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名無しの悪魔ちゃん  作者: こめっこ
第2章 教育冒険者
24/35

ルーク

ブックマークありがとうございます!

評価まで頂いて凄く励みになりますm(_ _)m

 ゴブリンなんか俺達の相手にもならない。

 今日はもう十六匹もゴブリンを倒した。

 だけど、俺達が魔石を剥ぎ取っている時もアイツはまたボケーっとしてた。

 わざわざアイツに合わせる必要もないし、はっきり言って俺とフランだけで十分だ。


 俺達はアイツに何も言わずにゴブリンがもっと居そうな森の奥に行った。




 途中見かけたゴブリンを倒しながら進んで行くと、俺達が見つけたのはゴブリンの村だった。

 村ってほど立派でもないがそんな事どうでもいい。

 だけど、流石にここはマズい。


 俺はあまりのゴブリンの多さに思わずゴクリと唾を飲み込んだ。そんな音ですら気付かれやしないか心配しながらゆっくり引き返していく。


 パキッ


「ギャッ?」

「ギャギャッ……?」


 しまった!?


 音に反応した奴らがこっちに近づいてくる。



 来るな来るなと祈る様に念じるが、無情にも奴らはどんどんとこっちに近づいて来る。


「ギャ? ……ギャッ! ギャギャギャギャッ!」

「くそっ! 見つかった走るぞフラン!」

「う、うん!」


 運良く通り過ぎる事もなく、当然の様に発見された俺達は来た道を振り返って必死に逃げた。



「きゃっ!」

「フラン! 大丈夫か!?」

「大丈夫、でも……」


 先頭を走っていたフランが蔓に足を絡ませて転んでしまった。

 しかも運が悪い事に、転んだ拍子に周りの蔦も巻き込んで絡まっている。

 ナイフを使えば簡単に切れる程度の蔓だが、すぐ後ろには三匹のゴブリンが迫って来ていた。


「俺が時間を稼ぐから今のうちに切るんだ!」

「わ、分かった!」

「おいゴブリン野郎!! こっちだ! かかってこい!」


 後ろで倒れているフランは草の陰になっているからまだあいつらは気付いてないはずだ。

 フランの存在を気取られない様に挑発して注意を俺に向ける。


「オラ! こっちだ、来てみろ!」

「ギギギャギャッ!!」

「ギャギャッ! ギャギャッ!」

「おりゃああああ!」

「ギャッ!? ギャッギャッギャッ!」

「くそっ! 当たれっ!」


 剣が何度も空を斬る。焦りから剣が当たらない。


「らああああ!!」

「グギャッ! グギ……ギ……」

「はぁはぁ……」


 たかが三匹だと舐めていた。

 攻撃を外した時の疲労感がこんなにもつらいなんて思いもしなかった。

 たった三匹を仕留めるどころか、やっと一匹倒しただけだ。

 それに俺も腕を少し斬られた。


 たった一匹やるだけでこれかよクソッ!

 あと二匹もいんのかよ! フランはまだか!?


 俺はその時見てしまった。


 目の前のゴブリンの後方から迫り来る緑の集団を。

 とても逃げきれる様な数じゃないと分かった。


 ざっと見ても五十、いや百を越えるゴブリンに俺の心は、折れた。



「てぇやあああ!」


 俺が一人で諦めかけていた時、昔から聴きなれた声と共に稲妻の様な突きが二匹のゴブリンを貫いた。


「ごめんルーク遅くなった! 大丈夫!? 早く逃げよう!」

「フラン……」

「どうしたのルーク!? 痛いの?」


 こんなに森の奥にいるのにあんな数から逃げきるなんて無理だ……。


「見えるだろ……あんな数、俺達もう……」

「ルーク……」


 すると、フランが消沈した俺をそっと抱きしめた。


「フラン……」

「……」


 フランは一度離れて俺を見た。そして、口づけをした……口づけをした? ……なっ!?


 フランの予想外の行為に目が覚めると同時に気が動転した。


「お、お、おおおおま……!」

「ルーク聞いて!」

「なに……を……」


 真剣な瞳で俺を見つめるフランに俺は言葉が出なくなった。


「ルークはこんなところで諦めるの? こんな事で! まだ何もしてないのに諦めるの! 私達まだこれからじゃないの!?」

「…………」

「ねえ答えてよルーク!」


 叫ぶようにそう言ったフランの身体は震えていた。


「あぁ……そうだ。そうだな。俺達はまだこれからだ」

「うん」

「俺はぜってえ最後まで諦めねえ!」

「うん!」



 俺がチンタラしてたせいでゴブリンの追手に追いつかれてしまった。


「くそっ、やるぞフラン!」

「うん!」


 まだ後続の集団とは少しだが距離があった。

 俺達はそいつらを倒して逃げようとしたが、ゴブリンは減るどころか次から次に増えていった。




 気が付けば数えるのが馬鹿らしくなる程のゴブリンに俺達は囲まれていた。もう俺達の手に負える数じゃない。

 フランと背中合わせにゴブリンを寄せつけないようにするだけで精一杯だ。


 なんでこんな事になっちまったんだ。


 こんな状況になってアイツが言ってた本当の意味が分かった気がする。


 アイツの噂は俺も聞いた事があった。

 最初見た時は、アイツが最近ギルドで噂されてる奴だなんて想像もしなかった。

 だってそうだろ? 噂じゃ三メートル級のファングボアを背負う様な化物なんだぜ。それが見るからに細くて弱そうな女だって言われても誰も信じねえよ。

 それに、アイツが俺の憧れている『竜の牙』の推薦で入ったという噂を信じたくなかった。

 だけど……あの女の威圧を受けた瞬間から、俺なんか束になっても相手にならないくらい強いんだろうという事だけは分かった……分かってしまったんだ。

 俺は負けを認めた自分が悔しかった、なんもしてねえのに負けた気がして腹立たしかった。

 だから、フランには俺が凄い事を見せつけたかった。

 そんな事してもなんの意味もないのにな……。

 そんなつまらない意地で俺はフランまで巻き込んでしまった。


 俺は死んでもいい。だけどフランは、フランだけは――





ここまでお読み頂きありがとうございます(๑˃̵ᴗ˂̵)

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