みぎゃ⭐︎みぎゃHalloween Nights(Tights)
ようやくうだるような夏の暑さが身を潜み始め、それでも日中はまだ暑い。
そんな10月も最終盤にかかったある夜の話だ。
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僕は寝ていたと思っていたが、ふと気が付くと古い西洋の農地に居た。
アラフォーも中盤に差し掛かっていた筈の身体は、
何故か10代の少女のようになり、更に猫耳が生えて包帯を巻いていた。
「何なんだコレは…?
あ、もしかして僕が女装配信してる時のキャラクター『みぎゃ子』!?」
僕は時々、配信サイトで女装して配信をしている。
年齢と共に少しずつ疲れ易くなり配信頻度は減っているが、
いまだに月イチ以上の頻度では配信している。
その際に何種類かのコスチュームと言うかキャラクターがあるのだが、
その中でもお気に入りの1種類、茶髪ボブヘアーの女装キャラだ。
そのキャラクターにコスプレでは無く、身体が丸ごと変わっていた。
変な話、身体の各所もちゃんと女の子になっていた。
「嘘だろ…?
何だよコレ、夢みたいだけど当然の如く夢…なんだよな?
そうじゃないと楽し過ぎるだろ。いやでも、そうならいっそ
夢の中だからこそやりたい事やっちゃおうかな。」
僕は女の子になった自分を楽しもうと、良からぬ事を考えていた。
しかしそこへ、数名の農夫達がやって来た。
「何だお前は?
コレからサウィン祭を始めるんだ。邪魔だからそこを退いてくれ。」
サウィン祭?一体何なんだろう。
スマホを開いて調べようとしたが、農夫達に力づくで退かされて僕は
思わず転倒してしまった。
「痛っ!
そうか、女の子の身体だから力には弱いんだ…。
となるとスマホなんて眺めてる暇は無いか。
周囲の様子をシッカリ見ていないと、襲われるかも知れないぞ。
何せみぎゃ子はめちゃめちゃ可愛い女の子設定だからな。」
僕がそんな風に自画自賛をしていると、
農夫達はせっせと祭の準備を始めた。
まず農作物が貯蔵庫のような場所へと運ばれて行った。
気温は涼しく夏がとっくに終わっている事を感じさせる。
冬に向けての貯蔵だろうか。
そんな事を考えていると、家畜が広場に連れて来られ、
そこで屠殺が始められた。
生々しい悲鳴と飛び散る血がグロテスクだったが、
僕はそれを見てここが現代では無いように感じた。
何よりも景色・風景もかなり牧歌的だ。
「中世…いや、もっと昔だな。
不思議と言葉は通じたけれど、僕なんてかなり異質だろうな。
まぁ夢の中だから時代考証とかは無駄なのかもだけど。」
屠殺された動物の肉は保存食として貯蔵庫へ運ばれた。
そして先程の収穫されたばかりであろう農作物と動物の肉を用いて
様々な料理が作られてテーブルに並べられた。
いわゆる収穫祭のようなものなのだろう。
僕もゲストのような扱いを受けてそれらを用意して貰った。
現代に比べると随分と粗野で質素な食事ではあるが、
かろうじて口にする事は出来た。
更にはアルコールまでが用意されていた。
僕は現代の食事に比べると味気ないこれらの食事を流し込む為、
それをグイッと飲んだ。こちらもやはり粗野な味がした。
それでも祭の際の食事を断るわけにはいかない。
農夫やその妻子達は楽しそうに談笑していた。
そして一点、これが死者達の供養の為の場所である事も示された。
誰もいない席にも料理が置かれ、農夫家の門は開かれていた。
現代で言う所のお盆のような死者を迎える祭なのだろう。
祭の中心には篝火が焚かれ、その中には屠殺された家畜の骨が投げられた。
「コレは…僕は一体何を見ているんだろう。
いや、見せられているのか?こんな光景、TVでも見た覚えが無いな。」
