第2話『初めての召喚』
この世界はどうやら魔法が使われていて。その中の召喚魔法を使う召喚師と契約を結び、その召喚師が召喚魔法を使う際に召喚獣を派遣する会社の召喚獣として私は生まれ変わったのだ。
そして、私は生まれ変わって直ぐに初心者の召喚師『ボボス』の所へ派遣され。石投げと言う技を使いスライムに20のダメージを与えて倒し戻って来た。
会社に戻るとフロストが、契約者の召喚師達が映る水晶モニターを眺めて、依頼を受けると他の召喚獣を派遣していた。派遣依頼は水晶モニターが赤く光り、そこに指定召喚獣の名前とレベルが表示され、その召喚獣を呼び出し転送するといった感じで。
呼び出されない召喚獣は、その部屋のソファーに座り談笑したり、何かを飲食したり、適当に時間を潰していた。
「あんた新入りだにゃ。」
そう声を掛けて来た、大きい栗色の毛をした猫が私の顔を覗き込んだ。そして続けて
「ブラウンドラゴンはレベルが低いとあまり呼ばれないからにゃ。それでも俺と違ってレベルが上がれば重宝されるぜ。俺なんか補助系の特技しかねーかにゃ、こーして何時も時間潰しさ。」
そう言って来たので、私は今後のこの仕事に繋がる情報を得ようと。その大きい栗色の猫に話し掛けた。
「私はボルガンダと言います。えっとお名前は何て仰るのですか?」
「俺はジプシーキャットの『デロン』って言うにゃ。特技は相手の動きを遅くしたり、ミスを誘発したりする事にゃ。」
そう話した矢先にフロストが
「ボルガンダ出番よ。早く来な!」
そう呼ばれたので話し途中で私は立ち上がると、デロンは
「俺は何時もここに居るから、また話そうにゃ。」
と笑い。私はデロンに親指を立てて応えると、転送装置の中へ入った。
私を呼んだのは、またボボスだった。ボボスの居るパーティーはボロボロで周りを6匹の『おばけアリ』に囲まれていた。
私は、また石投げを使うと、運良く改心の一撃を出して。おばけアリ6匹にそれぞれ50のダメージを与えて、おばけアリを全滅させた。後ろを振り返るとボボス達はホッと嬉しそうな顔をしていた。
そんなボボス達の表情を見て私は満更でもない気持ちになり。会社へと戻ると、おばけアリの経験値で私のレベルは2へと上がった。私は嬉しくて小さくガッツポーズをした。
会社へ戻るとデロンは別の召喚師に呼ばれて、極寒の地で震えながら戦っているのが水晶モニターで見えた。
―――私はそんな中で、1ヶ月が過ぎた。
「フロストさん?あのー。私、1ヶ月程休みが無かったんですけど。」
フロストは、そう言った私に冷たく微笑んで。
「ブラウンドラゴンの低レベルは貴方しかいないの。休みが欲しかったら早くいっぱい稼いでレベルを上げる事ね。」
そう言うと、何事も無かった様にまた水晶モニターを眺めて仕事を始めた。
(早くレベルを上げないと。)
そう思いながら、水晶モニターへ目を向けると。ボボスのパーティーが映っており、そこには別の強そうな召喚獣が戦っていた。
「最近呼んでくれないと思ったら!」
私が遂、口に出して言うとフロストが振り返り。
「契約者さんもレベルが上がると、強い敵と戦う為に強い召喚獣が必要になるのよ。弱いと置いて行かれるのがこの世界よ。嫌なら強くなりな。」
そう冷たく言い放ち、また水晶モニターを見ていた。私はショボくれてソファーへ向かうと、そこにはライディンが先に座っていた。