漫画のような
あけましておめでとうございます。今年もよろしくおねがいします。
今回は短めです。
授業終了のチャイムが鳴り、クラスメイトたちが教科書やノートを閉じ始める。
挨拶も終わり椅子に座った瞬間にあることを思い出した。
あ、今日日直じゃん。
移動教室が連続してたから日直っていうこと忘れてた。
私たちの学校の日直の仕事は主に授業終わりごとに黒板を消す、学級日誌を書いて提出するの二つである。
ほかの学校を知らないけど結構少ないんじゃないかな。割とクラス委員の方にやることは傾いていると思う。教室のカギ閉めとか電気消すのとか。
私は自分の職務を全うすべく、黒板の方へ向かった。
さっきの授業は世界史である。この先生は黒板に何か書くよりも話すことの方が多いから、休み時間になっても黒板の内容をノートに写している人はいない。
私は黒板消しを持ちチョークで書かれた文字を消そうとした。でも、この世界史の先生は書く文字が濃い。文字が濃いと何回も消さないといけないから大変だ。
しかも先生は背が高いから黒板の上の方まで文字がある。私は身長がまぁ低い方だから、上の方に文字があると消しにくい。
黒板消しの下の方を持ち、チョークが置いてある黒板のへり?みたいなところに手をかけて背伸びをしながら消そうとする。
多分、今の私の足はぷるぷるしてる。
もう少しできれいに消せるとなった時、不意に私の手から黒板消しが抜けて背中に暖かいものを感じた。
「大丈夫か?」
後ろにいたのはソウ君だった。
「わっ、ソウ君。どうしたの?」
もしかして足がぷるぷるしていたのが見えたのだろうか。
「…宥香が黒板消しにくそうだなって思って」
質問に答えながらソウ君は私からとった黒板消しを使ってすいすいと文字を消していく。
私が消せなかった黒板の上の方も軽々と消していて、身長が高いってうらやましいなぁ。
うらやましそうな私の視線に気が付いたのか、ソウ君は、どうかしたのか?と聞いてきた。
「ん~、私ももうちょっと身長ほしかったなぁって」
「今どれくらいだったっけ」
首をかしげながら聞いてくるソウ君。そのしぐさにちょっとかわいいなと思いながら、四月に測った身長を思い出す。
「とりあえず百五十は欲しい」
具体的な数字についてはノーコメントで。
私の答えにソウ君は薄く笑って伸びるといいな、と言いながら頭をなでてくれた。
成長期なので伸びるつもりです。
黒板を消し終えて自分の席に戻ると、席には真悠子と麻依ちゃんがいた。
真悠子はニヤニヤと、麻依ちゃんは苦笑気味にこっちを見ていた。
「二人ともどうしたの?」
「いや、教室の真ん前でいちゃいちゃしてたなって」
「かっこいい男の子に黒板消すのを手伝ってもらうのなんて、少女漫画みたいだよねぇ。見てるこっちがきゅんきゅんしちゃった」
真悠子の言葉にいちゃいちゃしてないと返しつつ、席に座る。
「田島君ってそういう漫画みたいな行動さらっとできるからすごいよね」
「まぁ、田島のは宥香限定だと思うけどね…」
なんで私限定何だろう?ソウ君は優しいよ?
「漫画といえば、私、小学生の頃に少女漫画にすごくはまってたんだよね。雑誌めっちゃ買ってたし、なんなら今でも付録家にあるし」
「あ~、それわかる。私は今でも少女漫画読むよ。中学生の時にちょっと離れたけど、高校生になってからまた読むようになったの」
私の席なのに疎外感……。
でも、少女漫画面白いよね。私もよく読む。個人的には当て馬君が好きになる確率が高い。
ヒロインってだいたい、イケメンでちょっといじわるな男の子と結ばれるけどイケメンかつ優しい男の子のほうが個人的には好き。当て馬君が報われる系の漫画か小説ないかな。絶対読む。
私がつらつらと考えていると、真悠子と麻依ちゃんの話が終わったのか、私にも話を振ってきた。
「ね、宥香と麻依って今日の放課後空いてる?」
「私は空いてるよ。宥香ちゃんは?」
「私も空いてる。どっか行くの?」
「最近できたアイス屋さん行きたいなって」
アイスかぁ。まだまだ暑いから行きたいかも。
私と麻依ちゃんで行きたいと声をそろえて答えた。
私たちの返事を聞いた真悠子は、よし、決まり!と言って、自分の席に戻っていった。
具体的なことは昼休みに決めようと言い残して。
麻依ちゃんももうすぐ授業が始まるからと、戻っていった。
アイス屋さん楽しみだなぁ。
あ、放課後遊びに行くならソウ君に、今日は一緒に帰れないって言いに行かなくちゃ。
そんなことを考えながら、休み時間は過ぎていった。




