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第20話『ニポン王国の首都エドゥー』



 

 私は空を飛ぶ心地好さに心奪われながらも、メーブナの道案内に従いニポン王国へ辿り着いた。フロイラの案内で、私達は不死の山へ向かう前にニポン王国の首都エドゥーへ向かった。


 私は初めて社屋の外をゆっくりと眺め歩ける事に心浮かれて、周りの景色に目を奪われた。このニポン王国は自然が豊かで透き通った河川は底がハッキリと見える程美しく。山々は緑が生い茂り。そして、この国の人々は自然と共に暮らしを同化させていた。


 建築物はふんだんに在る木々を使った木造建築が多く。その屋敷の庭では小さな川を造ったり、海を意識した池を置いたり。その中には魚が泳いであったりと。自然と共存する趣向が為されていた。


 私が物珍しく辺りを拝見していると。他の者達も珍しげにキョロキョロと落ち着き無く見ていた。どうやらこの世界だから珍しいのではなくて。この世界でも珍しい風景の様であった。


 そうこうしているうちに、私達は首都エドゥーへと到着し宿を探す事にした。街へ入ると木造の宿屋が在り。一行はその宿屋に泊まる事にしたが私は身体が入らない為に一人で野宿をする事にした。ドラゴンって不便だ。


 フロイラパーティーは宿に荷物を預けると、夕飯まで各々好きに動く事になった。その中で吟遊詩人のメーブナと、ファビュラ姉妹のスイとが。同じ音魔法の使い手として仲良くなり。一緒にニポン王国の音楽に触れたいと出掛けて行き。勇者のコルシカと女戦士のライアとゲツは共に武器屋へ装備を買いに行った。


 残された私はフロイラと散歩に行く事になった。この国の人間はドラゴンが珍しいらしく。子供や大人が挙って私の周りを取り囲み。


「わー!おっきなヘビさん!」


「バーカ。ヘビじゃないよトカゲだよー。」


「いや、こりゃ西方の国の『龍』ってやつじゃ。」


「龍って空想の生き物だろ?」


「お肌がゴツゴツしてるー。」


「本当だ!こいつぁ硬ぇや。」


と、私は身体中を做で回されているが。私を連れているフロイラに悪評が立たぬ様に、大人しく尻尾も動かさずにいた。仕方無いので気にせずに変わった髪型や服装をした民衆に目をやりながら(変な格好してるな。まるで前世の江戸時代みたいだ。)等と物思いに更けていた。それを察してかフロイラは私を取り囲んだ民衆に


「すみません!わたし達はこれから用事が有りますので移動します!危ないのでドラゴンから離れてくださーい!」


そう叫ぶと民衆は行儀よく私から離れて、フロイラは私の背に乗ると背中をポンと叩いたので私は羽を広げてその場から飛び去った。


 私とフロイラはそのままフライトを楽しんだ。この風を切り抜けて揚力に任せて浮き上がる感覚は何だか体がモゾモゾゾワゾワとして癖になる心地好さであった。


「ねえ?ボルガンダちゃんは、あんまりブラウンドラゴンの事って知らないみたいね。」


フロイラから、そう言われて。私は自分自身の事を全然解っていない事に気付いた。そんな私にフロイラは哀しい目を向けて、背中を優しく擦り呟いた。




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