第3話『死んでも社畜』
ライディンはソファーに座りお茶を啜りながら。私に尋ねた
「若いの。お主はレベルは幾つになった?」
「私は今、レベル8です。」
「そうか。一番呼び出されない頃じゃな。あと、2つレベルが上がれば新しい特技を覚える。それまでの辛抱じゃ。レベルが10毎に新しい特技を覚えるでな。」
そう言うと、またお茶を啜り出した。私は、どうもライディンが苦手で目を逸らして水晶モニターを眺めていた。するとそこにはデロンが映っていた。しかし、どうも立ち位置がおかしい。
デロンは召喚師パーティーの対面に立って居るのだ。そして、召喚師パーティーの後ろにはフラアイラが立って居た。
モニターから少し声が聴こえてきた。デロンの声だ
「なあ、フラアイラ見逃してくれ。一緒の会社に居た仲間じゃないか。」
「クビになった貴方はただのモンスターですよ。私は召喚師様に従い技を繰り出すだけです。」
フラアイラはそう言うと、自分の身長の2倍は有る大きな槍を構えて
『太陽の粛槍』
と叫ぶと辺り一面が火の海に成る程の炎を槍に集中させて、デロンを貫き。デロンは弾け飛んで燃えながら散った。私は突然の絵図等に、慌ててモニターを指差して口をパクパクさせると
「うちの会社は2週間召喚師様からの呼び出しが無いと、クビになり。クビになれば、召喚獣ではなく。ただのモンスターじゃ。」
ライディンは渋い顔をして、お茶を啜りながらアクビをした。
「それでも殺さなくても良いじゃないですか!」
私は咄嗟にそう言うと、ライディンは
「若いのよ。所詮ワシ等は召喚獣。召喚師様の指示に従うしか無いのじゃ。」
私にそう言った。私は愕然とした。結局、社畜は生まれ変わっても社畜でブラック企業には逆らえないのだ。
私は一生懸命に、この世界の召喚獣として生き残る方法を考えた。その結果、今は強く成るしかない。そう結論に至り、それからは『休みたい』だなんて考えずに、召喚師の呼び出しを待った。
―――それから、また1ヶ月経ち
私は無事にレベル10に成り新しく『岩石投げ』を身に付けて、敵全体に物理ダメージを50ずつ与えられる様に成ると。そこそこ重宝されて、その2週間後にはレベルは20に成り。『大地と共に戦う者』を覚えた。
その『大地と共に戦う者』は3体の巨大なゴーレムを創り出し大暴れさせる技で。敵全体に物理的に60のダメージを複数回与えられる。
私はこの短期間でレベル20を達成したことにより。社内で一目置かれる存在となっていた。私はそこそこ居心地が良くなりはしたが、デロンの事を忘れられずに居た。
その時に私の中で転生前の『働き方改革』と言う言葉が頭を過った。私は情報を得るために社内の色んな召喚獣達とコミュニケーションを取り、様々な情報を得られる様になった。
実はこの『ブラックカンパニー』の他にも召喚獣派遣会社が存在する事を知った。そして、その他の召喚獣派遣会社『パープル商会』から転職してきた。イエロースライムの『ビリビー』と知合いになり。外の世界の事を知った。




