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GEM《ジェム》  作者: 武村 華音
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スカウトマン(舞華&静斗)

ライブにやって来た舞華&麗華。

二人は客とは違う雰囲気の人物を見つけた。

久しぶりに静と二人きりで話した気がする。

本当はもっと話したい。

・・・でも、我が儘は言えない。

麗ちゃんにも迷惑は掛けられないし。

私はそう言い聞かせて自分を無理やり納得させる。

ステージ裏から見る静は今日も綺麗。

そして、ステージに立つ静はとても遠く感じる。

静の首に掛かったネックレスだけが私を勇気付けてくれる。

開店直後寂しかったライブハウスの中は時間と共に人口密度が高くなっていく。

GEMがステージに立つ頃には凄い熱気。

一月であることを忘れる位。

ここはサウナかジャングルか。

他社のスカウトマンらしき人の姿も見える。

ライブを見に来る人とはちょっと違う異質な感じの人だからすぐに分かる。

静がメジャーデビューしてしまったら手の届かない人になってしまいそうで恐い・・・。

静達がうちじゃない他のレーベルを選んでしまったら?

私達は会うことさえ出来なくなる。

彼等が注目され始めて私は素直に喜べないでいた。

出待ちをする女の子達を見ると綺麗な子ばかりだし、こんな十人並みのつまらない平凡な私の事なんてすぐに飽きてしまうんじゃないかって不安になる。

初めて行った頃は二ヶ月に一度位ライブをしていた。

でも、半年くらい前には月に一回だった。

ここ最近は月に二回はやってるって麗ちゃんは言ってた。

こうやって知名度が上がっていけば間違いなく争奪戦になる。

静は・・・GEMはどうするんだろう?

「舞ちゃん、あそこに居るのスカウトマンじゃない?」

「多分・・・」

麗ちゃんも気付いたみたい。

「デビューしちゃうのかな?」

麗ちゃんの表情はよく見えない。

だから、どんな気持ちで話してるのかも分からない。

「GEMが他のレーベルを選んだら信也さんに会えなくなっちゃうよ?」

私は小さく呟いた。

「分かってるよ。GEMのリーダーは信也だよ、他のレーベルなんか選ばせないよ」

麗ちゃんは微笑んだ。

「夢なんだよね。GEMがうちからデビューして、ファンクラブの会員ナンバー1をGETするの」

麗ちゃんの言葉に私は微笑んだ。

「お母さん達にも連絡しとかなきゃね。胡坐を掻いてると取られちゃうよって」

確かに少しくらい煽らなきゃ駄目かもしれない。

でも、お母さんがライブの日を教えるように静に言ってたし・・・私が言う事じゃない。

「ま、うちの会社には絶対音感を持った耳の確かなブレーンが居るから安心でしょ。この間のお父さんの代弁で、皆かなり悔しがってたしね。真剣に聴いてる事は分かってくれてるから大丈夫だとは思うけど」

麗ちゃんは私を後ろから抱きしめた。

「れ・・・麗ちゃん?」

私には麗ちゃんが飲み込んだ言葉を理解できる程頭はよくない。

「お前等何してんの?」

動揺している私を見て静が微笑んでいた。

「お疲れ〜。今日も格好良かったよ・・・信也!」

麗ちゃんは意地悪そうに静に微笑んだ。

「てめ・・・っ」

「お疲れ様、凄い汗・・・」

私はタオルを差し出した。

「お、サンキュ。やっぱ舞華だよなぁ」

静は意味の分からない事を言いながらタオルを受け取ってくれた。

「若林さん、金森さんも」

私は二人にもタオルを差し出した。

「こいつらなんか放っといていいのに」

「ありがと舞ちゃん」

若林さんは相変わらず優しく微笑んだ。

ステージとステージ裏で人格が変わるのは彼だけ。

ちょっと面白い。

「静斗嫉妬すんなよ」

金森さんがからかうように言った。

「してねぇよっ」

変なの。

静は嫉妬したりしないのに・・・。

私達は控え室に向った。

「静斗、ちょっと見て欲しいものあるんだけど・・・明日って空いてる?」

汗を拭きながら若林さんが静に声を掛けた。

「おう、バイトあるから夜なら空いてる」

見て欲しいと言うならば詞だろう。

オリジナルの作詞はほとんどがヴォーカルの若林さん。

静はその作曲をする。

静ってバイトしてるんだ?

そういえば私・・・静の事何も知らない・・・。

会わない日は何をしてるんだろ?

ちょっと気になった。


最近ライブの回数が増えた。

当然練習も増えた。

バイトを減らしながら何とか調整してるけど・・・結構しんどい。

生活は親の仕送りで何とかできるんだけど・・・体力的にしんどい。

でも、ステージに立つ快感を思うとしんどさも我慢できる。

何よりも金曜日は栄養剤のあいつに会えるから、ライブ前日はエネルギー充電できるし。

二人で会えるならの話だけどさ。

だからって信也に来んなとは言えないし・・・。

ステージを降りた俺達をあいつの笑顔と麗華のからかう声が出迎える。

「お疲れ様、凄い汗・・・」

あいつはタオルを用意してくれていた。

それも全員分。

信也には麗華が渡したけど、涼や英二にはあいつが手渡す。

「若林さん、金森さんも」

「こいつらなんか放っといていいのに」

俺はちょっとばかり・・・嘘、かなり嫉妬している。

こいつが全員に対して優しいから。

「ありがと舞ちゃん」

涼は笑顔であいつに礼言った。

「静斗嫉妬すんなよ」

英二は俺をからかう。

あぁ・・・性格悪っ。

「してねぇよっ」

俺はタオルで顔を隠しながら言い返した。

図星だと悟られるのが嫌だった。

バレてるとは思うけど。

控え室に向っていると涼が声を掛けてきた。

「静斗、ちょっと見て欲しいものあるんだけど・・・明日って空いてる?」

どうやら詞が書けたらしい。

今回は随分苦戦してたみたいだな。

「おう、バイトあるから夜なら空いてる」

パチンコ屋のバイトだからいくらでも融通は利くんだけどさ。

「GEM」

オーナーが控え室の前で俺達を待っていた。

背後には怪しい男が立ってるし。

「どうしたんです?こんな所でお出迎えなんて初めてじゃないですか?」

信也が微笑んだ。

「お客だ」

「初めまして。コスモレコードの高梨といいます。今日のライブを見せていただきました」

聞いた事のある社名だけど・・・何か好感の持てない奴だ。

奴はヘラヘラと笑いながら信也に名刺を差し出した。

「単刀直入に、プロになる気ありませんか?」

本当マジ直球ストレート

「多分俺初めてですよね?」

奴は嬉しそうに言った。

「いや、既に一社からオファーは来てます」

信也は平然と答えた。

信也もこいつが気に入らないのか?

「え?どこ?」

敬語が消えて、笑顔も消えた。

「言う必要はないと思います」

「そこよりもいい条件で対応するから考えてくれないかな?」

信也は俺達の顔を一瞬だけ振り返った。

「取り敢えず名刺は頂いておきます」

信也は簡単に答えて控え室に向った。

俺達もそれに続く。

俺達の周りで何かが変わり始めた。

舞華は不安そうな顔で俺を見上げていた。

ご覧頂きありがとうございます。


他社スカウトマンが姿を現しました。

GEMの争奪戦が始まってしまうのでしょうか?

信也は意外と冷静です。

さすがリーダー。



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