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「デージ、アキラー。理科室からヌスドゥしてきたんかー。金魚どうするー。」
ゲンセイが言った。
「金魚の病気、早く治さないと死んじゃうから…。ビーカーは明日、理由を言って先生にかえすから…。」
泣きそうな顔をしてアキラーは教室を出ていった。
「フラー、アキラー、病気アランバーヨー。死ヌンドー、助からんバーヨー。ワカランカー。待てー。」
ゲンセイが追いかけていく。オレも一緒に走り出していた。
後ろからミドリーたちの「そうじはー?」「先生に言うからよー」の声が聞こえた。
今はそれどころじゃないような気がした。あのオリコウのナイチャーのアキラーが変だ。
やっとゲンセイたちにおいついた。
「エー、アキラーもどろう。今だったら、わからんよー。ミドリーなんかにもしゃべらさんようにするし。
どうせ、金魚はどんなにしても治らんよ。」
ゲンセイがアキラーに話しかけていた。
オレも「ダール、ダール」とあいづちをうった。
「ボクのお父さん、医者だから治せるかもしれない。」
オレとゲンセイは目を合わせた。