表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/25

あだ名じゃなくて本名で呼んでみた

なんとか投稿できました…!

ブクマが増えて驚いてます。ありがとうございます

流しっぱなしにしているテレビが朝の七時を告げる。この時間は私が学校に行く時間だ。


いってきまーす、と声をかけ、ガチャリとドアを開ける。

そして、隣からもガチャリとドアを開く音が聞こえる。


「おはよう。ソウ君」

「ああ、おはよう。宥香」


年頃なのにきちんと挨拶をしてくれるとこはポイント高いと宥香ちゃんは思うよ。

いや、この年頃の子ってさ挨拶を返さない子とか多いじゃん?多分、めっちゃ偏見だけど。


私とソウ君は朝はだいたい同じ時間に家をでる。ここから学校までは、約三十分と少し時間がかかるのである。

同じ時間帯に出るから、図らずも一緒に学校に行くことになる。


あれ、いくら気心知れた幼なじみでも、一緒に学校は恥ずかしいとは思わないのかな。

いや、中学生だよ?この手の話は苦手じゃないのかなぁ。ほら、ソウ君ってかっこいいからけっこう噂になる。

……はっ!まさか私が学校に行く時間をずらせば万事解決なのでは?


気になってソウ君に聞いてみる。


「ねえ、ソウ君。私とソウ君っていつも家出る時間一緒じゃん?」


そういうと、ソウ君がビクッと体を強ばらせる。

な、なんだ。どうしたんだ。


不思議に思いながらも、質問を続ける。


「だからさ、私、時間ずらしたほうがいいのかな?」

「……は?なんでそうなる?」

「え、だっていくら幼なじみでも男女が一緒に登校って、なんかこう、邪推されちゃわない?」


そう言うと、ソウ君ははぁ…。とため息をついて、そんなのは気にしなくていいから、と苦笑する。


「俺が宥香と行きたいからこの時間帯になるんだって。行きたくないなら俺が時間ずらすから」

と言いながら頭をポンっとたたく。いや、撫でる?

うーわ、イケメンかよ。


そこからは実に和やかな会話をして学校に向かった。





「おっ、宥香おはよー」

「あ、真悠子。おはよー」


教室に入るなり、友人の真悠子に声をかけられる。


「今日も、田島と一緒に来たんだねー」

「だって、ソウ君とは家でる時間一緒だからね。行き先同じだし」

「てか、宥香って田島のこと、”ソウ君”って呼んでるの?なんで?」


えーと、なんでだっけ?ってあれか、小さい頃にそう呼んでっていわれたからか。


そう真悠子に伝えると、ふーん。と生返事をした。

いやいやいや、自分が聞いたんだからせめて返事はちゃんとしようよ…


「でもさ、その年であだ名呼びは恥ずかしいというかきつくない?」


って、ちゃんと聞いてたのね。疑ってゴメン。


「んー、別にきついとか恥ずかしいとかはないかな。だってずっとこの呼び名で慣れてきたからね。今から変えるほうがなんか、恥ずかしい感じがするなぁ」


そう答えると、真悠子はニヤリと効果音が付きそうな感じの笑い方で私を見てきた。

な、なんなんだ。怖いぞ。


「え~、じゃあさぁ、田島のこと呼び捨てにしてみたら~?」

「え、なんで?」


そう聞くも、真悠子はおもしろそうだから~、としか言ってくれない。


ほ、ほんとうになんなんだ!



真悠子にグイグイと背中を押されてやってきたのはソウ君の前。

実を言うと、私とソウ君は中学校三年間は同じクラスだ。小学校はクラス違ったけどね。



「宥香?なにかあったか?」

男子と話していたところを切り上げて、私に向き合う。柔らかく笑うというオプション付きで。


なにかって真悠子に勝手に押されてきただけだから用事とかなにもないんですけど……!


えー、どうしよう。話題とかないんだけど。


と、そんな感じであたふたしていると、ソウ君の後ろからひょこっと男子が顔を出した。

「あれ、里見に橘じゃん。どったの?」

瀬古君だ。

瀬古君はソウ君の友人で、なかなかに可愛い顔をしている。

初めて会ったときは攻略対象では、と思ったものだ。

…いや、あながち間違いじゃないのでは?だって、絶対攻略対象に一人はいるはずだよ!昔からの知り合いっていう枠。

中学時代って昔なのかはわからないけど。


うんうんと一人で勝手に納得していると、里見ー?と声がかかった。

おっといけない。今は瀬古君と話しているんだった。


「瀬古君ってさ、奏太と仲いいよね。同じクラスになったの今年だけだよね?なんかきっかけあったの?」


よし、自然に奏太って呼べてるぞ。


「オレと奏太って、一年のとき委員会が同じだったわけ。そこから何となく気が合ってって感じかな」

「へー、そうなんだ。奏太ってあんまり友達のこととか話さないからさー」


と、ニコニコと瀬古君と話していると、いきなりグイっと後ろに引かれた。

そのまま引っ張られた方向に倒れる、と思ったけど、次に感じたのは温かい感触。

これまで若干空気だったソウ君だ。

ポカンとソウ君を見上げる。


ん?てかこの状況ってけっこうやばめじゃない?

え、だってこれって傍からみたら、ソウ君に抱きしめられてるんだよ?

正しく言うと、ソウ君の腕の中に私がいるみたいな感じです。

抱きとめられてるだけであって、抱きしめられてはないんだよ……!

しかもここは教室。みんなが集まる教室!

こんなんみられたら一発でアウトですね。

そろっとあたりを見回してみる。よかったー!人がいない!


「ソウ君!いきなり危ないよ!てかもう放して」


未だに私を抱きとめてるソウ君に放してくれるように頼む。

あぁ、悪いと言いながら私を解放してくる。


てか、なんでこんなことしたんだ?

ん?ていうかソウ君目元が赤いけど、照れてる、とか?

いやいや、まさかねぇ。


「ソウ君、目元赤いけど、もしかして照れてる?」

「っ…!いきなり、奏太なんて呼ばれたら驚くに決まってるだろ」

と、早口で返される。


照れてた理由ってあれだよね。いきなり呼び捨てにされたからだよね。

そうかそうか。照れてたのか。愛いやつめ。

いきなり呼ばれて恥ずかしかったのだろう。

ニヤニヤとソウ君を見守る。


「……あだ名呼びからの呼び捨てはけっこうくるな」


なにやらもごもごと下を向いて言ったけど、何を言ったんだか。

私には全然聞こえなかった。


真悠子と瀬古君には聞こえたのかなと思って二人を見ると、なにやら話し合っていた。


「うわ、奏太不憫に思えてきた」

「まぁあれが宥香の持ち味だし…」


話も終わったことだし、と席に戻ろうとすると、ソウ君に声をかけられた。


「宥香がいいなら、奏太って呼んでもいいけど。まぁ、俺のことソウ君って呼ぶのは今までも、これからも宥香だけだから」


という謎の宣言をされました。

え、なんだったの?


それを聞いていた真悠子と瀬古君はそろって、マジかよとか言ってた。

え、ほんとになんなの?



奏太って呼ぶのは少し慣れないし、恥ずかしいからこれまでとおり、ソウ君って呼んどこ。

奏太君が不憫と思ったので、不憫なヒーローというタグを付け加えました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