第37話『食の都ネーコヤ』
宴を終えた私達はエドゥーの街を離れる事にした。イエミツは伴に旅立つと駄々を捏ねたが、家老やコルシカに諌められてエドゥーに残る事にはなったが。
「ボルガンダ!夫婦の件はまだ諦めた訳では無いからな!それは御主がLv.が90を越えても我は諦めんからな!」
と、言い家老や家来達を困惑させたが。フロイラが、また私を連れてエドゥーへ遊びに来る事を約束し。私達はエドゥーの街を飛び立った。
―――エドゥーを飛び立ち
私は仕事を終えて、ブラックカンパニーへと戻らなくてはいけないと思っていたが。フロイラとの契約はまだ3日も残って居るらしく。慰労のために、食の都『ネーコヤ』へグルメ旅行に行くことになった。
事の発端はタナーカを倒した際に、皆が体を休めている間。そこまで疲れていなかったメーブナはタナーカ、カスミ、ジョアンナの所持品を調べたところ24万BG所持しており。そのお金でパーッと行こう!との事であった。
私達は食の都ネーコヤへと辿り着いた。ネーコヤの街は、昔突然現れた凄く腕の良い料理人の料理に人々は心を奪われ。人々はその男の料理を食べるために大金を持って馳せ参じた。そして、その男に調理して貰おうとたくさんの食材が集まった。
しかし、その男は大金も食材も受け取らずに。黙々と美味しい食事を提供する事に従事した。その内、その人の集まりに商売をする者達も現れて徐々に店も増え。人とお金と食材の集まる街として発展したのである。そして、その男の名を取って作られたこの街、それがこのネーコヤである。とメーブナに説明された。
それは、それとしてこの街は常に街全体が美味しそうな食欲をそそる匂いに充ちていて。立っているだけでもヨダレが出てきそうになる。私達は街へ入ると、先ずは露店で売っている透明な皮で包まれた肉饅頭が目に入り。お腹を空かせたコルシカが食べ始めていた。コルシカはひと口噛ると
「何!?これ!ぷるんってしてツルんってして。旨みだらけの皮がスルンって喉の奥に入って、その後にスパイシーに味付けされた肉の餡が口の中で存在感を重厚に出して来る!美味い!」
と道でハシャイでいるので。皆が一つずつ買って食べると、コルシカの言う通り。不思議な食感の後に濃厚な旨味が押し寄せて、口の中が幸せでいっぱいになった。
これで、テンションが上り。大人しめなスイとゲツまで、あっちこっちの露店で興味津々に店主に色々尋ねていた。そんな皆の姿にフロイラは心配になって
「今日は宿で美味しい料理を用意して貰っているから、食べ過ぎないでくださいね!」
と大きい声を出して何回も注意したが。
※※※※※※ 一時間後 ※※※※※※
明らかに皆、お腹パンパンで動けなくなっている。フロイラは呆れながら
「だからあれ程言ったのに。あなた達は子供ですか。」
と溜め息を吐いていた。私はそんなに食べていないし。ドラコンだし平気だった。フロイラはそんな私の顔を見ると
「今日はボルガンダちゃんも泊まれる様に大きい部屋を用意したから安心してね。」
「私の事まで...ありがとうございます。」
と返事をすると、背中に動けなくなった面々を乗せてフロイラと宿屋に向かった。




