命を奪うという事
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初めてのゴブリンとの戦闘にも関わらず、臆する事なく立ち向かい、二人は危なげなく勝利を収めた。
彼等には様々な状況で戦ってもらい、より多くの経験を積ませたい。
私の考える最低ラインはゴブリン五匹を二人で相手取れる事だ。
たかがゴブリン五匹程度と思うかも知れないが、魔物も武器を持って襲ってくるのだ。その殆どは荒削りな木の棍棒だが、人間から奪った剣や槍などを持っていたりもする。
つまり裏を返せば、油断すればゴブリン程度にも武装した人間がやられてしまうという意味だ。たかがゴブリン、されどゴブリンである。
私は効率良く戦闘をこなしてもらう為に魔力探知でゴブリンの居場所を探り、それとなくゴブリンのいる方向へ誘導した。
そして、計六回の戦闘の内、私の最低ラインとしていた五対二の状況でも、大した苦戦もする事なく勝利して、三日目も無事に帰路についた。
実地訓練四日目。
今日もゴブリンの森でゴブリン討伐をしている。
……しているのだが、私が危惧していた事が起きてしまった。
「よっしゃ! ゴブリンなんか楽勝だぜ!」
「うん、思ったより弱いね!」
「だな! 次のヤツさがそーぜ!」
「うん!」
いや、嬉しい事ではあるのだが、正直失敗したとも思っている。
だって相手の武器ごとスパスパ切れるもんだから、そりゃもう勝負にならないし、無意味とまでは言わないけど、あまりいい練習とも言えない。
自信を持つのはいい事だが、二人とも緊張感が薄れてきている様に見えてしょうがないのだ。
肉体性能だけで戦ってきた私が言うのもなんだが、道具に頼りすぎると駄目になるのも確かだ。
つまり、二人は今天狗になっている。これは非常に良くない傾向だ。早々にどうにかしなければ手遅れになってしまうかも知れない。
とは言え、今更武器を取り上げる訳にもいかないだろうし、どうしたものかな……。
武器を取り上げた場合を想定した脳内シミュレーションや、改善策を考えていたが、これといった方法は思い付かず、ただ時間だけが過ぎていた。
もう普通に言葉で伝えた方が早いな……。
あれ? というか……あの二人、どこ行った?
どうやら考え事に集中しすぎて二人と逸れてしまった様だ。
「お〜〜〜〜い!! フランちゃーん! ルークくーん!」
とりあえず叫んでみたが、返事は無かった。
探知範囲を五百メートルに設定して探してみたが、その範囲内にも見つからなかった。
「いない……」
今私がいるこの場所ですら森の結構深い場所だ。
あまり遠くへ行っていない事を願って探知範囲を広げていくがまだ二人の反応は無い。
一キロ内にもいない……!? なんで!?
焦った私は一気に探知限界まで広げた。
すると、約一キロ半地点で二人の魔力反応を捉えた。
「いた! はぁ、良かっ……良くない!? ヤバいヤバいヤバいヤバい!」
二人の反応を捉えるとほぼ同時に、大量のゴブリンの反応を捉えてしまった。
私は魔力探知の練習をしていた過程で、森の奥に大量のゴブリンが生息している集落らしき物を確認していた。
気付いていながら今まで放って置いたのには一応の理由がある。
単純な話だが、集落となれば当然ゴブリンの子供がいるのではないかと私は想像してしまった。というか普通にいるだろう。
何を今更と自分でも思うが、いくら魔物だとしてもやはり子供を殺す事には抵抗がある。
襲ってくるのなら話は変わるが、もし無抵抗だった場合、それも人型の子供を殺す自分を想像したら怖くなったのだ。
これまでも成体の魔物を殺す事で、私は既に間接的に子供を殺している。そのクセに私は自らの手にかける事は嫌う卑怯者の偽善者なのだ。
ゴブリンに襲われて殺される人だっているし、見ないフリをするのは良くない事だとは分かってはいるが、どうにも踏ん切りがつかなかった。
とはいえ、彼らをこのまま見捨てる選択肢もありえない。
探知の結果、彼等は既に大勢のゴブリンに囲まれている。
それだけでは無く、集落からは更に大量のゴブリンが二人を追い詰める様に集まってきている。
彼等はまだ生きてはいるようだが、距離が遠すぎて正確な状態が分からない。
だか、一刻を争う状況である事は確かだ。
「お願いだから私が行くまで死なないでよ――」
この辺から少しシリアス入ります。
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