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第18話『ファビュラ三姉妹の事情』




 ファビュラ三姉妹の二女スイに私は話し掛けた。


「うるさい奴だと思っていたが。居なくなると寂しいもんだな。」


「ブラウンドラゴンさん。勘違いしていらっしゃるみたいですが。私達ファビュラ三姉妹は本当の姉妹では無いのですよ。」


「えっ?なんですと?」


「だから、私達ファビュラ三姉妹は商業的なユニットであって。実の姉妹では無いのですよ。三女のゲツに至っては『男の子』だしな。」


「えーーっ!」


「気付いていなかったんですか?男の子である事を隠す為にスカーフを巻いて喉を隠して居ましたし。声でバレるといけないので声を出さない様にしていたのですよ。」


私が驚きの余りに声を出せないでいると。スイの隣でゲツが恥ずかしそうな顔をしてコクンと頷いた。そして、スイは続けて


「まあ、実の姉妹ではありませんが。悲しいのは悲しいのですよ。しかし、私達三姉妹は一人一人は弱く三人でやっと一人前でしたので。三人を一人として契約し、一人として登録していたので。私達は連休明けには解雇されてしまいます。解雇されてしまえば私達は殺されてしまうのです。その事が気掛かりで不安で仕方ないのです。」


 その話を聞いて私は返す言葉も無かった。実際、そんな簡単にフリーのハーフエルフが居る筈も無く。事実、解雇されてしまえば。ただのモンスターでしか無くなれば殺されてしまう。例えブラック企業であっても、しがみつかなければ死んでしまうのだ。


 私は大した案も浮かばずに、気休めに


「私の方でもなにか良い話が有れば協力するよ。」


そんな言葉しか掛けられずにその場を去った。



―――そして翌日



 折角の休みであるが、私は目を覚ますとやる事も無く召喚獣転送待合事務所へと行き。ソファーへ座ると冷蔵箱から、ミーガンジュースを取り出してテーブルに置くと。食料箱からクイーンメイの実を取り出して鉄の串に刺した。クイーンメイの実は前世ではジャガイモと呼ばれていたが。こちらの世界では何処かの王国のメイ王女が発見した土の中に生る実でクイーンメイの実と呼ばれている。


 私は串に刺したクイーンメイの実に炎を吹いて焼くとバターを乗せて溶け出した所で口に入れた。温かく柔らかくバターの甘い香り。そしてクイーンメイの実は塩気を含みながらも甘味が残り至福の味であった。そしてミーガンジュースで流し込んだ。


 そこへ、たまたまフロスト常務が入って来ると私を見付けるや


「おおボルガンダよ。ちょうど良かったお前にお客様だ。」


そう言うとフロストの後ろから見たことの有る人物が現れた。法衣を身に纏った女性で、この甘い香りに私は安らぎを覚えている。


 私を何度も召喚してくれた。召喚師フロイラであった。そしてその後ろからフロイラのパーティーの面々が入ってきた。私は嬉しくなり思わず


「召喚師様!」


と声をあげると。フロスト常務が


「ボルガンダよ。お前は未だに気付いていなかったのか?よくフロイラ様を見てみろ。フロイラ様は召喚師ではない。」


私はよくフロイラを見ると、フロイラの法衣は。バビロンやエミシアやテルロイや他の召喚師の紫色の法衣と違い。エメラルドグリーン色の法衣であった。



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