9.そして二人は永遠に
唐草潤太の自宅に一通の封書が届いた。
その封書の中には、一枚のコンサートチケットと、三行ほどの文字が綴られた便箋が同封されていた。
その封書の中身を確かめる潤太は、手にしたコンサートチケットに目を向けた。
“夢百合香稟 スーパーライブ 場所:東京ドーム 開演:18時30分~...”
そのチケットは、夢百合香稟の初コンサートの入場チケットであった。
潤太は、チケットと一緒に同封されていた便箋を読んでみた。
「お久しぶりです。あたしのファーストコンサートのチケットを贈ります。都合がよければ、ぜひとも会場に来てください。その時、あたしの将来について、ファンのみんなの前で告白するつもりです。それでは、期待して待っています。由里より」
歯切れの悪かったあの電話以降、潤太と香稟はまったくの音信不通の状態だった。
何の前触れもなく突然に届いた封書。潤太は複雑な心境のまま、手にしたコンサートチケットを見つめていた。
◇
芸能界を騒然とさせた夢百合香稟の引退表明。
あの衝撃的な告白から、この一連の報道に大きな進展はなかった。
引退を覆すこともなく、また芸能界から姿を消したわけでもない。
誰もが引退表明に薄らぎ始めていた矢先に、この初コンサート開催の発表が行われたのだ。
果たしてこの意図とはいったい...!?
* ◇ *
ここは、夢百合香稟の所属する「新羅プロダクション」の社長室である。
ここには、落ち着かない面もちの社長と、困惑めいた顔の新羅今日子がいる。
二人は囁くような小さい声で何やら話し込んでいた。
「...で、香稟のヤツはどこにいる?」
「自宅のマンションにいます。今、早乙女クンが部屋の前で監視してますから、どこかへ逃げ出すことはないかと。」
「そうか。で、例の件の状況はどうなんだ?」
「今のところ好調です。何せ、彼女の初めてのコンサートですからね。」
社長は不機嫌そうに、鼻息を荒くして怒鳴る。
「フン、何が初めてのコンサートだっ!マスコミじゃな、アイツの最初で最後のライブとほざいとる!」
「それは仕方がありませんよ。事務所側からの引退表明、発表も撤回もまだ正式にしていませんから。」
「ここで下手に動けば、ますます香稟を追い込むことになる。とにかく穏便に事を進めるんだ。チケットの方もはけてるとあれば、香稟のヤツもホイホイとボイコットなんぞできんだろうしな。」
「......。」
今日子の表情は、これまで以上に険しかった。
「どうした今日子?何か問題でもあるのか?」
「...いいえ。ただ。」
「ただ、何だ?」
「...もう少し、彼女の気持ちを理解できていたらと思うと。わたしがもっと、香稟のことをわかってあげていれば、こんなことにはならなかったと...。」
社長は厳しい口調で言い返す。
「いまさら何を言ってる!こんなことになったのは、アイツのワガママと、おまえの管理責任としか言えんだろうがっ!」
「...申し訳ありません。」
「だいたいな、香稟のヤツは芸能界をなめきっとる。あんなスキャンダル起こしておきながら、仕事を選ぶなんて生意気なことしおって。冗談じゃ済まんぞ、まったく!」
今日子は、心の奥に秘めていた香稟への心遣いを見せる。
「でも、あの子は一生懸命にやってきました。右も左もわからないこの世界で、数ある仕事を必死になって成し遂げていきました。今までいろいろな困難にぶつかったでしょう。だけどあの子、弱音を言わずにここまでやって来たんです。だから、少しはあの子の気持ちもわかってあげないと...。」
マネージャーの言い分など聞く耳持たず、社長はさらに目くじらを立てる。
「気持ちをわかってあげろだとぉ?そんなこといちいち気にしていたらな、芸能界ではやっていけないんだ。スポンサーや、番組プロデューサーといったお偉いさんに好感を持ってもらえなければ、この業界で生きていくことはできん。そのためにもな、香稟は言われた仕事だけをやっていればそれでよかったんだ!」
今日子の表情が、見る見るうちに紅潮していく。
「いい加減にして、父さん!!」
今日子は身震いしながら、目の前の父親を激しくにらみつけた。
「昔から父さんはいつもそうだった...。わたしがアイドルだった頃から、いつもこの世界でやっていけないとか、生きていけないとか...。もうそんなの聞き飽きたわ!」
