ティナのアルバイト体験記
「成瀬さん、今日はお店番をしてみたいんです!」
ティナが嬉しそうに言った。
その顔には、やる気がみなぎっているのがわかる。
「お店番? どうした急に?」
「だって、最近はお店を手伝ってばかりで、私も少しだけでも自分の力で成瀬さんを助けてみたいんです!」
ティナの目は真剣だった。
俺は一瞬驚いたが、すぐに納得した。
「なるほど……、じゃあ、初めてのお店番か。いいよ、やってみるか?」
ティナは頷くと、さっそく店内を見渡しながら言った。
「成瀬さん、最初は何をすればいいんですか?」
「まずはレジの使い方を覚えようか」
「レジ?」
「はい、レジの使い方。それから、お客さんが来たらどう接するか、ちょっとだけ教えてあげるよ」
ティナはうんうんと、元気よく頷いた。
「わかりました! 成瀬さん、よろしくお願いします!」
こうして、ティナのお店番体験が始まった。
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ティナは最初、少し戸惑いながらも、言われた通りにレジのボタンを押して、商品を打ち込んでみた。
「えっと、これを……こうして、こう……?」
彼女は何度も繰り返して、だんだんと動きが滑らかになっていった。
「成瀬さん、できました! あ、でも、お金の計算って、どうやってすればいいんですか?」
「お、頑張ってるな。計算はこの機械が自動でやってくれるんだよ」
「へぇー! すごい!」
ティナが感心しながらレジを打ち続けているその間に、店の扉が開いて、最初の客が入ってきた。
「いらっしゃいませ!」
ティナが元気よく声をかける。
だが、すぐに気が付いたことがある。
その客は、見覚えのある村人たちだったが、今回はちょっと様子が違う。
「おや、店番ですか? ティナちゃんも手伝ってくれるんですね」
その村人は笑顔で言った。
「はい! 今日は私が店番をすることに決めたんです!」
ティナが胸を張って答える。
「へぇ、それなら、私も少しだけ物を買ってみようかな」
村人が選んだのは、簡単な日用品だった。
ティナは慣れない手つきで、商品を袋に詰めていくが、途中で少し手間取ってしまった。
「うーん、ちょっと袋の口が……あれ、なんで閉じられないんだろう?」
「ティナ、大丈夫だよ。袋はこうやって簡単に……ほら、こうして」
成瀬は助け舟を出し、袋を閉じる手伝いをする。
「うーん、まだまだですね」
「でも、すごいですよ、ティナ! 初めてなのに、頑張ってますね!」
「ありがとう、成瀬さん!」
ティナは頬を赤らめながら、どこか照れたように笑った。
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その後も、ティナは順調に店番を続けた。
最初は失敗も多かったが、次第に手際が良くなり、村人たちも次々と足を運ぶようになった。
「ティナちゃん、お疲れ様! 今日は本当に頑張ってたね!」
ティナは少し汗をかきながら、にっこりと笑った。
「うん、楽しかった! 最初はすごく緊張していたけど、だんだん慣れてきた!」
その時、村の年長者たちが店にやって来た。
「成瀬君、ティナちゃん、今日はとても良い接客をしてくれたね」
「本当、最初は心配だったけど、ティナちゃん、しっかりと店番ができてたわよ」
年長者たちが口々に褒めてくれると、ティナはさらに嬉しそうにした。
「本当に、ティナは成長したな」
成瀬は心の中で思う。
ティナは、初めての店番で最初こそ不安そうだったが、どんどん成長していき、今では自分の力で村の人々を支える存在になりつつあった。
「成瀬さん、私、もっともっと成長したいです!」
「もちろんだよ、ティナ。君ならきっとできるさ」
ティナはその言葉を聞いて、さらに自信を持ったように笑顔を浮かべた。
「これからも、もっと頑張ります!」
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その日の終わり、店の片付けを終えた成瀬は、ティナと一緒に広場に向かって歩いていた。
「今日は本当に頑張ったね、ティナ」
「ありがとうございます、成瀬さん! 私、店番ってこんなに面白いんですね!」
「そうだろ? お客さんと話すのも楽しいし、自分で何かを成し遂げるって、すごく気持ちいいだろ?」
ティナは大きく頷く。
「はい! これからも、もっと頑張ります!」
その時、ふと夜空を見上げると、星がきらきらと輝いていた。
ティナの笑顔が、その星々のように、心に明るい光を灯すようだった。