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第五話 嘆きと陰謀

 ひとまず投稿。どうなることやら……



「……何だ、これ」

 各地の特産品を売るために王都レイジールを訪れた商人は目の前の光景に呆然とした。

 以前来たときは綺麗な街並と壮大な城があったはずだ。それが今は根こそぎ持っていかれたかのようにクレーターしか残っていない。地図で何度確認しても、ここが王都のあった場所に違いなかった。

「大変だ……」

 商人はこのことを知らせるため、急いでもと来た道をUターンするのだった。

 この王都消滅の知らせは瞬く間に世界中に広がり、後に起こる大陸の覇権争いのきっかけとなるのだった。







 イブキがティナのビンタで吹っ飛ばされてから一週間、三人は金稼ぎ&暇潰しのためにひたすら依頼をこなしていた。キティも手伝ってくれていたが(イブキのことは手伝わなかった)、そろそろ外出期限らしく途中で居なくなってしまった。

 だがそれらのおかげでランクがどんどん上がっていき、イブキがランク4、ティナとアリシアはランク5にまでなっている。

 もちろん短期間でそこまで上り詰めると知名度も上がるわけで、

「あっ、ティナさんとアリシアさんがいるわ!」

「本当か!? どこにいるんだ!」

「あぁ、いつ見ても綺麗だなぁ……そういえばこの前までもう一人可愛い女の子がいたけど誰なんだろう?」

 もっぱら街へ出るとこんな感じであった。

 何故かイブキは二人の付属品としか見られておらず、窓から張り飛ばされたため時々奇行をする危ない人というレッテルまで貼られる始末。このことに関してアリシアが憤慨していたが、当の本人曰く全く気にしていない。

「気にしてねぇーよ。はは、全然気になんないね。あれ? おかしいな、目から汗が……」

「滅茶苦茶気にしてるじゃない」

「やっぱり酷いです! 人のことを変態呼ばわりするなんて! 例えそうでも口には出さないのが筋ですよね?」

「……」

「今の確実にとどめ刺したわよね?」

「? とどめって何がですか?」

「天然か」

「アリシアの新しい武器発見ね」

「え? え?」

 戸惑うアリシアのことはスルーして、宿を出る。

 今日でこの街ともおさらばだ。というのも元々旅の資金調達のために滞在していたのであって、十分なお金が集まった今、もうその必要も無くなった。

「二人ともどっか行きたい所ある?」

「あたしはどこでもいいわよ」

「ここから東にずっと行った所にラグーンって言う古代遺跡があるんですけど、そこに行きませんか?」

「古代遺跡か……面白そうだな。よし、じゃ目的地はラグーンで。と、出発する前に馬車かなんか買おうぜ。流石に歩きは疲れるからな」

 というわけで市場に来た三人だがあまり活気が無くて少し驚く。この時間帯なら結構賑わってるはずなのだが。

「何かいつもより人少なくないか?」

「確かにそうね……あ、もしかしたら……」

「ん? 心当たりがあるのか?」

「ええ、多分王都が壊滅したのに気付いたんでしょう」

「気付くの遅くね?」

「王都は他の街と違って封鎖的なんです。王国の重要機関が全て集まってましたから。それが消えた今、王国は無くなったも同然。空いた土地を周辺国が領土にしようと軍隊を派遣しているんでしょう。だから取り合いで戦争になる恐れがあるから皆避難したんだと思います」

 そう言ったアリシアは悲しそうだった。自分の暮らしてきた土地が戦場になるかもしれないのだ。やりきれない思いでいっぱいなのだろう。

「しばらくしたらここも危なくなるのか」

「はい、出来ることなら止めたいんですけど……」

「軍隊相手じゃな……どちらにしろ戦闘は避けられないか」

 人の性に嘆息して、購入した真新しい馬車に乗り一路東に向かう。街から出てしばらくすると、どこかの国の軍隊とすれ違った。予想通り元王国領を占領しに行くのだろう。

「こういうのはどの世界も一緒なんだな」

 その様子を見てイブキはぽつりと呟いた。







 同時刻、イブキ達のいる世界とは別の世界で、何人かの男達が会議室で話し合っていた。

 その中で一番高齢と思われる老人が部下に聞いた。

「奴の居場所は突き止めたか?」

「いえ、下界のどれかに転移したのは分かっているのですが、どの下界かを突き止めるにはまだ時間がかかります」

「ちっ、使えない部下共め」

「そう言うな。結局しらみ潰しに捜すしかないんだろ?下界の数は一万以上あるんだし、そりゃ時間もかかるって」

 雰囲気の軽薄そうな男がフォローするが、それでも老人は青筋を立てたままだ。

「……一年だ。一年で奴を捜し出せ」

 そう告げると会議室のドアを荒々しく開けて出ていってしまった。老人の部下も一礼した後部屋を退出する。

「やれやれ、彼の気の短さも困ったものですね」

「まあ、あれが旦那の長所でもあり短所でもあるからな」

 残された二人は自分達のリーダーの性格を考えて溜め息をつく。

「それにしても、あいつは一体どこにいるんだろうな」

「そうですね……たとえ見つかってもここまで連れてこれるかどうか……戦闘になったら私は勝てる気がしませんよ」

「唯一の救いは体が人間だってことぐらいか」

「それでも難しいと思いますよ。あの方――『反逆者』の能力は最強、制御も超一流なんですから」




「っくしょん!」

「どうしたのイブキ? 風邪?」

「そうかなー?」




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