(7)
放課後、そうじ当番のオレとゲンセイは普段はやらない窓のガラスみがきまでしてグズグズと時間をつぶしていた.
ミドリーとアキコーは先に帰った。
アキラーは先に美術室に行ったようだ。
タメイキをつくと、ゲンセイが「…行こうか。」とそうじ用具を片付け始めた。
職員室には先生だけがいた。アキラーはいなかった。
「先生、アキラーは?」
「ミノルー達の顔見たら泣きそうだからって、帰ったわよ。」
ハァー?アネー死なす!誰のせいダバー!
心の中でワジワジーしてたら、先生が言った。
「理科室のビーカーを無断で持ち出して、金魚を埋めに行って、ビーカーは無くしたで、話は全部なの?」
ゲンセイは「うん。」とうなづいた。
「ミノルー、そうなの?」
先生がオレを見た。
ゲンセイが‘言うな!’みたいに睨んでる。
ゲンセイ、アキラーはお前のせいにして帰ったんだ。
お前がフラーみたいさー。
オレはお前のとうちゃんから、「フラーな事したら止めれ」って言われたし、言われなくてもオレはそのままはできんよ。
「先生、本当はよ…。」オレはいままでの事、本当の事を先生に言った。
「ゲンセイ、人をかばう優しい心は感心するけど‘オレは慣れてるから。’ってやってもない事まで自分でかぶってはダメだよ。お父さんがそんな事聞いたら悲しむよ、」
「お父さんだけじゃない、先生も悲しいし、ミノルーも悲しいさー。自分を大切にしなさい。」
先生は大城文具のおじさんと同じ事言ってる。
「先生、アキラーはゲンセイのせいにして帰ったんか。」オレは怒って聞いた。