第57話『剣獣ゾーマン』
オリハルコンドラゴンは途轍もない経験値を持ったドラゴンで、それをホークが倒した事により。皆に途轍もない経験値が入り、私達は大幅にLv.アップしたのだ。
その事で体力と魔力が回復し。剣獣ゾーマンが地獄の門までの道を切り開いてくれている。
―――私達に絶好の好機が訪れた―――
まず伝説の勇者ゾーマンの剣術に興奮したコルシカが飛び出してゾーマンへ続き。フロイラは魔法でそれを援護すると、メーブナとスイもシンフォニアビートで援護し。私は空から岩石投げで援護した。そこへデスガドガンの陣から離れたライアがコルシカの後方を戦いながら補助した。
私は上空からの援護で戦場の状況を確認出来た。しかし、ゾーマンの過去は兎も角として。この剣獣と呼ばれる動きは見事なもので、柔らかくしなやかで、それでいて激しく剣の牙を剥き。まるで獣の様に全てを引き裂いていく。
ゾーマンはまるで演劇の幕を開けるように軽やかに、モンスターの群れを開いていく。そして広がり散るモンスターへフロイラとメーブナ、スイの攻撃が襲い。みるみるとモンスター達は倒れて行った。私はこの状況下で自分に何が出来るのか考えた。
その事が私に、新しい力が宿った事を報せてくれた。そして私は両手に大地への祈りを込めて放った。
『鉱石の乱戦』
ゾーマンを先頭にコルシカ、ライアが居る場所を空けて。大地から無数の巨大なダイヤモンドの槍が、まるで針地獄の針山の様に物凄い勢いで飛び出して。モンスター達を次々と串刺しにして拡がって行く上に、それが壁となりコルシカ達を守った。
その事が剣獣ゾーマンの足を更に速めて、そして遂にコルシカとライアも地獄の門へと到達した。しかし、バライゴロスは更に地獄の門からモンスターを呼び寄せて。そのモンスターと戦う事に手を取られて誰も地獄の門へ攻撃することが出来ずにいた。
その中で一人、自分の新しい力に気付き。その力を使う機会をずっと静かに待って居る者が居た。その者は私のスピアーズオブダイヤで頑強な防御壁が出来た事を見逃さずに、後方を戦い補助するライアの後ろを静かに気配を消して追い掛けていた。
その者は『ゲツ』であった。そして地獄の門の前まで辿り着き、ゾーマンやコルシカ、ライアがモンスターを引き付け戦う中で。ゲツは隙を見付けて新しい魔法を放った。
「鉄の創造者『特大の金槌』!」
ゲツが気配を消して近付いたのは幸いした。魔王バライゴロスは常に戦場に目を配り、生命線である地獄の門を破壊する動きが有れば妨害するつもりで有ったが。ゲツが気配を消して近付いた事により。バライゴロスから察知されずに行動を起こせたのである。
ゲツの新しい魔法は、得意の鉄魔法で好きな形に巨大な鉄を作り替える魔法であった。そして、その魔法で造り上げたのは地獄の門よりも巨大な鉄のハンマーでそれを地獄の門に叩き付けると、私達を苦しめ続けた地獄の門を遂に粉々に破壊出来たのである。地獄の門の破壊と同時に私達の攻撃でモンスターの群れは、徐々に数を減らしていった。




