クレームのあれこれ
若かりし日の体験談
接客業に携わる方なら経験があるでしょう。
こちらが避けていても向こうからきてしまいどう頑張っても避けて通れないもの。
そう、クレームです。
クレームと一言で纏めても、筋の通ったものから言いがかりまで幅広い内容がありますよね。
その中で私が遭遇した目ん玉飛び出るかと思った物について、あまり詳しくは書けないですが思ったことを書かせていただきます。
【飲食店時代】
もう10年以上前のことです。
バイトを始めてすぐの頃だったと思います。そう、徹夜ができて12時間くらい眠れてシャワーの水をはじく肌だった頃の事です。
そのお客様はキムチをつまみに生ビールをグビグビしていました。
で、中ジョッキに数センチビールが残っているのを見せられまして。
これは生ビール扱う方とか呑兵衛さんならあるあるだと思うんですが、残り数センチでおかわりや別のドリンクを注文する方は少なくありません。
お代わりするときにグラスを掲げて「ビールもう一杯!」って元気に言われるとこっちも元気に返事が出来ていた頃が懐かしい。
その時はこんな日がくるとは思ってなかったですが、まぁ当時の自分はおかわりかなーってお席まで伺いました。
「このビールキムチ臭いから新しいのに変えて」
若かりし日のこうがさん「( ゜д゜)」
え?キムチ食べて生ビール飲んでキムチ臭い?
生ビール残り数センチで、交換?
世間知らずの小娘は絶句して店長に丸投げしました。
店長は丁重にお断りしまして、その方が来ることはなくなりました。
来る度にもやる方だったのですが、奥様とお子様はその姿をどんな気持ちで見ていたのかな、と思うと未だにちょっと苦い気持ちになります。
こうがさんの父親は、人としておかしいところも多々ありますが、小狡い真似はしない人です。
間違えてお酒余分に出されたら、じゃあお会計こっちにつけて、仕事大変だね。と言う人なので、それが当たり前と思っていた世間知らずには衝撃が大きく、この体験は今でも鮮明に覚えています。
こうがさんの父親の行動は高いお酒置いてるお店じゃないからできることですけどね。ラーメン大好き。
因みに食器は食洗機にかけて、さらに無臭の洗剤で洗っていたので臭くはないはず。
冷蔵庫もグラス専用でお掃除も小まめにしていました。
グラスが臭い、というクレームはその1回だけでした。
新しいビールが出てくればラッキーくらいの感じだったのか、歳を重ねても彼の心理は分かりません。
でも、それで得をしたと思う方とはご飯行きたくないかなとは思います。
食事は楽しく!
【コールセンター時代①】
クレームや要望の電話はまずその会社とは関係のない会社の担当者が受けて、担当部署に振り分ける、というスタイルもあります。
自分が働きだしてそんなスタイルが増えていたので、現在も同じかはすみませんがわかりません。
で、自分がいたのは某チェーン店の中の人でした。
基本的には、要望とかクレームでも激しい言葉を使う方って少ない印象でした。
「こういう事がありました。改善してください」
「店員教育ちゃんとしてください」
とかは優しい方です。
「あの店員の態度は、あり得ない。自分は二度と行かないけど改善した方がいいんじゃないの。あの●ス」
もまぁ優しい方かなと思います。
人の容姿貶す悪口って聞いてて不快ではありますが、為人を知らないから容姿しか攻撃する対象がないのかなーって思いながら聞き流してました。
ご意見は真摯に伺いますが、悪口はまともに受け止めていると病みませんか。
そんな中で男性に1時間近く怒鳴られ続けた事があるんですが、あれはちょっときつかったです。
上席不在の日に限ってだったので助けがなく。
どんな内容かというと
「7年前にこんなことがあった。レシートないけど返金しろ」
「お前のとこに恐喝されたんだ金返せ」
を延々と繰り返していました。
まぁまず7年前でレシートない辺りで「おや?」ってなりましたよね。
返金に関しては窓口では提案、約束してはいけないルールだったので、お約束は出来かねる、しか言いようがありませんでした。
何とか担当者に対応依頼をして安心してたら、2週間後?かな。またかかってきました。
チームメンバー「「(゜∀゜)……」」
違う担当者が受けたのですが、やはり支離滅裂だったようです。
曰く、自分は人間不信だから優しい人がかけてこい。
留守電にしててもまたかけてこい。
7年前の事は事実だから返金か食事券を寄越せ。
すぐまた対応窓口に依頼をして、1時間後くらいかな、同じ人からかかってきたので自分が出ました。
また怒鳴られたんですが、
自分が折り返ししてもいいと思えるメッセージを残せ。
男性怖いから女性がかけろ。
お前の態度が悪いから俺が指摘してやっているんだ。
謝ればいいと思っているんだろう。
謝ってほしいんじゃないんだ、お前が謙虚になればいいんだ。
と延々繰り返し、上席から電話交代できる?と指示があったので別担当に繋ぐと言ったところ…
「逃げるなー!」
と怒鳴られたので保留にしたら電話切られました。
終着点は恐らく返金だと思うのですけれどね。
頻りに自分が如何に精神的に追いつめられているかを言い続けていました。
それは大変だとは思います。想像しても同じ気持ちにはなれないでしょう。
ただ個人の意見としては、だからといってそれを免罪符するってどうなの、しかなかったです。
気遣いとは、と考えさせられるお電話でした。
会社として当然返金なしで対応した、とだけ聞いています。そらそうだ。
【コールセンター時代②】
ある日、やはりクレームがありました。
食券で先払いだったんですよね。
食事と食券引き換えで、食事取りにいって食券渡して一緒にレシートも捨てて、と頼んだら断れたから食べないで帰ったと。
その時点で私は「What?」でした。
店員さんの態度悪かったのかな、要求は何だろうな、と構えていたら……。
「ボッタクリだろ?そういう店だろ?客に食わせないで金だけとる店なんだよお前らは」
在りし日のこうがさん「……(・∀・)……」
整理しましょう。
注文しました、お金払いました、取りに行きました、店員の態度悪いから帰りました。
提供したのに帰ったのよね?