次の瞬間僕の身体は何処かへと強く引かれ、周囲が絵の具を零したような
異様な空間の中をずっと彷徨っていた。
「ん、何だあそこにある穴は。」
僕はその空間の中で丁度覗ける程度の大きさの穴がある事に気付いた。
そしてそこを覗くと、先程の土地に宣教師がやって来ていた。
コレは…確かキリスト教の布教、いや改宗の様子だろうか。
サウィン祭はそんな改宗の流れの中でも異教徒の祭祀として重視され、
カトリック教会の万聖節の前夜祭にあたる事から
All Hallow's eveningが徐々に変化して行き、やがてHalloweenになった。
早送りのように時代がドンドン進んで行き、
その流れの中で祭りもその姿を少しずつ変えて行くようだった。
そんな中で、人々がバタバタと倒れて行く時代があった。
コレは…いわゆる黒死病と言うやつだろうか。
死者がより身近な存在となり、人々がサウィン祭に込める意味合いも
より一層強くなったようだった。
更にもう一つ、早送りが一旦通常の速さに戻ったタイミングがあった。
コレは…いわゆる魔女裁判か。
この時代以降、サウィン祭は「魔女・猫・箒・悪魔」と言ったモチーフが
よく持ち出されるようになって行った。
そして17世紀頃のイングランドだろうか。
子供達が仮面を被りながら歌い、道を練り歩いている。
「魂よ、魂よ、霊魂のケーキを。
どうぞやさしい奥様、霊魂のケーキを1つ」
こうして子供達は裕福な家庭からケーキや食料を得ていた。
なるほど、コレがトリックオアトリートの起源か。
更に時代が進み戦後のアメリカが見えて来た。
そこでは製薬会社・映画会社・TV局がスローガンを掲げた。
「Trick or Treating!!(トリックオアトリート!)」
そうか、コレが有名なハロウィンのスローガンの起源なのか。
更にはアメリカ人達が世界各国へ様々な目的で渡航し、
その中で現代と変わらないようなハロウィンが広まって行った。
そして更に時代が少し進んで20世紀ももう後半だろうか。
子供達の仮装はお化けや魔女といった恐ろしいものから、
海賊や警察と言った職業や特殊な服装、更にはアニメキャラクターへと
もはや単なる仮装の為のイベントへと変わって行った。
しかし一方で、近年のハロウィンには物騒な場面が出現し始めた。
人が大勢集まる事からそこでの喧嘩や仮装しての窃盗等の犯罪、
更には銃乱射のような大規模な虐殺事件等も起こり始めた。
更には障碍者を揶揄したような仮装や差別を助長するようなもの、
テロリストや独裁者の仮装と言った倫理的に問題があるもの。
そして都会の街を練り歩きながら単なる破壊行為を楽しんだり、
肥大化した自意識で発情した異性を得るような者達が集まり、
もはや本来の意味からは大きく外れて単なる迷惑行事になり果てた。
更には各社企業達もこれを機に商戦に乗り出し、
ハロウィンを銘打った商品の開発・発売に躍起になった。
パッケージが可愛らしいものになる程度なら良かったが、
普段あまりなじみの無い季節限定のフレーバが発売され、
それらはイベント期間が終われば見向きもされず安売りされた。
「何なんだろう、人間の歴史の中で文化は変化して形を変えて行くけれど
どんどん品位が落ちて行っているような…。
でも世の中は水の流れと同じように低い方へ流れるとも言うし、
低俗になって行くのも仕方の無い事なのかな…。」
そんな僕の元へ、3人の仮装したOL達が寄って来た。
「はーい、ハッピーハロウィーン!!
トリックオアトリート!?」
今の僕は猫耳包帯ミイラコスプレをした可愛い女の子だ。
だから警戒心無く寄って来たのだろうけど、中身男だぞ。
「えぇと…じゃあ御菓子持ってないからイタズラで?」
「ありゃ~、イタズラ選んじゃうんだ、この子!