「お、おまえ、社長のわしにたてつく気か!?」
「黙って聞いて!!」
感情を高ぶらせる今日子を前に、社長は思わず縮こまってしまった。
「わたしも、香稟と同じような思いを抱いたことがあるわ。自分の名を売るために、わたしは父さんに言われた通りにやって来た。だけど、そこにある現実は、空しくて、せつなくて、何よりも悲しかった...。事務所を救うために、そして父さんを助けるために、わたしは自分の手までも汚したのよ...!」
「ぐっ...。」
今日子をまともに見ることができず、押し黙ってしまった社長。
「ねぇ、父さん。香稟にも、わたしと同じ目に合わせる気なの?あの子はまだ17歳なのよ?確かに、芸能人としての自覚が足りないのはわかる。だけど、あの子にこれ以上辛い思いをさせたくないわっ!」
今日子の嘆きは、香稟の今の気持ちをそのまま表していたようだ。
実の娘の忌々しい過去を知る社長、いや彼女の父親は、娘の悲痛な胸の内に何も言い返せなかった。
社長はうなだれながら弱々しく口を開く。
「...どうすればいいんだ?我が社はどうなるんだ?」
「待ちましょう。彼女がアイドルとして戻ってくることを。もし、このコンサートが、彼女にとって引退コンサートになったとしても、もう彼女を止めたりしない...。これからの彼女の人生は、わたし達じゃなく、彼女自身で決めてもらいましょうよ。」
社長はもう反論することなく、今日子に背中を向けていた。
「...わかった。アイツのことはすべておまえに任せた。勝手にしろ。」
「ありがとうございます。」
今日子は、社長の後ろ姿に深々と頭を下げた。
遠くを見つめて、彼女は心の中で祈った。
「香稟、お願い。夢をこのまま終わらせないで...。」
香稟の初コンサートまで、残り1週間を切っていた。
* ◇ *
「おい、取れたか?夢百合香稟のチケット!」
「いや、残念ながらダメだった。もう完売だってさ。」
「ちくしょ~。せっかくの彼女の引退コンサートなのによぉ。行きてぇよなぁ。」
潤太の通う学校、彼のクラス内でも、夢百合香稟の初コンサートの話題で沸き上がっていた。
そんな中、潤太は机に肘を付きながら、絵画になりそうな外の景色を眺めていた。
「よっ!」
潤太に話しかけたのは、お馴染みの彼の友人である色沼であった。
「ここ最近、元気ないじゃないか?やっぱり、隣にカワイコちゃんがいないからじゃないのかな?」
「...そんなんじゃないよ。」
のれんに腕押しとはまさにこのことで、今の潤太に声を掛けても、無気力な返事ばかりが返ってくる。
『ドタドタドタ...!!』
窓際の二人に近づくやかましい足音。その足音はどんどん大きくなっていく。
「あれ、浜柄のヤツじゃん。」
その足音の主である浜柄は、息を切らせて二人の元へとやって来た。
「はぁ、はぁ...。お、おお、おい!ちょ、ちょっと付き合えよ、二人とも。」
「ん?どうかしたのか?」
「いいから黙って付いてこいって!」
「...?」
色沼と潤太の二人は、渋々浜柄の後に付いていった。
◇
男三人は物静かな屋上へとやって来た。
「で、何だよ?こんなとこまで連れてきてさっ!」
「へっへっへー!」
いきなり怪しげな笑みを浮かべる浜柄。
その異様な様に、色沼と潤太は思わずのけぞった。
「これを見よ!」
「?」
浜柄の手に握られた紙きれに、色沼と潤太の二人は視線を合わせる。
「お、おい、これまさか...!」
「わっはっは、その通りさ!これこそ、スーパーゴールデンプレミアムチケット!あの夢百合香稟のコンサートチケットじゃあぁ!どうだぁ、頭が高ーい、控えろぉ!!」
「へへぇぇ~!!」
色沼はひれ伏すように、光り輝くコンサートチケットの前に土下座してしまった。これではまるで、水戸黄門のクライマックスのようである。
「だ、だけどおまえ。そ、それどうやって手に入れたんだ?今じゃ、どうやっても入手できないチケットなんだぞ。」
浜柄は誇らしげに、手に持つチケットを見せびらかす。
「いやぁ、オレって運がいいよ。実は渋谷のチケット売り場でさ、期待もしない福引きをやったんだよ。そうしたらさ、なんと1等賞!で、その景品がこのチケットだったというわけさ。」
