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第19話『フロイラパーティー』



 フロイラのエメラルドグリーン色の法衣ではあるが、私はそれが何を意味するかは判らなかった。フロスト常務は私のそんな姿を見て溜め息を吐き


「フロイラ様は召喚師では無く。全ての魔法を覚える事の出来る賢者様だ。この緑色の法衣は賢者様の法衣なのだ。」


そんな私とフロスト常務のやり取りを見て、フロイラが申し訳なさそうに


「すみません。わたし達の自己紹介がまだでしたね。わたしは賢者のフロイラです。そしてこちらが。」


と、フロイラが隣のビキニアーマーに身を包んだ女性に手を向けると。その精悍な顔つきの女性は頭を下げ


「私は戦士のライアと申します。以上。」


ライアは隣のマントを羽織った長髪のやさ男に目を向けると、マントの中から弦楽器を取り出して掻き鳴らし


「わーたしは吟遊詩人のメーブナと言います~。」


と、気の抜けた挨拶をした。そして最後に軽装な鎧を着た気の弱そうな若い男が短髪の頭を掻きながら


「ぼ、ぼくは勇者のコルシカって言います。頼りないってよく言われます...へへっ。」


そう頼りない挨拶をしたコルシカに、フロイラは


「そんな事は無いですよ。」


とサポートを入れた。それでもコルシカは『へへっ』と笑うばかりで実に頼りない。しかし、他のメンバーは気にしていない様子であり。これはこれでパーティーとして納得しているのだ。と私は思った。


 そして、皆でソファーに腰掛けて話し合う事になった。先ずは勇者のコルシカが


「あ、あのですね...。話が...ですね。」


と、要領を得ずに本題に入らないので。フロイラが代表して話し出した。


「今回、こちらのブラックカンパニーさんに要件が有って参りました。わたし達は今、西の魔王と呼ばれる『ガジガンデラ』を倒すべく旅をしているのですが。こちらの勇者のコルシカに必要な装備品。『覇者の剣』を手に入れる為にニポン王国に在る『不死の山』へ行くのに。此方の召喚獣の力を借りたく思っております。それで、単発召喚契約では無く常時召喚契約をお願いしたいのです。」


そう説明すると、フロストは私の顔を見て


「日頃で有れば、派遣業務でその様なお願いは受付出来ない事もございますが。1週間の内で御座いましたら受けさせて頂きますが、期日に関しては宜しいでしょうか?」


そう答えた。つまりこの仕事を受ければ私は休暇が無くなるのだ。まあ、どちらにせよ休暇と言っても私は外の世界を知らないので。フロイラパーティーと共に外の世界を行く事は都合の良いものだと思い。私はその仕事を受ける代わりにファビュラ三姉妹のスイとゲツも共に連れて行ける様にお願いした。


 そして、特に準備も無く。フロイラパーティーと私とスイとゲツはそのまま旅に出立する事になった。


 ニポン王国へは私の背中に皆が乗り。空を飛び向かった。私には大きく硬い羽が有ったが、召喚で戦闘にしか呼ばれない為に、この大きく硬い羽を使った事が無かった。生まれ変わって初めて私は幸せな気持ちを味わった。


 この何処までも青く広い大空を自由に風を切り飛ぶことは何よりも心地好く。私は何よりも自由になった気持ちだった。



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