第17話『エミシアの狂気』
そんな禍々しい魔力を放つエミシアに対し臆すること無くフラアイラが『灼炎の大槍』を向けて、『太陽の粛槍』を放ったが。その槍はエミシアに届く前に3本の輝く紅い鱗に覆われた手で掴み止められた。
「流石、炎と闘いの女神。情熱的で美しいですわ。Lv.97。ああ、惜しい。炎と闘いの女神はLv.が100になると指先に太陽を宿す為に、爪が太陽輝石になるのに。そうでしたら、捕まえて毎晩爪を剥がして枕元に並べる楽しみがあったのに...。因みにこの3体のドラゴンはルビードラゴンと言って、レッドドラゴンがLv.90以上になると鱗がマーガレットブラッドルビーになるの。素敵でしょ?」
そう言うとエミシアはフラアイラの脇腹に舌を当ててゆっくりと舐めながら
「嗚呼、貴女の汗って火傷しそうな程に情熱的で美味しいわ。」
フラアイラの目を見つめながら
※※※「ダメダメダメ!フラ様をぺろぺろして良いのはボクだけだワン!」※※※
『閃光の神隠し』
エミシアは、咄嗟の出来事に何か判らずに目に写った麒麟のユードラスの姿に混乱しながら
「ぺろぺろ...?...だワン?麒麟って語尾がワンなの?」
そんな事を呟きながら、ユードラスのゴッドバイで何処か遠くへ飛ばされてしまった。フラアイラも何事か判らずに居たが。今までのエミシアの発する邪悪な魔力から解放され気が抜けた所にフラアイラのペットのユードラスが頬を舐めてきたので。
「お前が助けてくれたのか、ユードラスよ。ありがとうな。」
そう頭を撫でてやるとユードラス
「ペットがご主人様を守るのは当然の事だワン!」
その一部始終を見ていたブラックカンパニーの召喚獣達は
(麒麟って賢いんじゃないの?)
(語尾が『ワン』ってバカっぽい。)
(いや、麒麟ってワンって鳴くの?)
等々、呆気ない幕切れと。麒麟のキャラの裏切りに呆然としていた。バビロンはエミシアの魔力を感じなくなった事から腰を下ろして、杖を掲げて。ゴブリン100体を召喚すると魔力を使い果たしてバタンと倒れた。その間もゴブリン達はシルバードラゴンの鱗やダークナイトの鎧や金目の物をバビロンの下へと集めて来ていた。
バビロンはその金目の物をフロストに売却する様に指示を出した後に、私に社屋へ連れ帰る様に命令し。ライディンに『社長の魔力が回復するまでの間の派遣業務の休暇』を言い渡して眠りに着いた。
私はバビロンを、社長室へと運んだ後に転送待合事務所へ戻ると。外敵を退けた事と、1週間の休暇が与えられる事に。召喚獣達は歓喜の雄叫びを挙げていた。前世からの社畜である私は、1週間もの休暇を与えられた事が無かったので。どの様に過ごして良いのか解らなかった。
そんな所で浮かない顔をした。ファビュラ三姉妹の二女のスイと、三女のゲツが居た。長女のキョーカを亡くしたばかりで気持ちの整理が付かないのであろう。と私は、何もしてあげられないが、話だけでも聞いてあげようと二人に声をかけた。