食べさせないとは?あーんしろ?
いやいや、論点も絵面もおかしくなる。
店員の態度悪くて帰ったから返金しろ。
なら分かったと思うんですよ。
思うところあっても、こちらもお仕事だし結局お客様ご飯食べてないので、謝罪はしました。
そしたらびっくり。
「許せないね。もうお前らと話すことないから」
え、じゃあ何で電話してきた?
お前ら?私1人ですが(そんな意味じゃないのは承知ですが衝撃的で)
それでも謝らないといかんので謝罪を続け、改善しますと伝えました。
「もう行かないから関係ない。改善したのか俺はどこで判断するの?」
いや知らんわ。
担当者から謝罪をさせてください、とお伝えしても断られていたので途方に暮れました。
関わりたくない、謝罪もいらない、改善するなら勝手にしろ、もう話すことはない。そして始まる無言タイム。
……電話切っていいかな。って思いませんか。
将来奥さんに出ていかれて暗い部屋で見切り品のおにぎり食べてるかもしれない、と思えば優しい気持ちになれましたので、ひたすら申し訳ございませんを繰り返していたら向こうが電話切りました。
クレーム対応したことある方、こんな時どうしてましたか……。
数年時間が経った今でも自分の中の正解が分かりません。
そして、汎用的な正解も分からないままです。
一応対応フローの言葉選びはあるんですが、無言だと申し訳ございませんしか言えないので困りました。
そしてチームメンバーは「店長●しに行くぞ」と関西弁で捲し立てられていました。
これは最早クレームではなく脅迫……。
今はカスハラなんて言葉がありますけどね。
自分に恥じない生き方をしたいものです。
【今思うこと】
クレーム対応はお客様のお声を直接伺う大切なお仕事だと思います。
実際にもっと良くして欲しい、好きなお店だから改善して欲しい、と仰る方もいらっしゃるので、クレームだから悪い、とは一概には言えないと思います。
事実を提示して、希望を伝える。
改善の余地があるならば改善するのは会社の責任。
クレームをいれてもう来店しない、はお客様の選択です。
クレームをいれるくらい腹が立つことがあった、というのは大変申し訳ございません、でしかありません。
それでも、電話口の対応者に怒鳴る、タメ口で話す、はちょっともやります。
初対面の店員さんにタメ口は自分は出来ないしやらないです。
でも、やってる人がいてもあんまり気にしないです。その店員さんとその人の関係性は分かりませんし、その方のキャラもありますし。
陰キャな自分は敬語を選んだだけなのです。
自分が飲食店いた時も常連さんはフランクでしたが当然自分は敬語でした。
恐らくちょっと言葉崩しても許してくれる度量はあった方々ですが、お客様なのです。
どこまで行っても彼等はお客様で、自分は店員なので、踏み越えてはいけないラインはあると思って仕事をしていました。
そのラインを店員が忘れたらお客様からのクレームになるし、お客様としてもお店に対してクレームのラインを超えたらカスハラと言われるものになるんでしょう。
クレームをいれる労力を考えたら何も言わずにフェードアウトが一番楽なので、クレームいれていただける思い入れがあるというのはありがたいことなのでしょうけれど。
ただね、クレーム対応の窓口ではありましたが、運営の本部とは関わっていないので理不尽さを感じたこともありました。
私は自身がクレームをいれたことがないので、クレームをいれられるくらいの熱量で生きている人を羨ましく思うこともあります。
まぁ、クレームと鬱憤ぶつけるだけ、の差が分からない人に見られたくないのが一番です。
事実に感情が入ると面倒なことになりませんか。
自分はクレームではなく、よく新人さんのレジがもたつく時や間違えまくる子に言う事があります。
「私は急いでいません。だからゆっくり落ち着いてやってください。
でもコロッケと板チョコは一緒の袋にいれないでください」
コロッケと板チョコを一緒の袋にいれようとするのは許さん。
レジを間違えるのは仕方ないので幾らでも待ちますけどね。
なお、近所のコンビニでは並んでいたらレジにいたベテランさんが新人さんを呼んでこうがさんのレジやらせていました。
まぁ怒らないけどさ。トイレ行きたかった時は泣きそうでしたよね。ちゃんと自分の尊厳は守られました。
大らかなのではなく、きっと他人に対してあんまり興味がないのでしょう。
家族にすらもっと家族に興味を持てと言われるくらいなので。
でもだからこそ、クレーム対応の電話をとれていたのだと思います。
二度とやりたくないけどな!
学生時代も書きたいなぁ。女子高生が花を食う。




