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GEM《ジェム》  作者: 武村 華音
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意味深な笑み(麗華&静斗)

一月二日。

ライブ後のお話です。

一月二日。

うちの家族はライブハウスに勢揃いしていた。

目的はGEM。

静斗は新年早々舞ちゃんを泣かせてた。

多分、親がこんな仕事をしてる事を何で黙ってたんだとか言って舞ちゃんを責めたんだろう。

舞ちゃん可哀相。

ライブの後、家族全員で控え室に来たんだけど、お母さんは名刺を静斗に渡して、お父さんが簡単に欠点を指摘しただけ。

そして、何故かお母さんは舞ちゃんを静斗に託して帰って行った。

意味深な笑みを浮かべながら。

気にならない訳がないでしょ?

「お母さん達どうしたの?」

舞ちゃんは首を傾げた。

分かる訳がないか・・・。

舞ちゃんは音楽以外にはかなり鈍い。

私にも理解できない母親の事を舞ちゃんが分かってるはずがない。

現に、どうして良いのか分からずに困惑してる。

「GEM、打ち上げだよ。出るの?」

控え室の扉をノックしてスタッフが顔を覗かせた。

「舞、来い。後で送ってくからちょっと付き合え」

静斗は舞ちゃんを連れて出て行った。

舞ちゃんは相変わらずオドオドしてた。

その姿が面白い。

多分静斗も舞ちゃんの反応を楽しんでる。

「信也ぁ。何でお母さん達は舞ちゃん置いて帰ったんだろう?」

信也を見上げると信也は肩を竦めた。

「打ち上げでもノリで曲やったり他のバンドの奴とのコラボとかあるから、そういうの聴いて来いとか言われたのかもな」

分からないなりに信也は答えてくれる。

本当いい奴。

その言葉にも素直に頷けてしまう。

ちゃんとした答えだから。

「静斗は舞ちゃん来ると気遣ってるじゃない?変な奴に絡まれないようにさ。あれでも根は優しいからご両親も見抜いて静斗に任せたんじゃないかな?信也は麗ちゃん専属だしね」

涼が微笑みながら言った。

知ってるもん。

静斗が優しい事くらい・・・。

でも、確かにそうかも。

舞ちゃんが絡まれないように傍に居るのかもしれない。

・・・気のせいだよね?

静斗が舞ちゃんのこと好きなんてありえないよね・・・。

私はそう納得して打ち上げ会場に向かった。

今日は新しいバンドの人もいるし、いっぱい話しちゃお♪

私は気持ちを切り換えて打ち上げに向かった。

その後は当然信也の家に帰るつもりだ。

信也の所に私の居場所があればそれでいい。

あの場所は誰にも譲らない。

私だけの場所・・・。


舞華の両親は意味深な笑みを浮かべて出て行った。

俺は周囲の視線を感じて舞華を連れて打ち上げの会場に向かった。

正直舞華はこういう場は苦手だし、俺も好きじゃない。

でも、新年初のライブだったし、少しだけでも顔を出すべきだと思った。

軽く挨拶を済ませて俺と舞華はライブハウスを出た。

家までの道も既に慣れたもんだ。

俺は舞華と他愛ない会話をしながら家まで送り届ける。

いつも通り日付が変わる前には家の前に辿り着いた。

いつもと違うのは家の電気が点いている事。

俺は考えながらもインターフォンを押した。

それが常識だと思うからだ。

取り敢えず常識というものは持っているつもりだし。

あいつの母親が玄関から顔を出した。

「あら早かったのね。ありがとう新井君、どうぞ入って」

入れって・・・?

俺は戸惑った。

当然だろう。

舞華もかなり動揺している。

「お・・・お母さんっ」

あいつの母親はかなりマイウェイらしい。

だからといって断るのも失礼かもしれないと思って俺はあいつの家に初めて足を踏み入れた。

「新井君、ご苦労様」

リビングのソファから声がした。

舞華の父親の声だ。

正直、今すぐに帰りたい。

居心地最悪。

舞華も同じだと思う。

「貴方達お付き合いしてるんでしょう?」

あいつの母親は直球を投げてきた。

「お・・・お母さんっ」

舞華は動揺を隠せない。

「健全なお付き合いみたいだけど、どの位お付き合いなさってるの?」

舞華は真っ赤な顔で俯いてしまった。

「・・・九ヶ月くらいですかね」

「静っ・・・!」

どうやら嵌められたらしい。

「そう、そんなに長いお付き合いだとは思わなかったわ。舞ちゃん、このままでいい訳ないでしょ?真剣なお付き合いならちゃんと届けは出さなきゃ」

届けって・・・?

俺が不思議そうな顔をしているとあいつの母親が説明をしてくれた。

「聖ルチアでは交際をする際に届出が必要なの。両親が認めてるって証明を提出して学校側の許可をもらう必要があるの。現状舞ちゃんは校則違反って事よ」

舞華の口からそんな話を聞いたことはない。

俺が舞華を見下ろすとあいつは視線を逸らした。

優等生と言われるのを嫌がってるのは知ってるし、もしかしたらこいつなりの小さな抵抗なのかもしれない。

「舞ちゃん、話してないのね?」

舞華は頷いた。

「・・・絶対に静の事知ってるし、叔母様が許して下さる訳がないもの」

こいつの言う叔母様って信也の母親のはず。

当然GEMの事は知ってるだろう。

信也の話からもバンドをやっている事自体賛成しているとは言い難い。

その仲間が舞華に手を出したなんて知ったら舞華に会う事も出来なくなる可能性がある。

「百合さんにバレたら軟禁されるって思ってるの?」

「だって・・・そうでしょう?叔母様はバンドやライブって言葉にも嫌な顔をなさるのに相手が静だって分かったら・・・!」

あいつは今まで見た事もないほど脅えていた。

どうやら信也の母親は強敵らしい。

「分かったわ。無理に届けを出しなさいなんて言わないわ。何か困ったことがあったら名刺の番号に電話してきて頂戴ね」

舞華の母親はそう言って強要はしなかった。

取り敢えず俺と舞華の付き合いは親公認という事になった。

俺と舞華への“お年玉”だったのかもしれない。

俺は結局舞華の両親と音楽論議を楽しんでいた。

音楽の力って凄いと思う。

舞華の父親とも笑顔で会話できるんだからな。

気が付けば終電もなくなっている時間だった。

「泊まって行きなさいよ。客間は空いてるわ」

舞華の母親は俺の気も知らずにとんでもない事を言った。

同じ屋根の下に居て俺が眠れるはずがないだろっ・・・!

心の中で俺は叫んだが、舞華の親に逆らえるはずもない。

その夜は九ヶ月間で一番辛かった。

当然寝不足。

翌朝はしっかり朝食をご馳走になって家に帰った。

冬休み中はずっと家に居るというので最低二週間は会えないって事か。

俺は大きな溜め息を吐いた。

ご覧頂きありがとうございます。


お預け静斗が菊池家にお泊りです。

かなり拷問だよね。

ご愁傷様です〜。

早く冬休みが終わるといいね、静斗。


・・・と言う事でさっさと冬休みを終わらせてあげたいと思います。


次回26日更新デス。


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