「...おまえ、意外なところで運がいいな。普段はバカと呼ばれるほど運に見放されてるくせによ...。」
「おいおい色沼クン!話は最後まで聞いてくれ。ほれ、これを見てみな!」
「ん!?」
フリフリと揺すられたチケットは、なんと一枚ではなかったのだ。
「えっ!?ま、まさか二枚あるのか?」
「ピンポ~ン!」
色沼は、襲い掛かるように浜柄の体にしがみついた。
「くれぇ、くれぇ、くれよぉ!!」
「わわっ!抱きつくんじゃねぇー!気持ちわりぃだろうが!」
「なぁ、頼むよぉ。二枚あるならいいじゃんよぉ。」
「落ち着け!とにかく離れろぉ!」
浜柄は無理やり、抱きつく色沼を引き剥がした。
「何のために潤太を連れてきたと思ってんだ?もう一枚はオークションにかける!」
「オークション!?」
「そう!つまり、おまえらが順番に購入金額を上乗せしていくんだ。最終的に高い金額を提示した者が落札となる。どうだ、最高のルールだろ?」
色沼はしろ~い視線を飛ばす。
「おまえ、めちゃめちゃセコイぞ...。もらいもんをオークションにかけるなんて。」
「うるせぇ!こんなとっておきの小遣い稼ぎをオレが見逃すと思ってんのか?よし、一枚定価の6,800円からスタートだ!」
色沼は興奮しながら、人差し指一本を上空に突き立てた。
「オレは6,801円だっ!」
「......。」
潤太は黙ったまま、二人のやり取りを眺めるだけだった。
「おい、どうした潤太?おまえはいくらだ?」
「...ボクはいらないよ。じゃあ。」
潤太は冷めきった表情で、呆気にとられる二人の元から立ち去る。
「お、おい!潤太、待ってくれ!おまえが争わなかったら、オークションの意味がないじゃんか!」
「よっしゃあぁ!6,801円で落札したぜぃ!」
「ちくしょぉ~、上乗せ額、たったの1円かよぉ。とほほ...。」
下らないことで喜ぶ者、悲しむ者など目もくれず、潤太は一人教室へと戻っていった。
* ◇ *
その日の放課後、潤太は一人で寄り道していた。
夕暮れ迫る黄昏時、彼はいつもと変わらない街並みを散策している。
行き交う人々、追いつき追い越す人々、そのすべてがいつも通りだ。
潤太は少しだけ足を伸ばそうと、込み合う電車へと乗り込み、自分にとっての思い出の場所までやって来た。
ここは、雄大な木々が生い茂る代々木公園である。
「......。」
潤太は立ち止まり、目の前に映る公園の景色を見つめている。
「こんな色、初めてだ...。」
ふと漏らした独り言。彼の心は、今までにない感動に打ちのめされた。
落日が織りなす真っ赤な陽射し。
赤と緑のコントラストに映える木々達。
木の葉をやさしく揺らす穏やかな風。
その空間を漂う人々。
そのすべてが、潤太自身の絵心をかきたてる。
「くそ、スケッチブック持っていればなぁ...。」
彼は地団駄を踏むように悔しがった。それだけ、彼の目の前に映る景色は、不思議なほど美しかったようだ。
「...こんな時に限って、何でこんないい色が見つかるんだろう。こんなに辛い想いをしてる時に限って...。」
彼は嘆かわしく、夕暮れ色の代々木公園を後にした。
◇
潤太が自宅へ戻ると、居間にはすでに夕食の準備が整っていた。
彼は、母親に言われるがまま、学生服のまま夕食を済ませた。
自室へと戻った彼は、机の上にあるコンサートチケットを手に取り、まじまじとそのチケットを見つめる。
彼の表情は、計り知れないせつなさを映していた。
『コンコン』
彼の部屋を訪ねた人物は、彼の弟の拳太であった。
「兄貴、もうすぐだな。香稟ちゃんのコンサート。」
「あ、ああ。そうだな。」
「チケット、送ってもらったんだろ?」
「ああ。ほら、これだよ。」
潤太は、手の中にあったコンサートチケットを拳太に差し出した。
「彼女にとって、最初で最後のコンサートか...。」
チケットを見つめて溜め息をつく拳太。
「もちろん、コンサート見に行くんだろ?」
「......。」
拳太のその問いに、潤太は肯定も否定もせず黙り込んでいたが、次の瞬間、それはあまりにも突然のことだった。
潤太はいきなり、拳太からチケットを奪い取ると、何を思ったのか、そのチケットを破り捨てようとしたのだ。
「お、おい兄貴!何する気だぁ!?」
