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第62話『フロイラの事』



 一撃でサファイアドラゴンを倒したフロイラにエミシアは戸惑い慌て、しりもちをついた。エミシアは何が起こったのか解らないが、今の事態が異常な事は理解して咄嗟に召喚獣を多重召喚してフロイラから遠ざかった。


 フロイラはニコニコと笑顔のまま杖を両手で握り振り回している。




―――その頃メーブナは私達にフロイラの過去を話し始めていた。



 メーブナは走りながら、何が起こっているのか理解できない私とスイとゲツの顔を振り返ると立ち止まり。


「人には誰にでも異常な部分があって。それは勿論フロイラにも有る。普通『賢者』って言う職業には憧れて成るんだ。親や祖父母が賢者だったから、憧れて修行して成ったり。戦う賢者の姿を見て憧れて修行して成ったり。皆、賢者に成るために過酷な修行を長年積み上げて。その一部の人間だけが成れる職業が賢者なんだ。


 だけど、フロイラは気付いたら成っていたんだ。賢者に。つまり幼い頃の日常から賢者の修行と同等以上の生活をしていたんだ。」



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



―――むかしむかし、フロイラは気付けば一人だった。



 『一人みたいなもの』『一人の様なもの』では無く。本当に一人だった。親も無く、兄弟も無く、親類や、友や、その代わりの者も無く。『人は一人では生きられない』そんな言葉を無視する様に一人で生きていた。雨水を飲み、虫や残飯を食べ。それはフロイラがとても幼く、まだ名前も無い頃の話であった。


 生きる為に食べ物を取り。それは植物だったり、昆虫だったり。ネズミや猫や犬だったりの小動物だったり。時には小さいモンスターであったりした。その事は幼いフロイラは誰かに教わったり、学んだりした訳では無く。本能でその生活をしていた。


 フロイラは誰とも接してこなかった為に。言葉も知らず。話すことも出来ずに本能のままに生きていた。


 しかし、そんなある日フロイラは一人女性と出会った。その女性は国立図書館の司書官『ノベル』と言い。29歳で独り身であり、野良猫みたいな状況のフロイラを見付けて衝撃を受け。話し掛けたが唸るばかり。ノベルはフロイラを匿おうと考えた。だが、フロイラは初めて見る人を良い物だとは思わず逃げてノベルになつく事は無い。


 ノベルはそれでもフロイラの事が気になり、何度も出会うが逃げられるので。ノベルは手段を変え、野生に近いので有ればと。餌付けをする事にした。ノベルはフロイラと出会した場所に毎日チーズとパンを持って立った。始めはフロイラは警戒してパンもチーズも食べる事は無かったが、何日かするとパンとチーズを貪り食べた。一度食べるとフロイラは楽に食事にありつける手段として、毎日この場所にノベルを探しに来る様になった。


 ノベルは徐々にフロイラを慣らし。頭を撫でてみたり食べ物を変えてみたりと。毎日繰り返すうちにフロイラはノベルになついた。それからノベルはフロイラを家に連れて帰り。その頃にはフロイラは抵抗する様なことは無くなり大人しくノベルに従う様になっていた。


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