうな顔をしていた。

「・・・麗華は中等部の頃から荒れたんだ」

それが、今回の話と関係があるのかどうか分からない。

「あいつは同級生に妬まれて濡れ衣を着せられた。母さんは麗華の話を信用しないで噂だけを鵜呑みにして麗華を責めたんだ」

信也は拳を握り締めた。

「あいつは少しずつ荒れていって母さんはあいつの事を口汚く罵るようになった。何度も呼び出さてあいつもついにキレて母さんの目の前でリストカットした」

目の前で?

「舞華だって強い子じゃない。母さんの行動がエスカレートすれば麗華の二の舞になるのは分かりきってる。だからこそ今は我慢してもらうしかないんだ」

舞華に危害が及ばないようになのか?

ただそれだけだと信じていいのか?

俺は信也の言葉をどこかで疑っていた。

麗華は確かに左手首にリストバンドをして、その上に時計をしている。

皮膚に直接着けるのが嫌だからだとあいつは言っていた。

傷を・・・隠していたのか。

「・・・舞華は?」

あいつは大丈夫なのか?

「・・・仕方ないって言ってた。あいつはライブを見に来た時、本当に楽しそうだった。だから俺も辛いんだ」

信也は髪を掻き乱した。

GEMが前進し始めたと思ったらこれかよ・・・。

俺は両手で頭を抱えた。

「涼と英二にも伝えておかなきゃな・・・」

信也は立ち上がった。

「麗華の事は・・・話す必要ないと思う」

「・・・あぁ、お前だから話しただけだ」

あいつらはどう思うだろう?

・・・舞・・・お前、今どうしてる?

泣いてないか?

俺は携帯を取り出した。

俺はお前に何がしてやれるんだろう?

お前は何をして欲しい?

携帯を握り締めながら俺は舞華に問い掛けていた。

掛けてやる言葉も見つからず、俺はあいつに連絡する事も出来なかった。

声を聞けば会いたくなってしまう。

舞華・・・俺達、どうなっちまうんだろうな・・・?


信也と僕と英二は同じ講義を受けていた。

本来なら静斗も居るはずなんだけど・・・今日は居ない。

朝は居たんだけどね。

信也の様子はおかしい。

それと関係があるのは訊かなくても分かる。

そして、それが麗ちゃんと舞ちゃん絡みである事もね。

講義を終えた僕達は教室を出た。

「英二、涼。話がある」

やっぱりね・・・。

ラウンジにやって来ると綾香ちゃんが居た。

「あら、珍しいわね。ここで会うなんて」

彼女は一人で本を読んでいた。

英二を待っていたのかもしれない。

綾香ちゃんは英二の隣にさり気なく腰を下ろした。

「何か暗いじゃない。私がいたら駄目かしら?」

僕達の顔を見ながら綾香ちゃんは尋ねた。

「いや、構わない。舞華の話だから」

何があったんだろう?

信也の顔は暗い。

「舞華ちゃんがどうかしたの?」

綾香ちゃんが尋ねた。

「この間のライブの帰りにクラスメイトに遭遇してチクられた。今日呼び出されて事情を説明してきたけど・・・暫くあいつは動けない。ライブにも来る事はないと思う」

聖ルチアの理事は厳しいって話は有名だ。

「一緒に居たのが俺だったから問題はなかったけど・・・暫くはマトモに外にも出れないと思う」

「・・・静斗には話したの?」

僕の言葉に信也は頷いた。

だから授業に出て来なかったんだ、と納得した。

「何よそれ?おかしいじゃない。親じゃないんでしょう?そこまでの権限なんてないじゃない」

綾香ちゃんは怒っていた。

僕も同感だ。

「麗と舞は聖ルチアに入った時から母さんに任されてる。任されたから母さんも必死なんだと思ってた」

何で過去形・・・?

「母さんは自分の事しか考えてない。姪っ子が問題を起こして自分が恥を掻かされるのが嫌なだけなんだ」

信也は拳を握り締めていた。

「酷い・・・!」

綾香ちゃんはそう言って立ち上がった。

「綾香、俺達には何も出来ない。信也も静斗もそう思うから落ち込んでるんだろ。お前も下手に動こうとするな」

英二は綾香ちゃんの手を掴んで彼女を見つめていた。

「・・・ほとぼりがさめるまでは下手に刺激しない方がいい。聖ルチアの理事が有名なの知ってるだろ?」

僕は静斗が気になった。

「静斗は?」

「随分前に話したから・・・帰ったかもな」

信也も責任を感じているんだろうか?

「静斗のところ行ってくる」

僕は鞄を抱えてキャンパスを出た。

案の定、家に居た。

本来ならバイトの時間だ。

今日はそんな気にもならないんだろう。

「舞ちゃんの事・・・聞いたよ」

「そ・・・」

静斗は苦笑して部屋の中に戻って行った。

入れと言う事らしい。

僕が部屋に入ると室内が異常に煙い。

煙探知機がよく鳴らなかったな・・・。

テーブルの上には吸殻がてんこ盛りになった灰皿と、殻になった缶ビールが数本転がっていた。

「飲んでたの?」

僕は窓を開けながら尋ねた。

「・・・あぁ」

飲まなきゃやってられない。

静斗の背中はそう語っていた。

静斗は舞ちゃんに本気なんだと改めて感じた。

「あいつ・・・どうしてるんだろ・・・?泣いてないかな?冷たい視線に晒されてないかな?」

冷蔵庫の前にしゃがみ込んだ静斗が小さな声で呟いた。

僕は聞こえないふりをした。

何て言っていいのか分からなかったからだ。

「飲むか?」

「うん、付き合うよ」

僕は静斗の傍に居るくらいしか出来ない。

今の静斗には言葉の慰めなんて何の効果もない。

それに、他の誰かじゃ駄目なんだ。

舞ちゃん以外に静斗を励ませる人は居ない。

僕と静斗は音楽の話を全くせずにただ飲んだ。

飲んで飲んで意識を失うように寝た。

ご覧頂きありがとうございます。


三日連続投稿になりました。

この二日間異常に体調が良かったりします。


話が暗〜くなってきました。

シリアスだしいいですよね???


関係ないけど・・・友達ってことで。


―― 金森かなもり 英二えいじの紹介 ――


某四大の三年。(あ、進級したから皆四年だ)

信也とは高校からの付き合い。

諏訪綾香の彼。

彼女の猛アタックに負け付き合うようになったが、結構惚れてるっぽい。

彼女にはあまり逆らえないらしい。

GEMのベースを担当

無表情だが、優しいので意外にモテる。

静斗を苛めるのを楽しんでいる。

顔に似合わず心配性で慎重派。

身長:190cm

血液型:A型

趣味:読書、音楽鑑賞、人間観察、静斗苛め

特技:話を纏める事

苦手な物:甘いもの、綾子の手料理

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