拳太は飛びかかるように、潤太の腕に掴みかかった。
「それ破っちゃったらおしまいだぞ!」
「もういいんだ。ボクが見届けたところで、彼女の決意が変わるわけじゃないし。それなら、いっそこのまま...。」
掴まれた手を振りほどこうとする潤太。
「ダメだって!香稟ちゃんがどういう気持ちでこれを送ったのか考えてみろよ!破り捨てちゃったら、そんな香稟ちゃんの想いまで断ち切っちゃうことになるんだぞっ!」
「......。」
潤太は、必死になって食い止める拳太を前に、チケットを握った手を緩めた。
潤太は頭を垂らし、脱力感で全身が崩れ落ちそうになっていた。
「なぁ、兄貴。行けよ、コンサート。行けばさ、これからどうすればいいのか、きっとハッキリすると思う。香稟ちゃんが引退しようがしまいが、それはオレ達の決めることじゃないしさ。それに、どっちにしたってさ、兄貴は彼女が好きなんだろ?」
ゆっくりと顔を上げた潤太は、真剣な顔の拳太を見つめる。
「今になって逃げるなよ。香凛ちゃんの気持ち、ちゃんと見届けて来いよ。そして彼女のことを受け止めてさ、もう一度、兄貴の想いを伝えればいいじゃないか!」
「...拳太、おまえ。」
拳太の応援は、潤太のやりきれない心情を励ましてくれた。
「...兄貴。昔、オレがいじめたれた時、確かこう言ったよな?負けて逃げ帰ってくる前に、相手にぶつかって、根性だけでも見せつけろってさ。あの時オレ、それにすごく励まされたんだ。」
拳太は照れくさそうな顔をしながら話し続ける。
「絵ばかり描いてる兄貴なんか、頼りにならないってずっとそう思ってたけど。あんな風にかっこよく言われてさ。オレ、兄貴のことちょっぴり尊敬したんだぜ?」
「いきなり、そんなこと言われると恥ずかしいじゃないか。それでも、ちょっぴりなんだな...。」
顔を見合わせて苦笑する二人。ここには、お互いを勇気づける兄弟らしい姿があったようだ。
「わかったよ。ボク、コンサート行ってくる。おまえが言う通り、彼女の気持ちをこの目で見届けてくるよ。」
「ああ、オレの分まで聴いて来いよ。彼女の生の歌声をさ。」
「そうだな。せっかくのプレミアムチケットだもんな...。」
汗でしわくちゃになったチケットを、両手で丁寧に伸ばす潤太。
自分の気持ちと向き合うように、彼は改めてそのコンサートチケットを見つめていた。
そして時は、さまざまな想いのままに早々と過ぎ去っていく。
* ◇ *
日曜日。今日はまさに、誰もがのびたくなるほどの快晴であった。
そして...。今日はファンにとって待望の、夢百合香稟のファーストコンサート当日でもあった。
午後4時過ぎのこと。
唐草潤太は身支度を整えて、いざコンサート会場である東京ドームへと向かう。
彼は、自宅の最寄りの駅から電車へと乗り込んだ。そして、その電車は彼を乗せて、東京ドームの姿を臨む水道橋駅へと辿り着く。
駅周辺は、夢百合香稟の姿を人目見ようと、様々な人々でワイワイガヤガヤと賑わっていた。
このコンサートが最初で最後になるかも知れないと、ここに集まった人々の頭には、そんな寂しさが思い浮かんでいたのかも知れない。
潤太は、そんな人々に押されるように、緊張でこわばる足を急がされた。
遠くに見える東京ドームの広告板が、今日行われるビッグイベントを知らせている。
“夢百合香稟ファーストコンサート ~ドリーム・フォー・エバー”
潤太はそれを見上げながら、東京ドームへ向けて足を進める。
東京ドーム周辺も、今日という日を待ちわびたファン達でごった返していた。
明るいオレンジ色のはっぴを着た若者達が、もうじき開く会場入りを心待ちにしているようだ。
潤太は圧倒されつつも、そんなファン達の群れを避けるように歩いていた。
「あっ!」
そんな彼の目に、会ってはならない人物の姿が映った。
それは、周辺にいるファン達と一体化しているといっても過言ではない二人組だった。
「あと30分ぐらいだな。」
「お、そうだな。それじゃあ、そろそろ正面入口で待機するか?」
「そうだな。」
東京ドーム正面入口へ向かう二人組。彼らこそ、潤太の友人である色沼と浜柄のコンビであった。
潤太は、そんな二人に見つからないよう、柱の陰に身を潜めていた。
こんなところで出会ったら何て言われるか...!
