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第3話 ぼきぼきにへし折り続けた枝!

強制的に…俺は、兄の手を離させてしまった……。


あの日以降、リュカが静かで居た堪れない。

家へ帰れよってフィギュア渡しても「ううん」って首を横に振って返されるだけだった。


「ケンカはダメってお兄ちゃんが言ってたよ」ってママじゃなく”お兄ちゃんが”…とリュカはあの時言ってたし、もしかしたら兄以外の家族が居ない子だったのかもしれない。わからない。聞くのが怖くて聞けていない。


……ッちくしょう。後悔が募りすぎて吐き気がする。


だって、備品室でスカイジャンパーのミニミニフィギュアを見つけた時に、何個かポケットに突っ込んでいればリュカの兄は確実に救えた!!!

それに、木箱を持ち上げ子供達に向かってフィギュアをばら撒き「お前ら家帰れ!」って一言言えたら、親元まで帰れた子も何人か居たはずだ……居たはずなんだ……!!


おっさんだって死ぬことはなかったのに、、、本当……俺は、なんて馬鹿なことをしてしまったのだろう。悔しい。むしゃくしゃする。


あの事件以降、神隠しの噂は落ち着いて来たから、神隠し=瞬間移動で消えた+おっさん達に攫われてたって事なんだろうな…知らんけど。瞬間移動できる子供が死んで、組織の人員も減ったんじゃぁそりゃぁ噂が落ち着くよな……クソが。


今はどうにか気分を変えたい。このままじゃ俺達どうにかなっちまう。


「おい。リュカ、ちょっと付き合え。着替えて飯行くぞ」


俺は、強制的にリュカを立たせ上着を羽織らせて、この世界に初めて来た時に雰囲気がいいなと印象に残っていた飲食店へ行くことにした。


あんまり味はしなかったが、誰かと一緒に外でご飯を食べる経験なんて初めてだったから、俺はちょっと感動した。こんな状況じゃなきゃもっと楽しかったんだろうな……


__________


腹ごなしに街を歩く。とにかく家にはまだ帰りたくなかった。連れ回して悪いな…とリュカを思いながら、手を引き、歩幅を合わせながらゆっくり歩く。


ゆっくり歩くのは新鮮で、いつもなら気にしない看板の文字や道の舗装、それに木々の揺れる感じなど、どうでもいい発見を色々した。自己嫌悪に陥らない様になるべく外の景色を感じながら歩く様にした。リュカにもそれを促した。本当に何やってんだろうな…俺。


「あっ……」


俺がいきなり歩を止めたから、リュカが不安そうにこちらを見る。「ハルトどうしたの?」って聞いてくる。


「いや…あの木、あの白い花が咲いている木なんだけどさ……その、俺。昔、身体が弱くて……お願いしてた木に似てたんだ」


「うん?」


「看護師さんっていう…その、昔俺の世話をしてくれてた人から教えて貰ってた事なんだけど、俺、毎年…12月4日に病室の…窓の外に生えてる桃の木の枝を折ってさ、花瓶に刺してたんだよ……クリスマスイブまでに開花すれば、翌年願いが叶うって聞いてて……ほんと、間に受けちゃって馬鹿だよな。そんなんに縋ってたんだぜ俺…」


「ふーん。それでハルトのお花は咲いたの?」


俺は地球での生活を思い返しながらゆっくり首を横に振る。


「一度も咲かなかった。別にいいんだ。今年でやめようと思ってたし……俺、もう殆ど体動かせなかったからさ、看護師さんに無理言って枝切って来てもらうのもなんかなぁ…って思ってたところだから、咲いても咲かなくても今年で最後にしようと決めてたんだ」


そう言えば、今年の分はどうなったのだろうか。

無理言って取って来て貰ってその後イブ迎える前に死んだから、俺わかんねぇや。。。


「ハルトこんなに動けるのに、体動かせなかったって変なのー!」


「確かに、変だよな…」


「ハルトの願いは叶ったの? どんな願い事してたの??」


ああ、違う。嘘、俺わかった。今年こそ花が咲いたんだ。

ずっと外に出たいと思ってたし、誰かと食事したり買い物したりしたいと思ってたし、それが今叶ってる……叶ってるじゃん。思い描いていた素敵な女性とかじゃなく相手が子供ってのが癪だけど、それを踏まえても昔に比べれば、今の方が充分幸せだ……。

だから俺は、しっかりとリュカの方を見て答えた。


「叶ったよ。ずっと誰かとこうしてご飯食べたり買い物したり、一緒の空間を味わいたいって思ってたんだ。だから俺、今幸せだ…お前のお兄ちゃんのことは……俺も、悔しくて悲しいけどそれでも俺は、今幸せなんだ。リュカと一緒に外出て歩けて嬉しいんだ。本当馬鹿だろ…ごめんな」


「ん? リュカのおかげでハルトは嬉しいの?」


「ああ」


「ハルトの願いはリュカが叶えたの?」


「ああ。そうだな…リュカが叶えてくれたよ。さっき飯食ったしな……あとは、今別に買う必要のある物とか思い浮かばないけど、買い物すれば思い描いていた俺の願いにすごく近いよ」


「じゃぁ買い物しよ!! あ、見て!!こことか面白そう!!!」


「おい…ちょっ、待て!いきなり走るな!!」


リュカに促され、俺は文具屋、雑貨屋、陶器屋、おもちゃ屋、服屋、薬屋、菓子屋……まぁとにかくいろんな店に入った。楽しかった。


「ハルトとお揃い!」ってリュカにあのクソガキが持ってた先端に星型のチャームが付いたペンをおねだりされ、それを雑貨屋で購入した。雑貨店主手作りでここでしか売ってないらしい。なんてこった。めちゃくちゃいい情報だ。クソガキはここら辺住みってことじゃないか!!!しゃぁ!見つけていろいろ問い正してやる!!!


あと、持ち帰りでカップケーキみたいな?見るからに甘そうな焼き菓子も菓子屋で買った。


お祝いケーキみたいなものに憧れてたし、クソガキの持ってたペンの情報も得ることをできて、今まで何遍もへし折って来た病室の桃の木の…俺の願いがやっと叶ったようで、俺はすごく幸せだった。リュカも少しは笑う様になっていて俺は安心した。


ちなみにリュカは俺の予想通り家がなく、家族も兄しか居なかったから、俺とこのまま一緒に住むことになった。子供は嫌いなのだが、すげぇうるさいのだが、まぁ…悪くはない。



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