第5話『社内ヒエラルキー』
腕組みっぽい動きをしたビリビーは私に
「MPだよ。俺達を呼び出すのに召喚師様は会社にMPを渡すんだよ。レベル10以下なら7P。レベル20以下なら10Pと。そして、その支払われたMPを使ってマジックポーションを精製し。関連会社でそれを販売して。会社はそこから7割もらい。残った3割を俺達の給料にするんだ。」
「えっ!?給料支払われているの?」
「お前、自分の給料も知らなかったのかよ?」
「うん。休みも無いし...。全然興味無かった。」
「お前ちょっと『私の手帳』って小声で唱えてみろ。」
私はビリビーに言われた通りに、掌を目の前で広げて『モレスク』と小声で唱えた。すると、掌にA4サイズの手帳が現れた。
「それはお前のステータスノートだ。開いてみな。」
私はそのステータスノートを開くと、1頁目に『竜族:ブラウンドラゴン(ボルガンダ)』と書かれていた。
「それが、お前の種族と名前だ。次の頁を開いてみろ。」
私は言われた通りに次の頁を開くと、左側には『Lv 23』と書かれて、その下には『HP640』と書かれていた。それを見たビリビーは
「さすがドラゴンだな。ヒットポイントが高いな。俺なんか『160』だぜ。まあいいや、次はその右側を見て見ろよ。そこに獲得経験値と所持金が書かれてあるから。」
私はビリビーに言われた通りに、右側の頁に目をやると。『EXP472,250』と『72,010BG』と書かれている。
「ボルガンダお前、本当に給料に興味無かったんだな。7万もBG貯めてんのかよ!」
ビリビーが私の所持金に驚きの声を上げていると、低く通った声で
「有り得んな。低級レベルのスライムが自分より上のレベルのドラゴンにその口の利き方は。」
そう言いながら、私とビリビーの会話の中に割って入って来たのは。滑らかに艶やかな紫色の鱗を持った。パープルドラゴンの『シリュウ』であった。そして、その後ろにはパープルドラゴンと仲の良い、メイド服に身を包んだ3人組『ファビュラ三姉妹』が立って居た。
ファビュラ三姉妹は、赤い髪の毛を巻いてツインテールにした中背の細身の巨乳が、長女の『キョーカ』。小柄で金髪ポニーテールが二女の『スイ』。そして三女の『ゲツ』は青味がかったショートカットで、眼鏡をかけて何故か首に一人だけスカーフを巻いてずっと黙っていた。
シリュウはポイズントードの丸焼きを噛りながら、私とビリビーの前に来ると
「レベル63のオレがそこのソファーに座りたいんだけど。退いてくれない?」
そう言うと、顎をクイと横に向けて私とビリビーに指示した。ビリビーはシリュウの態度にムッとしていたが、社畜だった私は成績を上げる人間に。いや、召喚獣に逆らっても良いことは無い。と立ち上りソファーをシリュウに譲ると、シリュウの後でファビュラ三姉妹の長女のキョーカはケラケラと笑い。
「ボルガンダちゃんお利口ね。心配しなくてもワタシ達、三姉妹もレベル41だからアナタの判断は正解よ。」
そう言いながらシリュウと共にソファーに腰掛けて談笑に移り。私とビリビーは別のソファーへと移った。