潤太は息を殺して、二人が行き過ぎるのを待った。
「ふぅ...。」
見つからずに済んで、ホッと一息つく潤太。
二人の姿が視界から消える頃、東京ドーム施設内のスピーカーから、コンサート会場への入場受付開始のアナウンスが流れ始めた。
潤太はそれでも警戒しつつ、正面入口に向かって歩き出した。
◇
東京ドーム内のある控え室では、今日の主役となる夢百合香稟と、マネージャーの新羅今日子が打ち合わせをしていた。
いつになく真剣な眼差しで応対する香稟。
その彼女の表情に、新羅は不安を隠しきれない様子であった。
打ち合わせも終わり、会場の状況を確認に行こうと部屋を出ていく新羅に、香稟は小さな声で話しかける。
「今日子さん。」
「ん?何、香稟?」
香稟は笑顔ではない表情を、落ち着きのない新羅にぶつけた。
「あたし、コンサートの終わりの方で、会場に来てくれたみんなに報告します。あたしのこれからの進むべき道を...。」
「......。」
新羅は無理やり作り笑いを浮かべる。
「わかったわ。社長には、わたしから伝えておく。来てくれたファンのためにも、その辺ハッキリさせなきゃだものね。」
「はい。」
「それじゃあ会場の方へ行ってくるから、ここで待っててくれる?」
「はい、行ってらっしゃい。」
新羅はそう伝えると、部屋の前で警備しているガードマンに声を掛けて、会場の方へと歩いていった。
控え室に一人残された香稟。
彼女は、ハンドバッグから一枚の風景画を取り出し、まじまじとその絵を見つめた。
「...あたしは、やっぱりこうするしかないんだよね。もう自分で決めたことだもん。後悔なんてしないよ...!」
◇
一方、いつもはプロ野球で盛り上がるスタジアム会場は、溢れんばかりの人々で埋め尽くされていた。
こういった雰囲気に慣れていない潤太は、あたふたとしながら、チケットに書いてあった座席番号を探している。
彼はファースト側の内野席へ足を運ぶと、チケットを辿りながら座席番号と照合する。
「あ、ここか。」
会場入り後10分ほど、潤太はようやく自分の座席を発見した。
何万人と収容できるこのスタジアムは、この上ないほどの盛り上がりを見せている。
会場が慌ただしく沸き立つ中、潤太はちょこんと座席に腰掛けた。
もうすぐなのだ。もうすぐ、あの香稟がスタジアム内の大きなステージへと現れる。
潤太は周りのざわつきに飲まれてか、心なしか興奮を抑えきれないようだった。
やがて、会場内にアナウンスが流れ始めた。
いよいよである。いよいよ、あのスーパーアイドルのコンサートの幕開けである。
◇
その頃、キラキラしたドレスを身にまとった香稟は、長い通路を歩いていた。
彼女の目指す先には、スポットライトに照らされた光り輝く空間がある。
彼女は一歩一歩、今日という晴れ舞台に少しずつ前進している。
彼女のすぐ横には、彼女を暖かく見守るマネージャーの新羅がいた。
「香稟、いよいよね。気合い入れてがんばってね!」
「はい!」
香稟は物怖じなく元気に答えた。
もう迷うことなんかない...。彼女は、その想いを新羅に伝えようとしたのだろうか?
小さかったスポットライトの明かりが、徐々に大きくなっていく。
スタッフに見送られながら、香稟は初めてのコンサートの第一歩を踏み出したのだった。
◇
会場内にどよめきと歓声が沸き起こる。
その誰もが、スポットライトに映し出されたスーパーアイドルに釘付けになった。
潤太は座ったまま呆然としている。なぜなら、目の前や横にいるファン達が一斉に立ち上がったからだ。
彼はこの状況に戸惑うばかりで、辺りをキョロキョロ見渡しながら、ファン達と同じ行動をとるしかなかった。
彼女の新曲のイントロダクションが会場内に鳴り響く。
ファン達はみんな、そのイントロダクションに合わせて手拍子を始める。
いよいよ、彼女の透き通るような美声が、どよめく会場内にこだました。
潤太は黙ったまま、その彼女の新曲を聴き入っている。
今まで、テレビの中でしか聴けなかった彼女の曲。そして、見ることができなかった彼女の歌っている姿。
潤太は応援することも忘れて、遠くのステージに立つ彼女を見つめるだけだった。
◇
一曲、また一曲と、彼女の歌が次々と披露されていく。
曲が進むに連れて、ファン達の応援はさらにヒートアップしていった。
潤太も無意識の内に、ミーハー小僧のように手を叩いて、自分の歌声を彼女の歌声にハーモニーさせていた。
舞台照明がカラフルに変わっていく。
彼女の衣装も、曲が替わるたびに変わっていく。
見る者を引きつける彼女は、一言で言うならまさに女神、地上に舞い降りたヴィーナスそのものだった。
◇
時は瞬く間に流れた...。
怒涛のごとく盛り上がった東京ドームは、少しずつヒートダウンしていく。
スポットライトの下に立つアイドルの夢百合香稟は、ハンドマイクを両手で握りしめたまま、何かをつぶやく姿勢を見せた。