それじゃあホラ、皆でくすぐり攻撃~!!」
そう言うと3人は僕の身体をくすぐり始めた。
正直、薄手の包帯でくるまれただけで裸に近い身体を
OLさん達の繊細な指でくすぐられるのはかなりキツい。
女の子になった僕の柔肌にOLさん達の指が這う度に
「はぅっ」とか「あぁっ」とか喘いでしまう。
女の子の身体とはこうも敏感なのか。
「うわ、めっちゃ感じてるじゃんー、恥ずかしー」
確かに、正直かなり恥ずかしかった。
だけど声が出るものは仕方ない。
と言うより、女の子をくすぐって楽しのか?
「じゃあ、次アタシ達みたいな人達にイタズラされないよう
このお菓子詰め合わせあげるから、大事に使いな~」
ありがたい。
人とすれ違う度にこんな事をされていたら多分、
一時間後には涎やら何やらで汁塗れになってると思う。
そして僕はふと考えた。
あちらから言われるばかりじゃなく、僕からも言ってやろう。
そこで先程のOL3人組を追い掛けて言った。
「トリックオアトリート!?」
「ありゃりゃ~、次はアタシ達の番かぁ。
でもお菓子はもうあげちゃったしなぁ。
ねぇ、次、他に何が欲しい?」
「うーん、そうだなぁ…お財布とかはナンセンスだし、
だけど今持ってるもので…そうだなぁ…」
その時、ふとOLさん達の足元に目が行った。
黒とオレンジのストライプ柄タイツ。
「それ、今日使ったらもう履かないの?」
「え、そりゃまぁさすがに普段使いするにはこんなの、
ちょっと派手過ぎでしょ(笑)」
勿体ないな、正直そう思った。
そして何より僕は匂いフェチだ。
「あの、どうせ捨てるんならそれ、くれませんか?」
「え、まぁどうせ使い捨てで買った安いヤツだし良いけど、
こんなのどうするの?ってか蒸れて結構臭いよ?」
「それが良いんです!」とは、さすがに言えなかった。
OLさん達はその場ですぐに生脱ぎしてくれた。
もちろん湿っていて匂いも臭かったが、そんな事よりも
靴下を脱ぎブーツに素足を入れて再び歩くOKさん達。
その方がもっと臭そうで、しまった!と思った。
「あ、あの!この名刺、僕の住所なんです!
もしご迷惑でなければそのブーツ、後日送ってくれませんか。
もちろん、着払いでOKです!
どうせ直履きで臭くなって使えなくなるから、良いですよね!?」
OLさん達はドン引きして、「ハ?コイツ何言ってんの?」
と言う顔をしていた。しかしそんな事はどうでも良い。
どうせ夢の中なのだから。
OLさん達は「考えとく」とだけ言って名刺を受け取り、
また向こうの方へと行ってしまった。
「リサイクル」や「ゼロ・エミッション」と言う言葉が浮かんだ。
現代人はあまりにゴミを出し過ぎている。
だから、臭くなっただけで捨ててしまうハロウィン柄靴下等は、
僕が責任を持ってリサイクルする。いや、コレはもうリサイクルじゃない。
臭いクルだ。僕は新たな言葉を発明した。
よし、ハロウィンの夜の間に女の子達からなるべく多く、
臭くなった靴下を集めまくるぞ!
こうして僕はハロウィンの夜の街に溶けて行った。
「使えるものは残し、余分なものはちゃんと使い切る。」
そんな原初のサウィン祭の農夫達の知恵が、僕に宿っていた。
ハロウィン機関の間だけ使って、その後は捨てたりタンスの肥やし。
そんな靴下やニーハイ、タイツ、スパッツ、トレンカはありませんか?
もしあるなら僕、みぎゃーに送って下さい。
もちろん、着払いで構いません。お待ちしております。




