魔法とは何か
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翌日は二人とも慣れない動きをした事で筋肉痛になる事を見越して休日にした。
更に次の日、同行二日目。
今日は先日の勘を取り戻す事と、身体を慣らす為に再び草原でホーンラビットを狩らせる。
しばらく様子を見て問題ないと判断して、そのまま二人で狩りを続けてもらっている。
私は私で明日予定しているゴブリン狩りの不安を減らす為、草むらに座り込みアレコレ試行錯誤している。
実際ゴブリンの一、ニ匹は問題ないと思うけど、私が心配しているのはルーク君の武器だ。
戦闘において最も大事なのは距離だと私は考えている。
相手の間合いに入らず、如何に自分の間合いを保てるかが重要な要素だと私は思う。
私くらい突き抜けた身体能力があればいいが、それでもギリギリの戦いになった場合、間合いの取り方一つで戦況が大きく変わると言ってもいい。
これは私の経験則からの答えだ。
では、どうやって自分の間合いを取り易くするのかと言うと、手っ取り早いのが武器だ。
武器を持つ事で相手の間合いに入る事なく一方的に攻める事ができる。
同格の相手であればリーチの長い武器を持っている方が強いと言っても過言ではない。
フランちゃんの持っているショートスピアがいい例だ。
槍はその長さを活かしてノーリスクでこちらから一方的に攻撃が可能だ。
単に振り回すだけでも相手を遠ざける事が可能で、初心者でも比較的扱いやすい優れた武器だと思う。
その反面、接近された時の対処が困難で小回りも剣に比べれば劣る点や、何より柄が金属製の槍はとても重いので疲れやすいという欠点もある。
それらの欠点を差し引いても優秀な武器である事に変わりはない。
フランちゃんのショートスピアはそれらの欠点を軽くして扱い易さに重点を置いた彼女にピッタリの武器だと言える。
それに比べてルーク君のナイフは少し、いや、かなり心許ない。
ナイフはリーチが短いので必然と接近しなければならない、接近するという事は当然リスクも高くなる。
魔物相手の経験が浅い彼には無謀としか言い様がない。当然、私の戦い方も参考にはならないだろう。
そんな訳でルーク君の武器をどうにか出来ないか考えている。
私の使っているボロボロの剣を貸そうと思ったんだけど……この剣、いつ折れてもおかしくなさそうなんだよねぇ。
戦闘中に武器が折れたらどうなるかなんて想像に難くない。
そこで閃いたのが、冒険者登録した時の三人組との試合だ。あの時、私が投げた木剣は壁は壊したけど木剣自体は無傷だった。
つまり、ボロボロの剣でも魔力で覆えば強度だけは保てるはずだと思って試してはいるけど、これがなかなか上手くいかなくて困っている。
私が手に持っている間は問題ないが、手を離すとゆっくりと魔力が霧散していくのだ。
うーむ、何かいい方法はないものだろうか……?
「ナナシさーん! 今日もいっぱい取れたよ!」
考え込み過ぎて、気が付けば日が沈みかけていた。
そして、二人が五羽のホーンラビットを抱えてやって来た。
「おー凄いねえ、もうコツでも掴んだのかな?」
「こんなもん楽勝だっつーの」
「相変わらず生意気だねぇ! このこのっ!」
「や、やめろって……」
「何照れてんのよルーク」
「ちげーよ! 照れてねえし!」
青春だなあ……。
何れにせよ、今日も一日の成果としては十分過ぎる程だろう。
街へ戻る事にしよう。
冒険者組合に戻り、明日の打ち合わせを軽く話してこの日は解散した。
私は特にこれといって何かした訳ではないけど、疲れた。
魔力探知は三百メートル程で定期的に展開してるが、慣れた今なら特に疲れるような事でも無い。
やはり子供達の引率となると何気に気を張っているのだろう。
いや、そんなに歳も違わない筈なんだけどね……。
彼らは今年十五歳って言ってたし、私も十八って設定だし。
あ、設定とか言っちゃったよ……。
私は女性にしては身長が高い方だから彼らが余計に幼く感じるのかも知れない。
あー設定で思い出したけど私、悪魔だったな。
今のところ特に支障は無いから忘れてたけど、別にやりたい事もないし、一度悪魔について調べてみるかな……。
でもなあ……はぁ。
用事を済ませて組合を出ると、まだ少し明るかったので久しぶりに外食をする事にした。
「んー、行きつけの定食屋さんでいっか」