そんな彼女を見つめる観客達も、自然と応援を止めて押し黙る。
会場内に、今までには感じなかった緊張感が漂っている。
潤太は心の中で囁く。
「ついにこの時が来たんだ。彼女のこれからがハッキリする時が...。」
彼は固唾を飲み込み、鼓動を激しく高鳴らせる。
会場にいる観客達、そしてスタッフ達も、ステージ上のただならぬ雰囲気を察してか、一斉に静かになった。
瞳を閉じたまま、香稟は握りしめたマイクに声を伝わせる。
「...みなさん。今日は本当にありがとうございました。こんなあたしのために、遠くからはるばる来ていただいたみなさんに、心から感謝します。」
マイクを通じて流れる彼女の声。
会場にいる観客達は、反響する彼女のセリフに耳を傾けている。無論、潤太もその内の一人だった。
「今日のこのコンサートは、あたしにとって、初めてのコンサートです。初めてだったから、みなさんに楽しんでもらえなかったかもしれなかったけど...。」
そんな彼女の言葉に、会場内のファン達は、彼女に向かって励ましの声を張り上げていた。
「ありがとうございます。あたしは、精一杯がんばりました。みなさん、応援してくれて、本当に、本当にありがとうございました!」
会場内は、割れんばかりの拍手の渦に包まれた。
その拍手の大きさは、ここに集まった観客達の、彼女に向けての感謝の気持ちを物語っていた。
「...みなさんもご存じだと思いますが。あたしは、あるテレビ番組の中で。」
途切れ途切れに語られる彼女の言葉。
彼女の次に続く言葉に、観客達はゴクッと息を飲み込む。
「...あたしは、引退を表明しました。」
会場内のファン達は、嘆くようなどよめきの声を轟かせる。会場内に反響するほどの大声で、“やめるなー!”や“どうしてだー!?”といった心の叫びがこだまする。
香稟はうつむき加減で、小刻みに体を震わせる。
「この芸能界は、みなさんが思っているほど、華々しく夢見る世界じゃありませんでした。恨みや妬み、噂に嘘、そして疑惑...。この芸能界は、あたしが憧れた舞台ばかりではありませんでした。」
予期もしない香稟の発言に、ステージ奥に控えていたスタッフ達は、慌ただしく騒然としている。
ましてや所属事務所の社長など、冷や汗をかきながらうろたえ始めた。
「お、おい、何を言ってるんだ!?きょ、今日子!早くアイツを引っ込ませるんだっ!」
「...社長。今、あの子を止めても無駄ですわ。彼女は今、一生分の勇気を振り絞って打ち明けているんです。あの子にとって、本当の気持ちを...。」
新羅今日子は穏やかな目で、ステージ上のアイドルを見守っている。
静けさと騒がしさが交錯する会場内で、香稟はさらに自分の想いを語り続ける。
「だけど、それが芸能界の現実だったら。それが生きていくためのルールだとしたら。あたしは、単なるわがままを言ってるだけかも知れません...。」
会場内にいる観客達は、彼女の悲痛な想いを黙って聞くだけだった。
「...あたしは、かけがえのない友達、いいえ、それ以上に大切な人に、元気を分けてもらいました...。」
その瞬間、潤太の緊張がピークに達した。
「彼はあたしにいいました。一番好きなことをしている時、それが一番楽しい時だって...。そして、どんなに辛くても、自分の抱いた希望、そして夢を決して捨ててほしくないと。」
会場内が大きくざわつき始めた。
彼女にとって、そのかけがえのない友達以上の彼とは何者だ!?
ざわつく観客など気にも留めず、その人物である男は呆然と立ちつくしている。そして、見つめている。そして、聞いている。
「あたしは...。小さい頃からの夢を、捨てないことを決意しました!」
その人物である潤太は、目を見開いて彼女を見た。
「ま、まさか由里ちゃん...!」
彼を含んだすべての観客たちに、香稟は最高級のスマイルと一緒にその決意を表明する。
「あたしは引退しません!!」
その一言に、東京ドームが壊れんばかりに沸き上がった。
ファン達は踊るに踊り、手を取り合って、握り拳を振り上げながら大声で叫びまくる。
潤太は呆気にとられたまま、崩れるように座席へと腰掛けた。
「由里ちゃんはやっぱり、今も、これからも、スーパーアイドル夢百合香稟なんだ...!」
潤太は、周りなど気にせずそう叫んでいた。しかしその叫び声は、観客たちの興奮したいななきにかき消されていた。
沸きに沸く会場内をさらに盛り上げようと、香稟はマイク越しで語り続ける。
「みなさん!今日のコンサートは、あたしにとって最高のコンサートです!あたしを勇気づけてくれたファンの人達と、そして、あたしの大切な人のために...。本日最後の曲を歌います!」
会場内はやんややんやの大騒ぎだ。
「この曲の歌詞は、あたしが心を込めて作りました。聴いてください。タイトルは“夢を諦めないで”。」
香稟はいよいよ、ファーストコンサート最後の曲を歌い始める。
可憐にポーズを決めて、彼女はハンドマイク片手に踊り続ける。
