(5)
アキラーは泣き出してしまった。
先生が言った。『ビーカーはどうしたの?』
ゲンセイが答えた。『…。わからん。』
先生はため息をつくと、
「放課後、アキラくんとミノルーとゲンセイは職員室に来てね。はい、出席をとります。静かにしてー。」
休み時間になった。
ゲンセイがすぐにやって来て「なんも言うなよー。」とオレに言った。
「なんでよー。ぜんぶアキラーのやったことさー、オレたちが悪いみたいなって、ビーカーも弁償させられたら父ちゃんにクルサレルバーヨ!」
「…。なんで、いいさ。いつもの事さ。アキラーは怒られるの初めてかもしれないさー。泣いてたやしぇー。大丈夫。ぜんぶオレのせいにするから。」
オレはだまった。
「…。なんでかわからんけどよ。あんな金魚のためによ、父ちゃんに怒られる事するアキラーは…。なんか助けたいバーヨー。オリコーって思ってたけどフラーかもな。」
フラーはお前だゲンセイ。
「ごめん、ゲンセイくん。ミノルくん。金魚は…。」
アキラーが話し掛けてきた。だけど、その後は言葉にならず、ただメソメソと泣くばかり。
オレは腹が立ってきて、怒鳴った。
「ヤーは、イナグかー!ナチャーナチャーし!モノもはっきり言えんのかー!」
「おまえのせいで、ゲンセイは父ちゃんにクルサレルバーよ!」
もう、やめろとゲンセイがアキラーをかばった。
アキラーに「なんでもない」と「大丈夫だ」と言ってる。
アキラーはうつむいたままだ。
その時、オレは前にゲンセイの父ちゃんが言った事を思い出した。