そうと決まれば行動は早い、そこは冒険者組合から近い事もあってすぐに着いた。
「こんにちは、今大丈夫ですか?」
「はーい、いらっしゃい! って、あら。ナナシちゃんじゃない、久しぶりねぇ。好きなとこ座っとくれ」
ここの定食屋さんは早い、安い、美味いの三拍子が揃っていて、おまけに量も多いので肉体労働者や冒険者に重宝されている。
かくいう私も名前を覚えられるくらい、一時期は毎日通っていた。
「今日は何かオススメのありますか?」
「そうさねぇ、今日は新鮮なホーンラビットのお肉が入ったからホーンラビットの炙り焼きなんかおすすめだよ」
「美味しそうですね。じゃあそれをお願いします。あとファングボアのステーキと串焼き盛合わせを二つずつお願いします。それと季節の野菜サラダとA定食とB定食を。あー、川魚の塩焼きもいいですね、これも二つ下さい。あと適当につまめる物をお願いします」
「あいよ。にしても……今更驚きやしないけど、そんなに細っこいのによく食べるもんだねぇ。一体どうなってんだい?」
「何ででしょうかね……あはは……」
「だけど沢山食べてくれてアタシも嬉しいよ。旦那に急いで作らせるからちょっと待っておきな」
と、まあこういう理由で名前を覚えられている。
どれだけでも食べれる底無しの胃袋だ。今のところ体型が変わった気もしないので好きなだけ食べている。
それに、これぐらいしかお金の使い道がないのだ……。
料理を食べ終え、とりあえず満足した私は支払いをして食堂を出た。
「ホーンラビットの炙り焼き美味しかったなぁ」
料理の余韻に浸りつつ空を見上げると、既に日は落ちており、通りを照らすほのかな灯りが瞳に映る。
暫く灯りをぼーっと見ていると、ハッと気付いた。
確かこの街灯、魔導ランプは光明の魔法を付与していると言っていた。
これの原理を剣に転用できれば頑丈な剣が造れるのではないだろうか。
あーもっと詳しく聞いておけばよかったな。
魔法を付与をしてあるって言ってたけど……。
ん……魔法の付与……? ……何だ魔法の付与って!? いや、それ以前に魔法って何だ……。
あっ!? 魔法か!
私はずっと魔力を込めていただけで、魔法を込めていなかった。
この場合、街灯は魔力が電池みたいな物で、魔法が装置として働くと考えれば……いける?
流石に道端で試す訳には行かないので、急いで宿へ戻り、部屋に篭った。
そして、いざ魔法を込めようと思い、はたと気付いた。
「だから魔法って何だ……」
私は肝心の魔法を知らないのだ。
魔力自体は扱える。魔力で全身を覆ったり、魔力を薄く広げて探知したり、単純に魔力を放出して攻撃する事だって可能だ。
しかし、それが魔法かと聞かれると疑問が浮かぶ。
言ってしまえば、それは魔力操作の延長にしか過ぎないのだ。
いわゆる魔法で明かりを出したり、いつぞやの盗賊の様に炎を出したりする事が魔法だと思う。
という事はつまり、そういった現象を起こす事こそが魔法なのだと言えるのではないだろうか。
「フッ、どうやら私は魔法の深淵に触れてしまった様だ」
でも、どうやって使うんだろう?
呪文とか唱える感じだったらお手上げだよねぇ。
あーでも、あの盗賊はファイアーボールとしか言って無かったような……ふむ。
試しに掌に魔力を集中させ、炎は危ないので静電気を強くイメージする。
ジジッ……バチバチッバチンッババンッ! バンバンバンッ!
すると、バチバチと太いプラズマの様な激しい光が現れて、破裂音を響かせながら掌の上で踊り狂っている。
ひょえー!?
えっ? これ静電気!? やばー!
ってか、え? これ絶対死んじゃうヤツじゃん。ヤバいじゃん。絶対静電気ってレベルじゃないし!
思っていた静電気とは違っていたが、魔法の発動としては成功だろう。
これで分かった事はいちいち魔法名を叫んだり、呪文を唱える必要は無いという事だ。
私が導き出した結論は、魔法とは現象を起こす程のイメージ。それが魔法であり、その源が魔力なのだと心のメモに書き留めた。
次は剣の強化に適した魔法を創って、剣に付与すれば……完璧だ!
「いけるっ! ふふ……ヒャハッ! ヒャハハハハハ!」
ドンッ!
「さっきからうるせーぞ! 何時だと思ってやがんだバカヤロー!!」
「す、すみません……」
時刻は既に深夜。
こうして私の夜は更けていく。
その笑い方はアカンて……
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