会場内のファン達すべてが、スターのように輝く彼女に大きな声援を送っている。
潤太も、周りのファン達に負けないよう、精一杯の大声で応援していた。
そして、その曲の終わりと同時に、彼女のファーストコンサートは閉幕した。
◇
東京ドームに静かな夜が帰ってきた。
それは、嵐の過ぎ去った後のように、異様なほど静かであった。
会場内を埋め尽くした観客達は、スッキリとした表情で家路へと戻っていった。
潤太はたった一人、関係者側入口付近へとやって来ていた。
次々と関係者が出てくる様を、彼は目を凝らして見つめ続けていた。
「...!」
ようやく彼のお目当てが姿を現した。
大仕事を成し遂げたスーパーアイドルは、警備員の大男達に挟まれて、軽やかな足取りで入口から出てきた。
彼女は達成感からか、この上なく明るい表情をしている。
「はぁ、気持ちよかったぁ。コンサートがこんなに楽しいものだなんて。これはやってみないとわからない感覚なんだなぁ。」
疲れた素振りをまったく見せない香稟。
そんな彼女に歩み寄ってくる人物、マネージャーである新羅は、暖かい声で彼女を出迎える。
「お疲れさま。今夜は最高によかったわ。この勢いでセカンド、サードとがんばって行きましょう。」
「はい!」
新羅は少し間を置いて、横にいる香稟にそっと問いかける。
「...ねぇ香稟。一つだけ聞いてもいいかな?」
「はい?」
「どうして引退を撤回したの?あなた、あんなに引退するって聞かなかったのに。それに、ステージで話してたかけがえのない人って...?」
香稟は満面の笑みで答える。
「あたしは、もう迷いません。だって、迷ったところで何も進まないし。それに、やりたいことやってる方が、あたしにとっても、あたしを応援してくれるファンのためにもいいと思ったから...。」
「そう...。フフ、あなたらしいわ。決めるときはキッパリ決めるんだもの。ありがとう、香稟。これからもよろしくね。」
「こちらこそ、今日子さん。」
そんな会話の中、何かの気配を感じた新羅はふっと立ち止まる。
「あら、誰かいるの...!?」
「え!?」
身構える香稟と新羅の目に飛び込んだ男の影。
その男は少しずつ、二人の側へと歩み寄ってきた。
「潤太クン...!」
香稟がその人物に気付いた瞬間、待機していた警備員達が、ものすごいスピードで彼に詰め寄った。
「ま、待って!!」
警備員達は鍛えぬいた肉体を武器に、潤太の体をあっという間に押さえつけていた。
「やめてっ!彼はあたしの知り合いよっ!!」
夜闇に響かんばかりの大声を張り上げた香稟。
その声に、警備員達は忠実に従い、素早く強靱な腕を振りほどいた。
「潤太クン!」
香稟は慌てふためき、尻餅をついた潤太の元へ駆けつけた。
「や、やあ、か、香稟ちゃん...。きょ、今日はご苦労さま...。ははは...。」
「来てくれたんだね。ありがとう。すごくうれしい...。」
香稟の潤んだ瞳は、まさにかけがえのない人物を直視する瞳であった。
新羅は、この二人がただの知り合い同士ではないと悟ってか、二人に向かって声を掛ける。
「二人とも、すぐ車に乗って!こんなとこマスコミに見られたら大変だわ!」
新羅の指示により、香稟と潤太は素早く社用車へと乗り込んだ。
そして社用車は、激しいエンジン音を響かせながら、夜の街へと走り出した。
◇
社用車は夜の東京をひた走り、香稟の希望の場所へと辿り着いた。そこは、彼女と潤太にとって思い出深い場所でもあった。
香稟と潤太の二人は、社用車のドアを開けて外へ出る。
「香稟、悪いけどあまり時間は取れないわ。10分よ。10分経ったら戻って来てね。」
「...はい。」
香稟は、マネージャーの新羅とそう約束してその場から離れた。
外へ出た二人は、水銀灯の明かりに照らされた公園内へと進む。
「...どうしてここへ?」
潤太の問いかけに、香稟はきれいな星空を見上げながら答える。
「何でかな。ただ何となく...。ううん。きっと、ここには何かがあると思う。」
彼女は、ハンドバッグの中から一枚の紙きれを取り出すと、潤太に手渡すように差し出した。
不思議そうな顔で、その紙きれを受け取った潤太。
「これ、ボクが描いたヤツ...。」
「そう。あなたが、あたしに送ってくれた風景画よ。」
「うれしいな。まだ持っててくれたのかぁ。」
「当たり前よ。あたしにとっては、とっても大事なものだよ。あなたからの最高のプレゼントだもん。」
「ありがとう。そういってもらえると、プレゼントした甲斐があるよ。」
潤太は照れくさそうに頬を赤らめた。
「潤太クン。この絵には何かがあると思わない?」
「え?う~ん、何だろう...?」
自分の書いた絵画を見ながら、首を捻っている潤太。その絵画を、彼と一緒に眺めている香稟。
「あたし達が初めて出会ったあの日。そして、最初にデートした日。そして今日。あたし達ってさ、気付くとここにいるような気がするの。」
