表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
トロッコバリエーション  作者: だるまんず
2/8

全員を助けられないか

 知らない人にはわかりにくい話だけれども、先に書いたスタートレック「カーンの逆襲」で「コバヤシマル」という映画の中で出てくるシミュレーション試験があり、wikiにも詳細がある。

 このシミュレーションはどんな選択をしても全滅となるが、いかにして乗り越えようとするかが評価となるシミュレーションになっている。トロッコ問題では全滅がないが、コバヤシマルは結局全滅する。その状況下で生存帰還することが求められる。

 でも、この映画の主人公は無事帰還して見せた。何をやったか。それはシミュレーションプログラムを試験の前日に書き換えて全滅しないルートを作っておいたというインチキ。


 トロッコ問題でも前提を変えてしまえば全員が助けられる。本来問いかけられている部分を回避するための方法ではあるけれども、現実的には不可避な状況になる前に対処するのは真っ当な話でもある。


 そこでこのトロッコ問題でも全員を助けるルートがないかと考える。当然、問題が求める価値判断をしない結果となるので、暗示的に全員が助かる選択肢はないことになっているが、敢えてその部分を考える。


・危険が迫っていることを伝えて逃げてもらう

・ポイントかその前のレールを破壊するなどして脱線させる


 現実にはレールの上から離れれば死なずに済むのだからそれほど移動する必要はない。移動すべきであると伝えなくても音で気づくってのが普通。

 机上であれば単なる数字の問題だけれども、現実と捉えると複数の条件が想定されてくる。与えられていない選択肢を見出すことはむしろ推奨するべきかもしれない。


 となるとこの命題は実に奇妙なことに気づく。

 どちらかが死ぬという前提は、その場にいる人間に判断できるだろうか。見た目で予測はできるとしても、5人側はトロッコが来ることを知っているかもしれない。危険な場所にいるのだから気を付けているはずであり、トロッコが通過するより前に避けるであろうことも予測できる。

 つまり、何もしなくても誰も死なないのではないか。


 現実に線路上で仕事をしている人は多数いるが、滅多に死人は出ない。

 ポイントを切り替える仕事をしているわけでもないのに、このままでは危ないと判断できるのだろうか。このままでは5人死ぬ、行動すれば1人しか死なない、そう説明されたとしても信じるのだろうか。それを説明した人間は信用できるのか。なぜその人が行動しないのか。不可解な点が多い。


 そして5人より1人の方が良いとポイントを切り替える。

 5人はトロッコが間もなく来るとわかっているので線路から退避し、本来トロッコが向かわない線路上の1人は退避しない。そして1人の命が消える。こちらの方が可能性が高そうに思える。


 では、何もしなければ良かったのか。


 全員を助けるのがベストなのに最初からその選択肢が排除されている命題であることを最初に気づくべきだろう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