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GEM《ジェム》  作者: 武村 華音
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忠告(舞華&静斗)

冬休みが終わって最初の金曜日。

二人はいつも通り・・・のはずなんだけど・・・。

冬休みも終わって私も寮生活に戻った。

新学期が始まったというのに麗ちゃんの姿は見ない。

信也さんの部屋に居るんだろうな・・・。

ちょっとだけ麗ちゃんが羨ましいと思った。

今日は金曜日。

静と今年初めてゆっくり過ごせる。

私は朝からドキドキしていた。

「舞華」

彼の声。

彼は相変わらず店の前で待っていた。

私は静に駆け寄った。

「静、寒かったでしょ?中で待ってて良かったのに・・・」

私が静の手に触れると彼の手はとても冷たかった。

「取り敢えず中見ていい?」

彼は私の手からするりと手を抜き取り、店内に入って行った。

何だか避けられてる?

そう感じた瞬間、私の胸がズキッと痛んだ。

静はCDを吟味し、一枚購入した。

その間私達は何の会話もしなかった。

楽しみだったのに・・・悲しかった。

「静・・・私・・・帰る」

一緒に居るのが辛い。

彼が私を見てくれない事が悲しかった。

店を出た瞬間、私は腕を掴まれた。

掴んだのは静。

「急にどうしたんだよ?」

私は静の顔を見る事が出来なかった。

「帰る・・・っ」

「駄目」

静は私を抱きしめた。

「なん・・・で?避けられるなら一緒に居ても意味がないよ・・・」

私が彼を突き放そうとしても男の人の力には敵わない。

「取り敢えず家に行こう。ゆっくり話そ」

優しい声に涙が溢れた。

私の事避けてたのに・・・静が何を考えてるのか分からない。

静は私の手を握ったまま家に向かった。

私もおとなしく彼に従った。

本当は傍に居たいから。

「舞、どうした?」

珈琲を淹れていると静が私の背後に立っていた。

「静、私の事避けてるから・・・」

嫌われたなら仕方ない。

私は素直に言おうと思った。

「避けた訳じゃない、久しぶりにゆっくり過ごせると思ったら嬉しかったし・・・ただ、舞い上がり過ぎてヤバかったから舞に触れなかった」

嬉しかった。

嫌われた訳じゃなかったんだ・・・。

「俺はお前しか見えねぇし、呆れる位お前に惚れてる」

振り返ると静の顔は若干赤かった。

「俺がこんな事言うのお前が初めてなんだぞ」

静はそう言って私を抱きしめた。

でも、ヤバいって何が・・・?

「私の事避けないで・・・避けられると辛い・・・」

私は彼の背に手を回した。

彼は決して好きなんて言ってくれないけど、それに匹敵する言葉をくれる。

惚れてる・・・その言葉で私の心は満たされて・・・。

そして彼の顔が近付いてきて唇が重なった。

今までの不安やモヤモヤが消えていく。

私は相当単純みたい。


今年になって初めてゆっくり会える・・・。

俺は木曜日の夜から嬉しさと緊張で寝不足状態。

女みてぇ・・・。

大学の講義が終わるとキャンパスを飛び出し待ち合わせの場所に急ぐ。

正月はあいつの両親が居たし、ゆっくり話す事もできなかった。

正直、かなり舞い上がってる。

益々女みてぇ・・・。

ここまで女に惚れた事はない。

まだ一月。

気温はかなり低い。

それでも外であいつを待ちたかった。

あいつは白い息を吐きながら走ってきた。

「静、寒かったでしょ?中で待っててよかったのに・・・」

あいつが俺の手に触れた。

あいつは特に意識して触ったわけじゃないと思う。

でも、俺はヤバかった。

一歩間違えばその場で押し倒しそうだった。

そのくらい欲求不満だ。

今、抱いていいと言われれば間違いなく朝まで放さないだろう。

そのくらいの自信がある。

何の自信なんだか・・・。

俺は落ち着くまで音楽に夢中になろうと努めた。

一枚のCDを手にとってレジで会計を済ませた時、あいつが小さな声で言った。

「静・・・私・・・帰る」

俺の話も聞こうとせずにあいつは店を出て行く。

慌てて俺は追い掛けた。

俺は自分が何をしてしまったのか分からない。

分かっているのはあいつが帰ろうとしている事。

店を出た瞬間俺はあいつの腕を掴んだ。

俺は帰ろうとするあいつを引き留め、家に連れ帰った。

あいつはいつも通り珈琲を淹れてくれる。

「舞、どうした?」

舞華の様子は明らかにおかしい。

「静、私の事避けてるから・・・」

俺は避けたつもりはない。

でも、あいつはそう感じたらしい。

「避けた訳じゃない、久しぶりにゆっくり過ごせると思ったら嬉しかったし・・・ただ、舞い上がり過ぎてヤバかったから舞に触れなかった。俺はお前しか見えねぇし、呆れる位お前に惚れてる。俺がこんな事言うのお前が初めてなんだぞ」

我ながら恥ずかしい事を言ってしまった。

俺は振り返ったあいつを抱きしめた。

「私の事避けないで・・・避けられると辛い・・・」

あぁ・・・ヤバい。

舞華の手が俺の背中に回された。

俺は理性を保てるだろうか・・・?

俺はそう思いながらも舞華にキスをした。

大体こんな台詞を吐かれて何もしない男がいるのか?

俺の中に黄色信号が点った。

禁欲生活も九ヶ月。

限界ギリギリらしい。

そんな気がする。

その先に進もうと思った瞬間インターフォンが鳴った。

ナイスタイミング!・・・なのか?

俺は落胆と安堵感を抱えながら舞華から離れて玄関の扉を開けた。

信也だった。

「舞華・・・居るのか?」

俺に用事じゃないらしい。

「母さんが何か感付き始めたぞ。注意しろ。しばらくはこの家にも近付かない方がいい」

こいつの母親は舞華の通う学校の理事だ。

舞華が俺の家を訪ねている事を知れば、ありもしない身体の関係を疑われて会えなくなるだろう。

「舞、しばらくは会うの控えよう」

俺はそう言うしかなかった。

例え不本意であっても、だ。

あいつをこれ以上悩ませたくなかった。

「会えないの・・・?」

舞華が寂しそうな顔をした。

ヤバいって・・・。

俺は視線を逸らした。

「俺が一緒なら怪しまれないかもしれない」

信也は舞華の顔を見て助け舟を出すように言った。

「信也さん・・・」

あいつの眼には涙が溜まっていた。

「舞華・・・お前・・・」

信也が何を言おうとしたのかは分からない。

「私と静・・・毎週金曜日に会ってるの」

あいつは小さな声で言った。

「お前が見たあの店の前で待ち合わせてる」

俺はあいつに頼るしかないと思った。

「分かった。来週から邪魔させてもらう」

信也はそう言い残し帰って行った。

ご覧頂きありがとうございます。


いいタイミングで邪魔しに来た信也。

彼は二人にとって味方なのか敵なのか・・・?


ここ数日間薬の副作用でマトモにキーボードを叩けない・・・。

週明けに病院で相談して来よう・・・。

集中力が自分で分かるほどに欠如してます。

コレは少し前に作成した物ですが・・・おかしいところを発見したら多少体調が改善された頃に修正します。

今、修正すると危険なので・・・。

すみません・・・。

そしてただいま投薬タイム。

良薬口に苦し・・・なんて言うけど、効かない薬も苦いものです・・・。


次回28日更新。

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