「ああ。言われてみるとそうだね。ボク達、気付いたらここに来てるんだ。」
「あたしね。あなたに電話で励まされたあと、自分なりにいろいろと考えたみた。これからの将来やお仕事のこと...。もちろん、あなたのことも...。」
知らず知らずのうちに、彼女の温かい手が潤太の手に触れる。
潤太は気持ちを伝えるように、彼女のやわらかい手を握りしめていた。
「そして、この絵を眺めてみたの。そうしたら、不思議と心が和んできてね。この絵の景色に、なぜか描かれていないあたし達がいるような気がしたの。」
香稟の熱意が、彼女の手を通して潤太の心へと伝わる。
「あなたが人を励ます絵を描くように、このあたしも、ファンの人達を励ます歌を歌うことが、本当のあたしのこれからなんじゃないかって...。」
彼女のつぶらな瞳が、潤太の赤ら顔へ向けられる。
「もう、あたしは迷わないよ。あなたが一緒にいてくれたら...。あなたがあたしを応援してくれる限り、あたしは夢や希望を捨てたりしない。だから、引退なんてしないわ。」
香稟は流されるまま、潤太の胸の中へともたれかかった。
「由里ちゃん...。」
「...お願い。これからは“ちゃん”付けじゃなく、由里って呼んで...。」
◇
社用車の側には、不安そうな顔の運転手と、香稟が戻ってくるのを待つ新羅がいた。
「しかし...。新羅さん、誰何スか、あの少年は?どうも香稟ちゃんの友達みたいだけど。」
「そんなこと詮索するものじゃないわ。若い二人のことだもの。わたし達が口を出すことじゃないでしょ。」
「ふ~ん、そうなんスかねぇ。でも、これがきっかけで、彼女にまた変な噂が流れたらどうするんです?」
新羅今日子はクスッと愛らしく微笑んだ。
「その心配はないわ。公表されたことが正しければ、あの子も素直に打ち明けるでしょうね。だましたり、嘘付いたりしない彼女自身の真実をね...。」
彼女は心の中でつぶやいていた。
「これからの人生、すべてはあなたのものよ。仕事を愛して、そして人を愛して。あなたはわたしと違った道を辿る。それもすべてはこれから...。がんばってね、香稟。そして、いい夢を見せてくれて、ありがとう...。」
* ◇ *
あれから5年の歳月が過ぎた。
とあるマンションの一室には、ソファーベッドに横たわる一人の男性の姿があった。
その男性は、テーブルの上にあるお菓子をつまみながら、35型のテレビを眺めている。
ちょうどテレビには、新世紀の最初のアイドルと謳われる少女のCMが放映されていた。
「へぇ...。この子かわいいじゃないか。」
その男性がニヤニヤしながら微笑んでいると、彼の側へ一人の女性がやって来た。
「もう、だらしない格好ね!ほら、キチッと座りなさいよ。」
「お、おいおい、足を掴むなって...。」
その女性は、男性の両足を払いのけると、空いたソファーベッドへと腰を下ろした。
「何見てたの?鼻の下のばしちゃって。」
「あ、いやね。CMで今売り出し中のアイドルが映ってたんだ。」
「ふ~ん。で、かわいかったの?」
「ああ、まぁね。ボクの気に入った子は、きっと芸能界で活躍していけるよ。」
その女性はクスッと微笑んで、男性の頬をちょんとつついた。
「それって、実例があるからって言いたいの?」
「もちろん。キミはまだまだ活躍中じゃないか。結婚して数ヶ月。未だに忙しい忙しいってさ、仕事がぜんぜん尽きないんだもんな。正直、もう少し主婦業に専念してもらいたいのに。」
「ごめ~ん。だってさ、今日子さん躍起になって仕事取ってくるんだもん。さすがは事務所で一番の敏腕マネージャーよね。」
苦笑いを浮かべながら、そんな愚痴をこぼす女性。
「でも、昔よりはいいでしょ?今はアイドルじゃなくて、女優なんだもん。これでも昔よりは仕事減らしてるんだからね。」
「わかってる。キミは納得できるまで、この世界でやっていくんだもんな。ボクだって、無理を承知でまだ画家を目指してるわけだし...。」
「お互い、少しの妥協は仕方がないってとこかしら?」
「そーいうこと。ははははは。」
「フフフフフ。」
和やかな雰囲気の中、テレビからイベント告知のCMが流れる。
「あら、風景画の奇才、飛龍影。絵画展...。あ、ここの近くみたいよ。」
「おお、ボク知ってるぞ、この飛龍影っていう画家。結構いい絵描くんだよな。」
二人はクルッと向き合って、仲睦ましく声を揃える。
「見に行こうか!」
二人は寄り添い合って、明るく晴れた空の元へと飛び出した。そして、お互いの夢と希望を見届けるまで、一歩、そしてまた一歩前進していく。
その日の心地よい陽射しは、まるで二人にとって明るい未来の道しるべのようであった。
このおはなしは、これでおしまいです。
少し昔のおはなしで、時代錯誤していて矛盾点もあったかと思いますが、何か感じたことがありましたら、感想などいただけるとうれしいです。
最後まで読んでいただいた皆様には、重ねて厚く御礼を申し上げます。